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第38話 ここ掘れあるあるアルバイト(ミクル視点)

公開日時: 2023年7月11日(火) 22:04
文字数:2,147

「決めました。私、アルバイトをします」

「ミクル、急に真顔になってどうしたん?」


 無事に試験も結果が出て、不合格になった私はケセラさんの自宅でのんびりしてる時にて大暴露を吐き出しました。

 それに反して極めて冷静なケセラさんが、私のおでこに手を当てて不思議そうな表情をしています。


「ふむ、熱はないみたいやな」

「……いや、記憶障害かも知れない」

「どこか悪い所を打ったというわけか」


 ケセラさんがジーラさんの問いかけに深刻になりながら私の頭を柔らかく撫でてきます。

 私は犬ではなく、ここ掘れワンワンじゃないのですが?


「私は埋蔵金探しではなく、普通にアルバイトをしてですね……」

「あら、埋蔵金探しのバイトならリンカの執事になりませんこと?」


 リンカさんが当然のごとくにバイトをお勧めしてきますが、何やら危険な匂いがします。

 埋蔵金という響きはいいのですが、見つけてもその土地の持ち主に権利があるみたいですし、下手をすると泥棒ですよね。

 ワシ入らんから根こそぎ持ってけ泥棒じゃないんですよ?


「……俗に言われる梅干しという稼業」

「そう、まさにスパイですわ」

「……酸っぱい味だけに」

「つまり、それだけ濃厚で稼げるバイトですわ」


 リンカの話によると、一日ボディーガードとやらで、カラシ入り水鉄砲の流れ玉やら、抗議のデモで投げつけてくる空き缶や、子供のイタズラなどからあるじを守るだけで万単位の金額が貰えるとか……。 


 高日給だけに意外とハードなバイトですね。

 子供のイタズラが一番気になりますが、リンカさんは一体誰を敵に回しているのでしょうか?

 ヤバそうな裏の匂いがぷんぷんします。


「……ジーラもバイトを希望する」

「ジーラは何すんの?」

「……無論、パン屋では働く」

「なるほど。そこでパン作りの技術を磨くのか」


 確か、スタッフとして二年以上働いたら調理師試験に挑戦できると小耳にしたことがあります。

 アルバイトでも条件を満たせば可能ですがそのためには……。


「ジーラ、それなら今の学校を中退するしかないですわ」

「別にいい、凡人には難しすぎた」

「ジーラ、気持ちは分からんでもないけど高校は卒業した方がいいで?」

「……もう勉強をやる方も苦痛」


 そう、ジーラさんはパン屋の専門学校の夢を絶たれてカルチャーショックを受けていました。

 ここは私が一肌脱ぐ出番ですね。


「ジーラさん、何か私にできることはないですか?」

「……なら、あんドーナツとコーヒー牛乳買ってきて」

「はい、了解です。ジーラ大統領」

「おい、さりげなくミクルをSPにしてパシりに使うなや」

「……ケセラのいけず」


 ケセラがジーラの頭に拳を軽く当てるとジーラは舌を可愛く出しながら微笑んでいた。


 ちょっと、今のどこにお笑いの要素があるのでしょう?

 ジーラさんがお腹が空きすぎて倒れそうだから代行で買ってきてという展開じゃないですか?

 普通ならお涙頂戴になりませんか?


「ミクルも甘やかさんで。こん、すぐに調子にのるから」

「……大波にのったつもりで」

「誰がサーファーになれと言った?」

「……波に飲まれるよりかはマシ」

「いちいちさざ波を立てんでくれるか?」

「波乗りピカ虫ー♪」


 ピカ虫はともかく、ジーラさんがパン屋でバイトをすることはほぼ決定みたいですが、私のやりたいことは何でしょうか?

 バイトなら何でもいいという考えが自分の首を絞めるとは思いませんでした。

 二人の言い分を聞いてるとなおさらです。


「はあ……。まさか浪人生になるとは思いませんでした。てっきりみんな仲良く合格するのかと……」

「ミクル、恨むなら作者に対してや」

「それもそうですね。作者さん、どうしてですか? あまりにも理不尽過ぎますよ?」

「これは作者さんに対して怨恨の可能性、大ありですわ」

「仕舞いには後頭部に花瓶を食らうというわけか……」


 それからしばらく悩んだ上、私は慌ててバイトを探す必要もないとお父さんに言われ、可愛い子には旅をさせぬと釘を刺してきました。

 お父さんとしては大学に行けるための手助けや手続きは惜しまないから心配するなと……。


「ミクルの親父さんは、ほんま優しくて過保護やな」

「……自分が親に試験に落ちたと言ったら、小一時間正座させられて、めっちゃ怒られた」

「分かるで。ジーラの母親は出で立ちからして怖いもんな。目つきも野獣のように鋭いし」

「……野獣どころか、動物園の檻から出てきた猛獣に近い」

「せやな。頭からパクリと逝きそうやな」

 

 ジーラさんのお母さん、元ヤンキーで金髪にピアスもしてて、昔と変わらず今も変わらない方向性ですよね。

 それでも今は角が取れて大分丸くなった方らしいですよ。


「……自分の家はスパルタ教室」

「中身は教育やけどな」

「………心の中で何回やられて転生したか」

「それはテレビゲームのやり過ぎや」


 人にも色々あるように、その人の家族構成も色々あるんですね。


 さあ、私は何のバイトを始めましょうか? 


 ケーキ屋はハードルが高いですし、新聞配達では早起き出来ないですし、清掃会社ならワックスで滑りそうですし、コンビニではレジ対応に追われそうですし……。


 共通して感じた結果、私には向いてないバイトばかりですね。

 もう、このことは忘れて水に流しましょう。


 私はうんうんと悩んだ結果、とりあえず卒業式を受けないとと思いました。

 この続きは卒業式にて──。

 春からミクルが浪人生になり、とりあえず暇ならアルバイトでもやってみたら? な展開になりました。


 作中のミクルも筆者に文句を言ってますが、前にも告げた通り、当初は普通に試験受けて合格の流れでした。


 しかし、ここで落ちたエピソードに変えることで物語に深みが増し、より上品なコーヒーの味になりました。

 マメから抽出したのはまろやかさではなく、コクのある味わいだったのです。


 コーヒー欠乏症にしか分からないような解説ですみません。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

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