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第11話 友情、妖艶、遊園地(ミクル視点)

公開日時: 2023年4月12日(水) 17:19
文字数:2,219

「ミクルー!」


 今日ものどかなお昼休み。

 私が冷房が効いた校内の食堂でAランチセットを黙々と食べてると、ケセラさんがいつものように気さくに話しかけてきました。


「期末テストどうやった?」

「うーん、ボチボチといった所でしょうか」 


 私はケセラさんに小声で点数を明かしました。

 数学と英語以外はほぼ満点です。


「うわっ、相変わらず嫌みのように凄いな」

「ケセラさんは?」

「まあ、ギリギリ赤点は回避かな」


 ケセラさんは可愛く舌を出して柄にもなく照れているようです。


「テストも無事に終わったし、今度の休み、遊園地にでも行こうや」

「えっ、どうしたのですか?」

「いやな、実はさ、ウチの親がさ……」


 詳しい話によりますとケセラさんのご両親が久々に夫婦のみで羽を伸ばしたいと、遊園地のチケットを購入したらしいのですが、当日に二人とも緊急の仕事が入ったらしくて行けなくなったらしいです。


「それで勿体もったいないからとウチに押しつけてきてさ。気軽に行けるような相手は少ないのに……」

「それで私を誘ったのですか?」

「まあね。チケットは二人分しかないから、教室で食べてる仲良し転校生は誘えんし」

「それで私ですか。ふむふむ」

「べっ、別に深い意味はないからね!」


 ケセラさんが一人で季節外れに来た慌てんぼうのサンタさんのようになっていますが、深い意味とはどういう意味なのでしょう?


 ──こうして私は今週の日曜日にケセラさんと遊びに行くことになりました。


 遊園地なんて小学生以来です。

 楽しみで待ちきれないですね。


****


「みっ、ミクル! お待たせ……!」

「ごめん。昨夜あまり眠れなくて寝坊しちゃって!」


 良く晴れた空気が清々しい遊園地のゲートの前にて、約束の時間から10分が過ぎ、ケセラさんがあたふたとやって来ました。


 走って来たせいか、髪型が崩れていましたので手持ちのポーチに入っていたクシで髪を整えてあげました。


「ありがと……」

「うん。じゃあ行きましょうか」


 私はケセラさんの手を取って、駆け足で正門へと移動しました。


 時間は有限。

 ボーとしてるだけでも閉館する時間は迫って来てるのです。


****


「まずはあれに乗りましょうか」

「ミクル、ちょい待ち」


 ここでの指揮権は私にあると思いきや、その行動を止めようとするケセラさん。


「あの、今日は思いっきり楽しんでもらおうとケセラさんがリードしてと言いましたよね?」

「だからと言って、いきなり絶叫系はどうかと」

「あれ? ケセラさん、絶叫系苦手ですか?」

「苦手も何も付き合い長いんやから、それくらい分かるやろ?」

「だったら克服すればいいのです」


 私はケセラさんの手をとってジェットコースターのある場所へ進みます。

 ケセラさんは真っ青な顔でブツブツと呟いていますが、何事もチャレンジ精神が大切です。


「ミクル、ガチで勘弁してや……」

「まあまあ、長いものには巻かれろと言うじゃないですか」

「その長いものが高速で移動するんやけど……」

「速いからあっという間ですよ」


 光を越えた新次元へ……。

 ケセラさんにもこの乗り物を是非堪能してほしい。

 この私の気持ち伝わってくれるでしょうか?


「……ただ単にミクルが乗りたいだけじゃないん?」

「えっ?」


 ケセラさんからの意外な反応で私の動きが固まる。


 どうしてそういう回答に?

 変に裏もなく、一緒に楽しみたかっただけなのに、私の言い方が悪かったのでしょうか?


「でもまあ、並んでしまったからには後には引けんか」


 ケセラさんが覚悟を秘めた目つきで蛇のような行列につられていく。

 もう、流されるがままです。


流石さすが、ケセラさんですね」

「まあね。どこのアトラクションも混んでるし、ミクルがいつも言っとる、時間は有限ってやつやろ?」


 それは嬉しい返しです。

 今、ケセラさんと心が一つになった気分ですね。


「……有言執行」

「おわっ!?」


 すると、ケセラさんの背中から何かが生えてきました。

 喋るからして、キノコじゃないみたいです。


「ジーラじゃん!?」

「……呼ばれて飛び出て」


 どこからか現れたジーラさんにケセラさんは驚きを隠せないようです。


「ジーラ、どうしてこんな所におるん?」

「……神出鬼没」


 ジーラさんがニタリと不気味な笑みを浮かべているのですが、その佇まいから、お化け屋敷の配役にも似合いそうですね。


「もう、ジーラったら。次のアトラクションの予定があるのに、こんな所で何やってるのかしら?」

「その聞き慣れた声はもしや?」

「……そう、リンカ天皇のご登場」


 ジーラさんと出会ったのは偶然で、リンカさんが迷子の彼女を捜していたようです。


「あっ……」

「ミクルちゃんたちじゃない。これまた偶然ね」

「リンカさん、ジーラさんと仲良くデートですか?」

「べ、別にそんなのではないわ。リンカたちは友達として遊びに来ただけだし、それにあなたたちだって!」


 その答えにケセラさんがリンカさんの肩に手を添えました。 


「それは大きな誤解や」

「たまたま暇ができたのでミクルを誘っただけや」

「えっ?」


 ケセラさん、それはデートそのものでは?

 私は隣でケセラさんによる異論を黙って聞いていました。


「……恋の星座、大三角形」

「ジーラさん、流れ的に四人なので、三角形じゃなくて四角が正しいのではないでしょうか?」

「……君にその資格はない」


 もう、毎度ながら、この狂犬の噛みつき具合には困ります。

 一体何なのでしょうね。


 ──さあ、私たちのアトラクションは始まったばかりです。

 残念ながら、ショートショートなこのお話しには続きはありませんけど……。



 期末テストが無事に終わり、二人で遊園地に遊びに来たという設定です。


 書き始めた時は映画館でのお話でしたが、日頃からパワフルな四人が落ち着いて映画館なんて似合わないだろうと感じて、元気よくはしゃいで回る遊園地という設定に変更しました。


 しかし、遊園地で四人揃って回るというのもありきたりな展開ですので、それなら思いきって、二人っきりのデートなイメージにしようと描いた話でした。

 慌てて来たケセラの髪をとくシーンなどに、二人の仲の良い雰囲気が出ていて、これはこれで良かったなあと思ってます。


 ただし、仲の良い恋人通しのデートのようで、少し違う親友みたいな感覚のシチュエーションを大切にしており、定番のお化け屋敷や観覧車などの恋人らしい体験はここでは明かしていません。

 その理由として、この作品のジャンルは、恋愛やラブコメではないという意図から生まれた結果論でもあります。


 小説というものは中々に面白い創作でもあり、一度ジャンルが違えば、違った感じのドラマが書けそうな、思わず読者を唸らせるような作品作りでもあります。 


 毎回頭を空っぽにして描くコントながらに、色々と悩みながら書いた迷作でした。


 後、ショートショートでなければ、もっと詳しく表現したかった惜しい内容でもありました。

 まあ、それは今後のオリジナル作品で生かしていきましょう。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

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