「ジルはこの子を看てて」淡いグリーンのドレスの女の子が言った。
「はい」メイドの一人が言った。
「ネッキィは下に行って知らせてきて」今度はイエローのドレスの女の子が言った。もう一人のメイドが強く頷くと立ち上がり、階段へと走り消えていった。
「行こう」
「うん」
片膝を付いて倒れたメイドの側にいたドレスの女の子の二人は互いに頷きあうと、立ち上がり手を繋いで内側にドアが開いたままになっている部屋へと向かった。
「じゃあ」
「入ろうか」
二人の女の子は手を取って、イエローのドレスの女の子が閉じたままのフレンチドアのもう片方を開けて女性貴族専用の部屋に入った。
入ってすぐのリビングは、彼女達にも見覚えのある風景だった。このフロア全体が二等貴族の女性専用階になっていて、彼女達も昨日からアサスタンティング城に入っていたのだった。
彼女達はリビングの左の寝室へのドアが少し開いている事にもすぐに気付いた。リビングのテーブルやチェアなども整然と配置されていて特に荒らされたという事もなかった。
彼女達二人はお互いの顔を見合ってから頷きあうと、繋いだ手の指をしっかり絡め合わせてから寝室のドアへと向かった。
イエローの女の子がグリーンの女の子の腰に抱きつくようにして、グリーンの女の子がドアにそっと力を加えていった。ゆっくりと僅かに軋む音をさせてドアが室内へと開いていった。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!