この話を親愛なるマルクス先生に捧げます
第一節:佐々木隆という男
購買部で買ったサポーター、あれをいっぱい買い占めてハンガーに吊るして、冷凍庫でカチンコチンに冷やして、教室の中でブーメランみたいにして投げたよな。あれはあれで楽しかったんだ。ああ、楽しかったんだ。
2024年4月7日東京都立紫陽花小学校|とうきょうとりつあじさいしょうがっこう|3年2組の教室
佐々木隆|ささきたかし|「社会の宿題忘れたやつ挙手」
スー・・・(渋谷|しぶや|タルカス、前園豪鬼|まえぞのごうき|、笠谷竜蔵|かさやりゅうぞう|この3人が手を挙げる)
佐々木隆「come on!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 」
折檻教室|せっかんきょうしつ|アルタ…この教室で佐々木の折檻を乗り越え現在格闘技界、スポーツ界で現在大活躍の選手はかなりいる。中でもボクシング7階級王者 祇園覚|ぎおんさとし|は小6の時佐々木を開始1秒跳び膝蹴りでKOしている。ということで今回は渋谷、前園、笠谷が今年のゴールデンルーキーに選ばれたということになる。
佐々木隆「おい、やれんのか」
笠谷竜蔵「やれる?気持ち悪いなそっちの趣味なら二丁目でやりな」
前園豪鬼「スト2の大会で忙しいから帰るドンッ。」
渋谷タルカス「タカシ、オマエインポダロ、ダマッテテヤルカラトットトウセナ」
佐々木隆「おまえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇえ」
隆は怒りのあまり音速を超えていた、モンハナシャコは秒速23メートル、これは地球上で一番速いパンチャーと言える。だが、隆のそれはモンハナシャコの秒速パンチを遥かに超えていた。祇園覚に敗れて以来、隆は幾星霜|いくせいそう|にわたり右ストレートだけを鍛えまくり、気づけば隆の右腕はウェルダンに焼かれた焦茶|こげちゃ|のボンレスハムになっていた。だが、隆は音速パンチを繰り出している最中、違和感が身体中に走った、痛みではない、嫌な予感の類だ。
佐々木隆「違和感…これは・・・」
去年の夏まで隆はビーチでナンパ、バーでナンパ、レジャー施設でナンパ、満たされなかった。
佐々木隆「みんな可愛かった、優しかった」
でも、満たされなかった、あの敗北の味を覚えて以来、彼の人生全体において負け犬のMが身体中に烙印|らくいん|としてきざまれてしまっていた。
佐々木隆「あぁそうか、俺はもう」
渋谷タルカス「ソウダナ、オツカレサン、ナガイキュウヨウヲシッカリトリナ」
佐々木は宙に舞っていた
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