パラミツ大陸にあるジャクソンフルーツ自治国にて。
ジャケツイバラという街にある酒場「シュロ」。その店は今日も賑わっていた。そんな時であった。急に酒場の扉が開き、白い服を着た人達が来た。
「ん? なんだ?」と酒場のお客さんや、店主やウェイトレスの男性もビックリしていた。
白服の男性1人が話た。「おい、コウジってやつはどこだ?」そう言った。
「ここだ、俺がコウジだ。何の用だ」
「コウジ、お前は本日をもってトルンジャ城現王女タピアン様の婚約者としてお連れする!準備せよ!」
「は?」
すると、シュロの店主がやってくる。
「おいどういうことだ?」
「このコウジは珍しい橙色の髪色をしている。王女はそこに目をつけたのだ」
「はぁ…… ?」
「ちょっとまて! そんな理由で俺を選んだのか!?」
「そうだ! 王女の命令は絶対だ」
「ふざけたやつだな。わかった、準備する」
「行くのか!?」
「大丈夫だよ、オヤジさんちょっと様子みるだけだから、すぐ戻るよ」
「わかった」
コウジは酒場の二階に向かい、自分の部屋で小さめなリュックを持って降りてきた。コウジは親が誰なのかわからない。この酒場のオヤジさんに拾われた。あれは寒い夜だったそうだ。酒場の扉付近で小さな籠の中、1人赤子が寝ていた。オヤジさんはそんな赤子を拾って名をコウジと名付け、今まで育てた。このオヤジさんが親のようなものだ。おかげで逞しくそだった。コウジは荷物を持ち、オヤジさんに「行ってくる」そう言い、酒場をでた。
「おい、君この馬車に乗れ」
「わかった」
白服たちとコウジは馬車に乗り、城に向かった。
城はすぐ着く。この街の中心街なのだから。
馬車は城の門をくぐると、広い庭園を抜け次の門で止まった。
「おい、降りろここから王女の間まで歩いて行くぞ」
「ああ」
そういうと、白服とコウジは馬車を後にし、城内へと入っていった。なんて、広い城だ。コウジは城内を見渡しながらびっくりしていた。何年もこの街に住んでるが、城の中には入ったことない。それはそうだ。貴族でもないし、王子でもないし兵士でもないのだから、それはそうだ。ただ、今入ってみて思うのは、城の中とはこんなにも見たことない景色だ。まるで、宝石のようだ。
そう思いながらコウジは白服に連れられ城内を進んだ。
ここは王女がいる王女の間。そこにタピアン王女はコウジを待っている。目付きの悪い白服の男が「ツガでございます! ただいまコウジ殿をお連れしました!」と大きな声で扉の向こうへ叫ぶ。
「入れ!」女性の声で、聴こえた。すると、白服の男は、その扉を開けた。開けたその先に見えたのは2人の付き人と、大きな豪華ないかにも王女が座りそうな椅子に彼女は座っていた。悪魔のような雰囲気をもたらした女性だ。実はこの王女は、この国では策士の鬼女とも呼ばれ、先の戦争でも活躍し、国を統治した。王様でも手が付けられないほどの我がゆく最恐の王女タピアン・アクチラムス二世だ。
コウジと白服は、タピアンの目の前で跪いた。
「その方、顔をあげよ」その言葉に2人は顔を上げる。コウジはその時1番近くで、王女の顔を初めてみた。その顔は、たしかに王女の風格がある。だが、何処と無く小さな女の子だった。白いカールした髪の毛に服装はピンクのかかったゴスロリのようなドレス。身体は裁縫で使う細い糸のような細く切れそうな身体。凄く真っ白で綺麗な肌をしている。まじまじみると、なんでこんな子が王女で、しかも最恐なんて呼ばれているのか、コウジは見ただけでは全く思わなかった。そう、この時はなにも全く思ってなかった、彼女の全貌を。
コウジは目を見開いて、タピアンを顔をみていた。何一つ目をタピアンから離さなかった。逆に、拍子抜けした。どこぞの馬鹿な王女ならガツンと一発言って、帰ればいいと考えていたのだから。コウジは予想とは反して驚いた。衝撃だった。
これからどんな出来事が待っているのだろうか。この時はなにも考えてなかった。
そして、このさきコウジたちはどんな生活、人生を送ることになるのか。誰もわからない、本人でさえも。
これは運命と想い、まだ見ぬ2人の男女を中心とした、心に染み付くヒューマンドラマである。
始まり始まり。
ー 1D. 橙色の子 ー つづく。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!