「あなたは、この「世界」の未来を切り開くために飛んだ。違いますか?」
「この世界の、——未来?」
「世界はあらゆる可能性に満ちています。「運命」が存在するとは言いましたが、その運命と言うのは、その可能性の一つ一つが、確かな形になっていく場所でもあります。世界にはまだ、「明日」が訪れていません。あらゆる可能性、あらゆる不確定的な要素の中に、揺らぎ、波打っています。たった1つの形も持てないまま。…たった1つの空も、持てないまま」
「日本はどうなっていくんだ?」
「「日本」?それはあなたの住んでいた「場所」ですか?…いいえ。そんなことを聞くのは野暮ですね。しかし、“それ”がどうなっていくのかは問題ではありません」
「というのは…?」
「未来はまだ決まっていない。そう言うのがいいのでしょうか?「時間」はまだ動いているのです。——そう、永遠に。途切れることもなく変化が続く。たった一つの確かな答えなどどこにもないのです。あなたが空に飛び立った時のように」
亡霊は微笑んでいた。
それでいて遥かな眼差しを向けていた。
それがどこに”向き”、どのような“時間”を持っているのかはわからなかった。
ただ、無性に寂しい感情だけが、茫漠とした霧の中に漂っていた。
先が見えない。
はっきりとした「境界」もない。
そんな不確かな“景色”の中に。
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