漸くタイトルの元ネタ登場。
サブタイトルのある無しは気まぐれですのであったりなかったりします。
そして、唐突にそれは起こった。
私が住んでるアパートに突如穴が開いた。
壁でもドアでもなく、ベッド上の空間に、だ。
そしてそこからは見た感じ二十歳前後くらいの男性が二人出てきた。
彼等が通り抜けるとその穴は音もなく閉じ、部屋には静寂と闇が満ちていた。
そう、私は寝ていたので部屋は真っ暗だ。
彼等が開けた(?)穴が光っていたので目が覚めたのだが、吃驚して口が聞けなかったのが幸いしたのか、二人は私の存在に気付いていない__筈 なのだが……、
「真っ暗だな。誰もいないとこに出たのか?」
「そんなはずはない__座標はちゃんと設定していたはずだ」
「そうだな__女の匂いがする」
「っ!」
(匂い!?匂いでわかるのっ?!)
麻衣は手で口をおおって必死に悲鳴を飲み込んでいたが、静かな部屋には息遣いさえ響く。
相手が自分の方に向かってくるのを察し、麻衣は咄嗟にベッド近くに置いてあった懐中電灯を相手に向かって点けた。
暗闇に慣れているならこれで目が眩む筈だ。
「ぅ……っ!」
照らされた相手が慌てて腕で目を庇いながら一種目を閉じたのを見て、麻衣は力いっぱい懐中電灯を窓に向かって投げつけた。
大きな音が響き、ガラスが砕け散るのと同時に麻衣はベッド下に身を伏せた。
ここは学生寮も兼ねてるから、警備システムもしっかり張られている。
異常を察して駆けつけてくれるはずだ。
若しくは、二人がこの出来事に少しでも動揺して立ち去ってくれればいいのだが__……
麻衣は必死に祈った。
警備システム音が鳴り響いたことに少しは動揺したのか、
「!おいリュシオン__」
「いや、窓から飛び降りた気配はない、匂いは窓の外と入り混じっているが__」
「!」
麻衣は暗闇で息を呑む。
そこに、外の草むらがガサガサと音を立てた。
「ーー生き物の気配がするな、ほんとに逃げてないのか?」
「__確かに外に人のいる気配がするな、この警報のせいだろう、集まって来た」
見えない暗がりでその男から目線を向けられた気がして、麻衣は竦みあがった。
「まあいい。ここは引こう」
男二人が部屋から出て行き、その後も麻衣は暫くじっとしていたが男二人が戻ってくる気配がないとわかるとほぅ、と息を吐いて窓の外の草叢に目をやると野良猫の親子が見えた。
__助かった。
ありがとう、野良猫さん。
心の中で感謝の言葉を唱えながら、駆けつけた警備の人を部屋に迎え入れた。
以上の顛末を莉沙を含め皆に話し終えると、皆一様に苦虫を噛み潰した顔をした。
莉沙にはあの後直ぐに連絡したら家まで迎えに来てくれて、
「今日はうちに泊まって」
と言ってくれたのでお世話になっている。
そんな莉沙の“おうち”とは驚くことなかれ、シャングリラ・タワーの二階である。
そう、あの内側窓にはタワー内のショッピング客が見え、外側には水族館とガラス一枚で繋がったプールが見えるハイクラスなアパルトマンに一人暮らし__莉沙ってもしかして凄いお嬢様?
いや、莉沙なら違和感ないけど。
莉沙は当日話した時、空を見たまま、
「匂い、ね……」
と一瞬黙ったが、
「とにかく、ここなら麻衣がいたアパートよりはセキュリティが厳重だし、出来るだけ私と離れないこと。いいわね?」と言われて三日目、莉沙のアパルトマンに集まった彼らに改めて報告した形だ。
「噂には聞いてたけど……」
「__まさか本当だったとはね」
「いきなり空間に穴、か……」
上からミナトさん、ハルトくん、タケルさんの順に言いながら頭を抱えた。
私は皆の反応に違和感を覚える。
「信じられない」
とかでなくこの反応って……皆、もしかして奴らの存在を知ってた……?
私の疑問の視線を受けて、
「えぇと、麻衣、実はね……」
莉沙が、ばつが悪そうに切り出した。
____同じ頃、中桜区のタワーが見えはするが人気のない裏路地で、
「お前、本気であの時部屋にいた女を探す気か?」
「当然だ、この世界に来て一番はじめにエンカウントした女だぞ?花嫁にしないでどうする」
白い長髪を束ねた青年の問いに、青い髪と瞳の青年が不敵に答え笑っていた。
なんでこんなに設定てんこ盛りかって言うと思いついたネタをとっとと書かないと書く体力も気力も減る一方で永遠に書けそうにないからです。
後はモチベ持続、これが一番読めないですが、今上下運動激しいので。続きがスラスラ書けるのとそうでもないのが日によって違うので出来た順です、マジで。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!