人間姿の黒猫に連れ去られた慎平は樹海の中で仰向けで眠っていた。
それから暫くして慎平が「う~ん」と言って目を覚ますと立ったまま背を向けている黒猫が話しかけた。
「目が覚めたか」
「……」
無言で慎平は身体を起こし立ち上がると話しかけた。
「どうして俺をさらったんだ、目的は何だ」
「目的はお前を餌にシンをおびきだす」
「おびきだしてどうするんですか?」
「復讐する」
「復讐?どうして」
「話は終わりだ、もう少し眠っててもらおうか」
そう言って慎平を引き寄せ唇を奪おうとしたその時、激しい風が吹き黒猫と慎平を離した。
逃げるチャンスそう思った慎平は走りその場から離れた。
「逃がすか」
そう言って黒猫は黒い月の力を左右の手に集め樹海に放った。
放たれた黒い月の力は走りながら逃げている慎平の身体の中に入り慎平の動きを止めた。
「身体が動かない」
慎平が口にした後、黒猫は動かない慎平の身体を勝手に動かし自分の方に向かせ木から蔓を出現させると慎平の左右の手首と足首を縛った。
「これで逃げられない」
「シンと戦うなんて止めろ」
「断る」
「……」
「俺達を復讐の仲間に入れといて自分は人間の男に恋をした、そんなバカなことないよな」
「……」
「……」
真剣な顔で見つめる慎平に黒猫は近づき顎を掴みそのまま唇を重ねた。
その後、黒猫は唇を離し慎平の顎から手を離すと口を開いた。
「シンの前であんたの身体を奪ったらシン、どんな顔するかな」
「……」
黒猫の言葉に驚いた顔で見つめると慎平は黒猫に伸びた葉っぱで口を塞がれた。
「ううう…」
「今からシンをここに呼んで、シンの前であんたの身体を奪ってやる」
そう言って黒猫は慎平を眠らせ黒い月の力を使って声を送った。
「俺の声が聞こえるか…シン」
「……」
人間を襲っている猫達を止めているとシンは声に築き回りを見渡した。
「誰だ」
「俺だ、シン」
「黒猫の黒か」
「お前の大事な人間を預かってる、助けたかったら樹海に来い」
「慎平に手を出すな」
「待ってるぞ」
「黒」
通信を切られたシンは急いで樹海に向かった。
━樹海━
黒猫から眠らされて30分後、目を覚ました慎平は全裸姿に驚いた。
「……」
「もうすぐあんたを助けにシンがくる」
「……」
口を塞がれている慎平がじっと見つめるとシンが現れた。
「黒」
「近づくな」
そう言って黒猫は近づいてくるシンの左右の手首を蔓で縛り動きを止め慎平に近づいた。
その後、黒猫はシンの目の前で気絶している慎平の身体を奪い唇も奪った。
「やめろ、黒」
助けにいこうとシンがもがくと黒猫が慎平の身体を奪いながら口を開いた。
「その蔓は外れない、そこでおとなしく見ていろ」
そう言って黒猫はもがくシンの前で慎平の身体を奪い続けた。
それから暫くしてシンの身体に異変が起きた。
「やめろ…黒…やめろ…」
「おとなしく見ていろ」
慎平の身体を奪いながらチラッとシンを見た黒猫はシンの身体から出るオーラに驚き黒猫は慎平から離れシンを見た。
「何だ」
「やめろ…やめろ…やめろ━」
叫びながらシンは左右の手首を縛っている蔓を引き裂きその後、シンの身体は人間から三毛猫になり背中に白い羽が生えた。
その姿に黒猫は驚いた顔で見つめた。
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