乙女ゲー転生、私が主役!? ……いやそれ、何かの間違いです!

まんどう
まんどう

新たな客

公開日時: 2021年3月9日(火) 18:50
文字数:3,378


 お帰りなさいませ、甘々製造機なハーレムマスター様。待ってたよ! 甘いのはよ!


(は!? 帰ってくるなり言われたこともない変な称号で呼ばれる上に、何訳の分からない催促ってどうい……何この状況?)


 この状況とは……一応? フローラの誕生パーティだというのに、


(一応じゃねえ。フローレンシアの大事な誕生日よ)


 主役がマル君の介抱から帰って来てみれば、そこはまるでお通夜のような雰囲気だった。良かったね! 中身の人には凄くピッタリな光景よ!


(ピッタリってなんだ……。普通は自分のお通夜なんて見れねえよ。それより説明!)


 ベティ暴走、鬼将軍ズ、諭すも微妙に失敗。


(うわぁ、短すぎるって怒鳴るまでもない位、目に浮かんだわぁ。どうせベティが軍属になるって聞かなかったんでしょ)


 それにプラス、思想がやばかったから方向修正して、ギリオッケーレベルになった。


(ギリなの!? どのレベル!?)


 ベティが士官になる勉強を始める事を決意しました。


(はぁ!? どこをどうやっていじったら……)


 で、はわはわマルチ君は?


(……そこへ行くのぉ!? って、聞・け・よ!? こいつは本当にもう……。

 つか、はわはわって何さ? マル君は無事よ。しつこく深呼吸させたのが良かったのかしら)


 ああ、正解の対処法だな。昔は紙袋で息をさせることだったらしいが……。


(知ってた所でここにあるわけないじゃない。ビニールもないしね……なんで紙袋?)


 そんなことよりミリーをいじってくれ。塩っぱい激辛はもう飽きた。


(今日はあんたとまるで会話が成り立ってない気がするわぁ!?)


 そんな俺の思いが通じてか、


(私とは意思疎通できない……いや、しようとしないのにね)


 ミリーが向こうから駆け寄ってくる。やったね! テンパイだ!


(テンパイって何!?)


「ああ……! 良かったですわ! 私何だか生きた心地がしませんでした……!」


「はいはい、ごめんね? うちの怖い人達が」


「「怖い人達……」」


 鬼将軍ずに痛恨の一撃! 真っ白に燃え尽きたぜ!


(混ぜるな。そして後ろのはそのテンションで言われると違和感が半端ねえな!?)


「いえ、違うのですわ……。ベティとは仲良くなったつもりで、まったく分かっていなかったのが分かり……。私ったら、なんと友達甲斐のない事かと自責の念に駆られていたのですわ」


「あー……メイリア?」


「……聞きたいことは分かるけど一応。なぁに?」


「ベティの……」


「知らなかったし、始めて知ることも多かった。……私もびっくりなの」


「そうでしたの!?」


「んで、ベティ?」


「………………」


 呼ばれたベティは無言でミリーの側に寄る。お? リーチか? リーチなのか? いや、まだ待つんだ俺!


(あんたが何言ってるのか分かんないわ……)


「ベティ?」


「………………」


 そしてミリーもベティを呼ぶが、ミリーは目を合わさず無言で


「(ギュッ)」


「え? え??」


「あー、これはあれだな。いじけるっていうか、ごめんなさいが素直にできないで、ただ甘えてる状態だと思う」


「(プクー)」


「そ、そうなんですの??」


「この状態のベティは子供っぽくなるから。ほらベティ? 言いたいことあるんでしょ?」


「む、むー。ミリー?」


「な、何ですの?」


「えっと、あの、その……ごめん?」


「怒ってなんていなくてよ?」


「そうなの?」


「自分自身を不甲斐ないと思っただけですわ」


「でもその原因は……」


「私にありますわ」


「………………」


「ベティは大事で大好きな友達ですわ。そして友達であるならどんなベティでも受け入れて、間違っていれば正し、迷っていれば手を差し伸べるものですわ。……ですが物を知らぬ私はそのどちらもできなかった。それが悔しいのですわ!」


 すげー……。ミリーすげー……。


(語彙力落ちてんぞー。でもまぁ本当に凄い子ね。私はそこまでに思える友達ってこっちに来てからしかいないから、素直に尊敬するわぁ)


 流石中身、わっつらーさんだ。


(わっつらー? ……うわっつらか!? 酷くね!? 暇な時、一緒に遊ぶ程度の友達と、気の置けない友達はレベルが違うだろ??)


