彼に、話すべきだろうか。
私の事に――過去の事。
ルーシェを殺した事。
学生時代の事。
あの男と、愛し合った事。
私ったら何やってるんだろう。
家に来てくれた時に話せば良かったのに……。
でも、きっとあの人も引いてしまうかもしれない。
ルドルフ兄さんのように、私を人間として見なくなるかもしれない。
もし人間として見なくなったら――もう助けてくれないかもしれない。
今度こそあの男に殺されるかもしれない。
だけど、ここ最近はずっとモヤモヤしている。
私の過去も気持ちも知っているのはマリアだけ。あの子さえ判ってくれればそれで良かったのに、どうしてあの人が頻繁に過ぎるのだろう。
ああ、また胸が痛む。
棘に絡まれたこの胸を、あの人が解放してくれるのでしょうか。
ねえ、アレックスさん。
いつか話を聞いてくれますか。
水面下に沈めてしまった――私の過去を。
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