普通のメイドだったけど王女を失って暗殺者になりました

〜世界最強の暗殺者になって、私から全てを奪った者達に復讐しようと思います〜
水篠ナズナ
水篠ナズナ

幕間

裏切り者の夜

公開日時: 2020年9月4日(金) 18:54
更新日時: 2020年9月5日(土) 19:00
文字数:1,157

日間9位 週間10位になってました。読んで下さる皆様ありがとうございます!!


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 ここは王宮のとある一室。二人の人物が部屋で会話をしている。


「今日の式典上手くいって、良かったですわね。私も選ばれましたし、他の協力者達も予定通り選ばれましたわ」


「そうだな。だが一つイレギュラーがあったと聞いているぞ」


 不機嫌そうな男は、威圧を込めて言葉を吐く。女は少したじろぐが報告を続ける。


「申し訳ございません。第一王女が神玉で何を見たかは分かりませんが、彼女を本気で止められる者がおりませんでしたので」


「言い訳はいい。私が参加出来ていれば止めれていたものを」


 チッと舌打ちし、男は目線を手元の資料に移す。


「エト・カーノルド。あの冒険者上がりの貴族の娘か、あのような者を王宮に入れる事になるとは全く腹だたしい」


  男はエトに対し嫌悪感をあらわにする。


「安心して下さいまし。私がしっかりと監視し計画には支障をきたさせませんわ」


「当然だ。我々の計画を外部に漏らすわけにはいかないからな。もし王宮内で計画に勘付いた者がいたら私に報告しろ。邪魔者は全て始末する」


  男は平然と言い放つ。


「かしこまりました。全ては貴方様の御心のままに」


  女も彼の意見に同意する。


「貴方様も計画が成功した暁の約束守って下さいまし」


 「ふん、この国の女王になる事だろ。そんな事私が王になれば簡単な事だ」


 「その時を楽しみにしていますわよ。それでは失礼いたします」


 女は一礼して部屋を後にした。


  部屋に残された男は心底つまらなそうに呟く。


「この国の女王になった所で実権を私が全て持つのだから、お飾りの女王になるだけなのにあれも哀れな女だ」


  まぁいい、どうせ彼女もいらなくなれば始末しまえばよいし、イレギュラーな者も私の計画の障害にはなりえない。 精々計画の礎になってもらおう。


 彼は手元の選考会の資料を整理しつつ、一人の人物に目を止めた。


「伯爵家、フリーダ・ジェロシー。本来選ばれる筈だった者か。こいつはカーノルドを恨んでいるようだから、謝礼金を渡しに行かせる際に手紙を持たしておくか」


 彼は山のような資料から、ゴソゴソと白紙の紙を取り出し手紙を作成すると、遣いの者に手紙を渡すように伝え謝礼金を持たせてジェロシー家に向かわせた。


 

 一仕事を終えた彼は、身につけていた手袋を外した。彼の小指の先が元から無かったかのようになくなっている。 彼は傷を見て舌打ちをした。忌々しい傷痕、これはある少女につけられたものだ。

 

 部屋の窓から、ジェロシー家に向かう馬車を眺める。


「彼女に一役買ってもらおうではないか」


 夜の王宮に彼の高らかな笑い声が響き渡る。その時、彼の机の通信機がなった。


 彼は電話の相手を確認すると喉をごくりと鳴らした。電話から聞こえてくる声は、若い青年の声だ。


 「どうだい計画は進んでいるかい」


 「はい、順調に進んでおります。次期皇帝陛下」


 王宮に蠢く陰謀に気付いている者はまだいない。


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