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現在、新しい百合異世界ファンタジーを作成中です! 他のサイトにも投稿させて頂くと思いますが宜しくお願いします!! 10月公開予定
ここは王宮のとある一室。二人の人物が部屋で会話をしている。
「今日の式典上手くいって、良かったですわね。私も選ばれましたし、他の協力者達も予定通り選ばれましたわ」
「そうだな。だが一つイレギュラーがあったと聞いているぞ」
不機嫌そうな男は、威圧を込めて言葉を吐く。女は少したじろぐが報告を続ける。
「申し訳ございません。第一王女が神玉で何を見たかは分かりませんが、彼女を本気で止められる者がおりませんでしたので」
「言い訳はいい。私が参加出来ていれば止めれていたものを」
チッと舌打ちし、男は目線を手元の資料に移す。
「エト・カーノルド。あの冒険者上がりの貴族の娘か、あのような者を王宮に入れる事になるとは全く腹だたしい」
男はエトに対し嫌悪感をあらわにする。
「安心して下さいまし。私がしっかりと監視し計画には支障をきたさせませんわ」
「当然だ。我々の計画を外部に漏らすわけにはいかないからな。もし王宮内で計画に勘付いた者がいたら私に報告しろ。邪魔者は全て始末する」
男は平然と言い放つ。
「かしこまりました。全ては貴方様の御心のままに」
女も彼の意見に同意する。
「貴方様も計画が成功した暁の約束守って下さいまし」
「ふん、この国の女王になる事だろ。そんな事私が王になれば簡単な事だ」
「その時を楽しみにしていますわよ。それでは失礼いたします」
女は一礼して部屋を後にした。
部屋に残された男は心底つまらなそうに呟く。
「この国の女王になった所で実権を私が全て持つのだから、お飾りの女王になるだけなのにあれも哀れな女だ」
まぁいい、どうせ彼女もいらなくなれば始末しまえばよいし、イレギュラーな者も私の計画の障害にはなりえない。 精々計画の礎になってもらおう。
彼は手元の選考会の資料を整理しつつ、一人の人物に目を止めた。
「伯爵家、フリーダ・ジェロシー。本来選ばれる筈だった者か。こいつはカーノルドを恨んでいるようだから、謝礼金を渡しに行かせる際に手紙を持たしておくか」
彼は山のような資料から、ゴソゴソと白紙の紙を取り出し手紙を作成すると、遣いの者に手紙を渡すように伝え謝礼金を持たせてジェロシー家に向かわせた。
一仕事を終えた彼は、身につけていた手袋を外した。彼の小指の先が元から無かったかのようになくなっている。 彼は傷を見て舌打ちをした。忌々しい傷痕、これはある少女につけられたものだ。
部屋の窓から、ジェロシー家に向かう馬車を眺める。
「彼女に一役買ってもらおうではないか」
夜の王宮に彼の高らかな笑い声が響き渡る。その時、彼の机の通信機がなった。
彼は電話の相手を確認すると喉をごくりと鳴らした。電話から聞こえてくる声は、若い青年の声だ。
「どうだい計画は進んでいるかい」
「はい、順調に進んでおります。次期皇帝陛下」
王宮に蠢く陰謀に気付いている者はまだいない。
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