騎士系悪魔と銀月軍団《ナイトデビルとシルバームーン》

花に寄り添う悪魔騎士、邪を滅ぼし燐光と共に
つきかげ御影
つきかげ御影

燐光の章 水面下に沈む過去

序 迷いの末

公開日時: 2021年3月17日(水) 12:00
文字数:359

 彼に、話すべきだろうか。

 私の事に――過去の事。


 ルーシェを殺した事。

 学生時代の事。

 あの男と、愛し合った事。


 私ったら何やってるんだろう。

 家に来てくれた時に話せば良かったのに……。


 でも、きっとあの人も引いてしまうかもしれない。

 ルドルフ兄さんのように、私を人間として見なくなるかもしれない。


 もし人間として見なくなったら――もう助けてくれないかもしれない。

 今度こそあの男に殺されるかもしれない。


 だけど、ここ最近はずっとモヤモヤしている。

 私の過去も気持ちも知っているのはマリアだけ。あの子さえ判ってくれればそれで良かったのに、どうしてあの人が頻繁にぎるのだろう。


 ああ、また胸が痛む。

 棘に絡まれたこの胸を、あの人が解放してくれるのでしょうか。


 ねえ、アレックスさん。

 いつか話を聞いてくれますか。



 水面下に沈めてしまった――私の過去を。






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