JK四人が気兼ねなく過ごす、はーとふるな毎日のしょーとこんと♪

コントのような日常をご賞味あれw
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第1章 それでは四人集まって、にこやかに行きまショウ

第1話 落とし物、流れ者、素敵な食べ物(ケセラ視点)

公開日時: 2023年3月17日(金) 21:43
更新日時: 2023年3月19日(日) 19:17
文字数:1,864

 この作品は前回カクヨムで好評だった『JK二人が何気なく話すしょうもないしょーとこんと♪』の続編になる作品です。

 JKとは女子高生の略語であります。


 前回の作品も、ここに掲載したかったのですが、色々と都合上、ここでは続編のみを公開することにしました。


 元は大人気漫画の『ゆるゆり』から影響を受けた作品でもあり、ゆるい日常な設定は勿論、女性主人公で百合漫画的な発想もそこから来ています。


 ゆるゆりでは女子中学生が主役ですが、それでは幼すぎるし、逆に女子大生にしたら、もっと大人な会話になるのではと思い、女子高生の設定にしました。


 それでは四人による、一人称の視点で繰り広げられるコントのような日常をお楽しみ下さい。


 麗らかな春の陽気に、窓を開けた教室へと流れてくる心地よいそよ風。


 二時限目であり、白髪頭であるエンガワ社会科教師による世界史の授業を耳にしながら、ケセラは懸命にノートをとっていた。


 ──ウチの名前は今年で高校三年になるケセラ。

 右隣の席にいるのはミクルといい、ウチの古くからの友達よ。


「ケセラさん、今、何か言いましたか?」

「ミクル、ウチの心を勝手に読まんでくれん?」

「もうどうせならケセラさんの心を電子書籍にして読みたい気分です。ケセラさんの赤裸々な過去が満載と‼」

「そんなん誰が読むんや。マニアックな趣向のおっさんかい!」

「いえ、例えおじさんが作ったとしても、シュークリームなら大好きなんですけどね」


 この天然が入ったミクルという子はこんなバリバリな茶髪にピアスも着けたギャル風なウチに毎回気さくに話しかけてくる。

 いや、与作や気さくはいいんやけど、今が授業中じゃなければ、もっと嬉しいんやけど……。


 ──ミクルが自身のノートに再び視線を移したその時、ウチの足元に茶色いサイコロみたいなのが転がってきた。


 何やろ、ちょい変わった色やけど、形からして消しゴムやろうか?

 筆記中に無いと困るナンバースリーに入るアイテムだし、ここは拾ってあげるか。


 ケセラは先生が黒板に向いた瞬間の隙をついて床の落とし物を拾う。


「何かやたらと匂うな、コレ……」


 それに触るとベトベトやし……何を消したらこんな質感になるんかいな。


 転がった先のすぐ前の席には赤毛の女の子が教科書を机に立てて、机に置いてある何かに夢中である。


 なるほど。

 授業そっちのけで夢中で携帯ゲームをしていたら、この消しゴムを落としたというオチか。


 彼女、確か新学期に転校してきたリンカだっけ?

 ろくに勉強もせず、あんな遊んでる感じなら、今年は受験生を目指してなく、就職活動派かいな?


「ねえ、リンカだっけ。落とし物だよ?」


 またもや黒板にチョークを走らせる先生の油断を狙い、ケセラは前のリンカの肩をつつき、小声で話しかける。


「まあ、何てことなの。リンカの貴重な食料が!?」

「はっ、今なんて?」

「ああ、リンカのママが端正込めて作ったサイコロステーキをこぼすなんて……バレたら明日から首なし姿で登校だわ」

「うへっ、肉の固まりなん、コレ!?」


 ケセラは大慌てで食べられる予定だったサイコロステーキを後ろにあるゴミ箱へと素敵な流れで投げ捨てる。

 ストライク、スリーアウチ(イタい)チェンジ!


