――負けてたまるか。
このくそったれな里を、家をもっともっとぐっちゃぐちゃにしてぶっ壊すまで、まだやられるわけにはいかない。いかないんだ……。
だのに……! なんなんだお前は‼
ちょっと前まではただ守られるだけで何もできない、安穏と陽の下で育てられてきた雑魚だった癖に。何がお前をここまで強くした⁉
――畜生が。左腕が、左手が疼いてきた。無茶をし過ぎたせいか、アズミの術で誤魔化しが効くのももう限界か。――あぁ、もうどうにでもなれ。
リゼは左手に、ありったけの巫力を込める。
――破滅誘う魔の刻印よ、その過ぎた力、すべて使い切れ! この腕ごと、体ごとくれてやる……!
宙に光球を浮かべ、左手に炎を纏わせ、さらに右手に光の球を構え凝縮し続ける。遠距離はすべて弾かれる、避けられる。なら、無理やりに直接叩き込む。後のことなんて知ったことか。こいつに勝てるならもうどうなってもいい。どうなってもいい……!
――だから。
一撃くれてやる!
「倒れろォ‼」
宙に浮かべた光球すべてを光の矢として豪雨のごと奴に向けて撃ち込む。命中精度などの制御は滅茶苦茶だが、もうどうでもいい。奴がこれを回避したところに炎を撃ち込み、風で受け止めさせ、最後にこの光球を槍にして至近距離で撃ち込めば……!
――地を見守る雷よ
彼女にただ、ひとときの眠りを――
最後にそんな言葉が聞こえた気がした。
(オレは…………僕は……私は……ま……だ…………)
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