ランは口を開けたまま天井にある階段を見つめる。当然だ。階段と言っても隠れ部屋に繋がりそうなボロボロ階段ではなく、まるで高級ホテルにありそうな、シンデレラが降りてきそうな、金色と白で輝く長い階段だからだ。とても吸い込まれそうな、でも誰もいなくて少し不気味な雰囲気を漂わせていた。
「なに…これ…」
ランは少し怖くなり、一旦トイレの部屋から出た。
あんなの始めて見たし、そもそも今まで天井に階段があるなんて気づかなかった…。てゆうか、あるはずない。だって、おばあちゃんの家は一階建てだ。おばあちゃんの家に来るときも、外観は一階建てで階段なんて見えなかった。これは…幻?
ランは階段があることを信じられず、一旦家の外に出て階段が見えるか確かめに行く。
しかし、階段は見えなく、外から見たら普通の家だ。屋根も平たい。
「あれ、私疲れてんのかな…。こわ…。幻想みちゃったのか…」
ランはすこし安心したのか肩の力が抜けて、玄関のドアを開け家の中に入った。
…。
ランはまたあのトイレの部屋に入ろうと思ったが、少し怖くてやめた。きっと幻だろうと思い、階段の事を忘れたくて、祖母と母に頼まれた皿洗いをし始めた
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