「今度生まれ変わってくる時は立派な消しゴムになってくるんやで」


 それにしてもあのリンカが授業中に早弁をしていたとは……。

 ケセラは本能でああはなるまいと思いながら、机のノートに視線を戻し、先生の授業を心して聞く。


 すると、またもや転がってきたというか、机の上に飛び込んできた落とし物。

 細長い外観からして鉛筆のように見えたが、アレはビニールの包装紙に包まれていて……。


「これ、サラミやん」


 投げてきた後ろの方向には黒髪の大和撫子、ジーラ。

 彼女もリンカと同じ転校生だ。


 そのジーラに視線を送るが、相手は知らないフリで授業のノートをとっている。


 あれ? 

 ジーラが投げてきたんじゃないんか……?


 まあ、今は関わっている暇はない。

 ケセラは見なかったことにして、机の引き出しにサラミを入れ、ノートに向き直り、授業に集中する。

 その時、ケセラは何かの動きを感じた。


「メシ取ったり‼」


 猿と化したケセラは両手で真上を飛ぶアイテムをぶんどった。


 掴んだのはさっきと同じドライソーセージのサラミ。

 背後にはジーラが無表情のままで投球フォームの形で片腕を上げていた。

 やっぱり、これを投げていた犯人はジーラだったか。


 一体何の目的でと、投げた先を先読みすると両手を天井に上げ、このサラミを受け取ろうとしていたリンカの姿があった……。


「あー、貴方、リンカのオヤツを取らないでよね。机の中に隠したのも出してよ」

「あんたら、授業中に食べ物食うなよな!」


 リンカの何気ない一言にウチの中の何かが切れた。


「ほーう、ワシの授業をそっちのけで食べ物に夢中じゃとは……」


 ウチが突如発した大声にクラス中が私の方を向く。

 勿論もちろん、黒板とにらめっこしていた先生もだ。


「エンガワセンセー、コレは違うの……」

「ケセラ君、この学校は弁当以外の食べ物の持ち込みは禁止じゃぞ」

「あの、これはウチのやなくて……」

「それにまだ二時限目じゃ。そんなにも腹を空かすのなら、きちんと朝ご飯は食べてくるんじゃな」

「ええー!?」


 ウチはその場でひっくりこけ、クラス中が笑いに包まれた。


 だから何でこうなるん?

 落とす物に救いの先生ありなん?

 ミクルとケセラの通学する学校にジーラとリンカが転校してくるという設定で、早速息のあった空中コンボ? をしてくれました。


 前作では天然ボケなミクルに、そのミクルにツッコミをするケセラと、二人だけの会話のみの展開でしたが、今作は新たに地の文を加え、文字数を増やして小説らしくし、転校生二人が加わることで、より華やかさが増しました。


 前作でミクルとケセラ以外のキャラの絡みが読みたかったという多くの読者さんの指摘を踏まえ、こういう四人での何気ない日常を描くことにしており、毒舌なジーラとお嬢様のリンカの二人も中々の味を出しています。


 今回はタイトルもギャグ仕様と凝った作りであり、この第1話の素敵な食べ物とは、そのままステーキな食べ物から名付けています。


 今まで拘っていた笑って泣く作品作りではなく、読者さんに最後まで笑ってもらいたいと決め、終始コメディー色に染めた作品ですが、これが思った以上に大好評で、後に3作目にあたる社会人編を執筆するきっかけにもなりました。

 前作と同じく、私には人を感動させるライト文芸より、コメディを製作する方が合ってるのではと再度思わされましたね。


 毎回頭の中を空っぽにし、プロットも作らずな即興の物語ですが、最早、コメディというより、コントのように練られた物語であり、次回も笑いどころが満載です。


 こんな芸人みたいな女子高生がいたら面白いですよね。

 是非、お時間があれば、この物語に目を通してみて、七転び八起きと大いに笑い転げて下さい。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

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