祖母が留守のときに入ろう。ランはそう考え、最後の苺を飲み込んだ。
蝉の鳴き声で目を覚したランは歯を磨くため洗面所へ。鏡を見るといつもより顔がむくんでいて片目が一重になっている。ランはため息をつきながら、指先で瞼をいじる。
「こら、そんな触ると目が垂れて不細工になるよ。」
祖母は朝早くから髪もセットして赤いリップをした小綺麗な姿で後ろから話しかけてきた。
「あれ、おばあちゃんどっか行くの?」
そう聞くと、祖母は「久しぶりに知り合いとお茶しにいくのよ。私運転できないから、あなたのお母さんに送ってもらうのよ。久しぶりの遠出よ。」と鏡で髪を整えながら答えた。ランは「ふ〜ん、いってらっしゃい」と眠そうな声で答えたが、トイレの部屋の存在を忘れてはいなかった。今日があの部屋に入るチャンスだと思い、怪しまれないように呑気なふりをした。
「じゃ、いってきます。ランちゃん、洗い物よろしくね。」
母と祖母に家事のお願いをされ少し不機嫌になりそうだったが、ランはあの部屋に入れるため少しワクワクしていた。
「はいはい、分かったよ。いってらっしゃい〜。」
ランはそのまま手を振り、玄関の重たいドアを閉めた。
やっとだ…。トイレの部屋に入れる。
ランはすぐにトイレの部屋へ向かった。
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