 友達をレベル分けってどんだけだよ……。友達甲斐の無いってのは喪女さんにこそふさわしい称号っす。そもそも気の置けないレベルの友達なんて居なかったくせに。


(レベル分けなんて普通ですー。ってか居ないって決めつけなの!?)


 膨らむ中身の喪女さんは置いといて、次こそ来る気がする! リーチ!


(ハリセンボンじゃねえよ!? っつか、誰と麻雀してるの!?)


 ミリーの答えを聞いたベティが更にギューしてる。ミリーは困惑してるが、顔を赤らめて嬉しそうだ。


(これはアレだな)

「はいはい、混ぜて混ぜて」


「あ、ちょっとフローラ……」


 メイリアは巻き込まれた! しかしその視線は男子ーずに注がれている! 今回はちゃんと理解してるようだ! しかし他二名は気付いていない! またしても気付けば羞恥の刑だった! 流石鬼畜喪女!

 そして俺はリー即ツモキタコレ! 待ってた甘い展開!


(うっさいなぁ。最後のはイミフだし……)


 そしてひとしきりきゃっきゃうふふと女子団子を楽しむと


(女子団子って何さ!?)


 フローラさんは気付いていない二名を、男子ーずの方へと視線を誘導する。


 ボボフンッ!!


 効果は抜群だ! 二人同時に茹で上がった!


「んもー! んもー! フローラさんってば!」


「むー! むー!」


 ポカポカ


 ミリーはぷりぷり怒り、ベティはぽかぽかフローラを叩いている。


「あはは、いたいいたい、ベティ止めてってば」


「む―――――!」


 ベティにとっても流されて甘えたシーンだったならともかく、自発的に甘える無防備なシーンを見られたのは相当堪えたらしい。流石ハーレムクイーン喪女さんだ! 数え役満だよ!


(だから何その称号! ……ってこれか! 別にお前を喜ばすためにやっとんとちゃうわ! そして何を役にしてんの!?)


 役は甘々の度合いかな? でもぉ……お楽しみだったんでしょう?


(お高いんでしょう? みたいな言い方すな! あと、モテないのかモテてるのかどっちなんだその名前!?)


 同性にモテて異性にモテない。


(ピッタシだな!? ……じゃねえわ! ああいやどっちだ!?)


 風呂オラは混乱した!


(こんちくしょーめ、黙ってろぉ……)


 ふはは、久しぶりに堪能させてもらったぜ!


(だ・か・ら、黙ってろ!?)



 ………

 ……

 …



 一方、鬼将軍ズ+嫁ーず。



「「……怖い人達」」


「そう言われるのも当たり前でしょう? ミリーさんなんか怯えちゃって、暫くの間は凄く震えてたのだから」


「う……。ごめん」


「謝る相手が違いますわよ?」


「儂は抑えておったろう? 何故これとひと括りにされるのだ?」


「義父上、これ呼ばわりは酷いです……」


「お父様? 何自分は関係ないみたいな事仰ってるんです? フローラの大事なお友達を戦場に送るつもりですか? ……こういうことは本当に頼りにならないんだから」


「あいや、しかしな? 儂だってがん……」


「貴方? 儂だって……何ですか? 貴方がついていながら若いお嬢さん一人、戦場から遠ざけられないなんてどういうことなの?」


「う、あ、いや、その」


「「二人共、暫くの間、反省してなさい」」


「「……はい」」


 嫁ーずは、超・強かった。



 ………

 ……

 …



 一方の男子ーず。


「なぁ、バモン君」


「なんでしょうか?」


「アレが見れるから惚れた訳ではないよね?」


「……何時もなら『見てて良いのだろうか』と聞いてくるのに、今日は違うんですね」


「で? どうなんだい?」


「……少し楽しみになってきてはいますが、それ以前の話です」


「やっぱりきんて……」


「違いますからね!? ……俺のことも家のことも何も知らないただの異性が始めてだった、んでしょうね。割とグラジアス家は狂犬一族として有名ですから。実際、マリオ様が同級生としてあのクラスに居なかったら、有象無象に囲まれていたと思います。

 一方、あいつは俺や家のことを知らなかったどころか、知った後でも態度が変わらなかったんですよね。そんなの、男女含めてもあいつが始めてでした」


「まぁお姉様方の存在を聞いたら普通は引くね。よっぽど情報収集能力の低いお馬鹿でない限り」


「その中でも過激派筆頭であるメアラ姉が、上には更に権力持った姉達が居ると直接脅してます。でも、その存在をちらつかされてなお、あのままですからね。……びっくりですよ」


「それは確かにびっく……」


「あらぁ、バミィ? 何の、筆頭、なのぉ?」


「メアラ嬢!?」「メアラ姉!?」


 お姉様ず、襲来!


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