bride gate hunter

詩海猫
詩海猫

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公開日時: 2021年8月14日(土) 03:20
更新日時: 2021年8月14日(土) 21:21
文字数:1,853

桐生春人…わんこ系美少年。高校二年。

佐光湊…大学二年。こげ茶の長髪。

神原健…社会人二年。黒髪メガネ。

人でごった返す中迎えに来てもらって、その後一緒にごはんに行った。

ご飯の後ホテルまで送ってもらい、また翌日会う約束をした。

彼女は本当にこの街を良く知っていて、私の進学希望先や行きたい場所へのガイドも買って出てくれ、滞在中すっかり意気投合した。

彼女は十七歳で、実家は朝街にあるが家の都合で昼街のセカンドハウスに一人暮らしなのだそうだーー詳しいはずである。


彼女のおかげもあってすっかり昼街に魅了された私は迷わずこちらへの移住と進学を決め、住む所も学生用に運営されているアパートの幾つかのうちで比較的学校に近い所と契約できた。






「莉沙!」

「お待たせー!麻衣」

無事この春に卒業し昼街に越してきてニか月、放課後や週末に莉沙と待ち合わせて出掛けるのもすっかりお馴染みとなった。

昼街歩きもすっかり慣れた私だが、今日は莉沙の友達を紹介してくれると言う。

彼女曰く、

「彼等もこの街には詳しいし、何かあった時頼れる相手は多い方がいいわよ」

だそうだ。

待ち合わせ場所はお洒落なカフェで、莉沙について行った先には三人の男性がいた。

「僕は桐生春人はると、聖桜高校の二年」

明るい茶色の髪の小柄な少年が言い、

「俺は佐光みなと、聖桜大の二年だ」

そう言ったのはこげ茶の長髪を後ろで括った青年、

「神原たける、社会人二年、よろしくね」

こちらは黒髪の__ひと言で言えばイケメンメガネ?

て いうか全員タイプの違うイケメンなんだけど__莉沙の友達って顔面偏差値高すぎない?

どうやって知り合うの??


「麻衣と知り合った時と大差ないわよ、そんなもんじゃない?」

ーー言われてみれば。

莉沙って見た感じちょっと近寄り難い美少女なのに面倒見良いもんなぁ、顔で助けてるわけじゃないんだろうけど、この面子でいると誤解されそう。

「うん、大体何考えてるか想像ついたけどまぁいいわ。麻衣、何にする?」

と莉沙がメニューを開き、

「ここはケーキが美味しいからおススメだよ麻衣ちゃん」

と神原さんが言い、

「お前は甘いものなら大体そうだろう」

とブラックコーヒーを手に佐光さんが突っ込む。

「甘けりゃ良いってもんでもないぞ、甘党を舐めるな」

「良いトシしてンなことで漫談しないでよ〜」

とキャラメルマキアートを掻き回してるのが桐生さん、と。

うん、大体把握した。


私と莉沙は揃ってケーキセットを注文し、ケーキを完食して紅茶のお代わりを頼んだところで、

「そういえば麻衣ちゃん、最近学校で変わったことはない?」

と神原さんが訊いてきた。

「変わったこと__ですか?」

「うん、急に学校来なく生徒がいるとか、友達と連絡つかなくなった とかさ?」

「特にないですけど……?」

「そっか、なら良いんだけど。何か不審に思うことあったら連絡して?」

と連絡先をメモした紙を渡された。


えーと……?


わけが分からず莉沙の方へ視線を向けると、

「まあ念のため持っておけば良いんじゃない?ナースコールかなんかだと思って」

「誰がナースだだれが」

「ナースならもっと可愛い存在にやって欲しいよね」

「永眠させてやろうかハル」

「添い寝も可愛い女の子の方がいいなぁ」

「あんたが女装したら似合うわよ、ハル」

「お いいなハルが女装して街徘徊してみたらどうだ?」

「ヤだよ、いくら線が細くたって僕男だよ?」

どうやらこの中では年齢でさん付けなどのルールはないらしい。

ハル、ミナト、タケル、莉沙はそれぞれ名前呼び捨てでこういったやり取りが通常運転らしい。

「まあ最近若い女性の行方不明が増えてるからな、用心に越したことはないぞ」

ミナトさんが言い、

「行方不明……?」

初めて聞く話に私は驚く。

「ああ昼街ではまだ報道控えてるみたいだからね。西の京で連続して起きてて、徐々に中桜でも増えてるみたい」

「え 報道されてないのに皆知ってるの?」

「私は親に注意されたのよ、気をつけろって」

「俺はたまたま行方不明になった女の子の身内が校内にいたのでな」

ミナトさんが言い、

「そうなんだ……」

「行方不明になってるのは十代後半から二十代前半の女性だそうだからマイちゃんならドンピシャだ。気をつけてね__まぁ、リサもだけど」

タケルさんは付け足しみたいに言ってるけど、選り好み激しい犯人が狙うなら、十中八九 莉沙の方だと思う。

私が犯人だったら絶対そうする。

私は群衆に埋もれるけど、莉沙ならどこにいても目立つもの。

私は心配そうに莉沙を見たが、当の莉沙は苦虫を噛み潰したような顔をしていたしタケルさん達も何か言いたげではあったが、結局誰も何も言わなかった。


なんだかすっきりしないまま、連絡先だけ交換してその日はお開きになった。
























莉沙の名前が最初菜乃花だったので直し切れてない箇所があるかも。あったらすみません。是非誤字報告お願いします。

次話、異界からとんでもない連中が登場しますよ〜☆

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