午後からの便は市外の地方への配達が主だ。午前中に比べて楽ではあるが、ミスをしたら取り返しのつかない便だ。
ここでやっと社内での会話が始まった。
「未羽さんはなんで配達の仕事を始めたの?」
「実は、間違えて応募しちゃって……」
「そ、そうなんだ」
呆れたのかそこで会話がストップしたのか、それとも仕事を選んだ理由が無いことに怒っているのか分からなかった。
とりあえず気まづい空気になったのでこっちから仕掛けてみた。
「妃乃さんは何で配達なんですか?」
「私は……絶対に配達の仕事の地位が上がっていくと思っているから。将来はこの仕事ももっとレベルが高くなるよ」
妃乃さんの希望に満ちた目は何故か将来が見えている目に見えた。
見とれていると目的地に着いた。この日1番大きな荷物があった、冷蔵庫だ。妃乃さんは1人でできると言っていたが、私には無理だった。地面から離れさえしなかった。
「一緒に行くよ?せーの!」
すると不思議、すぐに持ち上がってしまった。
運び終えると口が半開きで放心状態になっていた。その隣で次の配達先を確認している妃乃さんは息が乱れていない。
結局軽い荷物だけ配達に行かせてもらって重い荷物は2人で納品した。
これで一日が終わった。と思っていたが最後の仕事がある。
荷物の引取りだ。
まだ帰れそうな気がしなくなってきた。
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