「慎平」
「シン、無事で良かった」
ホッとした慎平は全裸姿で気を失い倒れた。
「慎平!」
驚いた口調で三毛猫のシンが口にするとシンの身体に再び異変が起きた。
「身体が…」
驚いた顔で見つめるとシンの身体は白い羽を残し三毛猫から全裸姿の人間になった。
その後、シンは白い羽を2枚抜き取り自分の身体と慎平の身体に羽をあてると全裸から普通の服装に身をまとった。
「う~ん」
「慎平」
「……」
ゆっくり目を開き身体を起こすと慎平はシンに目を向けた。
「シン、黒って人は?」
「透明な羽が生えた男に命を奪われた」
「そんな」
そう言って慎平が立ち上がったその時、大きな地震が起き慎平がふらつき倒れかけるとシンに抱き止められた。
「大丈夫か」
「ありがとう」
「大きな地震だったな」
「シン、猫と人間の戦いを止めないと」
「行こう」
「……」
差し出されたシンの手を慎平が握るとシンは白い羽を広げ樹海から飛び上がると進み始めた。
それから暫くしてシンと慎平は変わり果てた街に驚いた。
「どうなってんだ」
「街が荒地に」
「誰がこんなことを」
空を飛びながら透明な羽が生えた男を見つけるとシンと慎平は降り立ち手を離した。
「あなたがやったんですか?」
慎平が問いかけると男は振り返り慎平に目を向けると透明な羽を使って地面から蔓を出現させ慎平の身体を縛ると自分の方に引き寄せた。
「慎平!」
シンが叫ぶと男が口を開いた。
「慎平は俺のものだ、お前に慎平は渡さない」
そう言って男が空を飛ぶと慎平はシンを見つめながら連れ去られた。
「慎平…」
険しい顔で空を見つめるとシンは樹海に向かった。
━空中━
「樹海で生まれた人がこんなことするなんて信じられない」
慎平が話しかけると空を飛びながら男が口を開いた。
「シンは慎平を幸せにできない、だから俺が慎平を幸せにする」
「街を荒地にするような者に俺は守られたくない」
そう言って慎平がもがき始めると男は止まり慎平を引き寄せた口を開いた。
「静かにしろ」
「嫌だ」
「……」
もがき続ける慎平を静かにさせるため男は慎平の頬を叩いた。
「……」
「静かにしろ」
睨み付ける慎平に言うと男は再び飛び始めた。
━樹海━
先に樹海の中に着いたシンは樹海に向かって叫んだ。
「慎平を助ける力を俺に授けてくれ…頼む…慎平が暮らすこの街を俺が暮らしていた街のようにしちゃいけない…頼む…」
シンの目に一粒の涙が流れ地面に落ちたその時、透明な羽が1枚宙に浮いたまま現れた。
その羽をシンは掴み見つめた。
すると透明な羽はシンの身体の中に入り苦しめた。
「うああー」
叫びながらシンが倒れると樹海が喋った。
「白い羽と透明の羽の力で慎平と慎平が暮らす街を守れ…立てシン」
「……」
樹海の言葉と同時にシンが立ち上がると左右の白い羽が白い羽と透明の羽に変わった。
「凄い力を感じる」
左右の手を見つめながらシンが口にすると男が慎平を連れて現れた。
「どうしてここに」
男が話しかけるとシンは振り向き口を開いた。
「慎平と慎平が暮らす街を守る」
「シン!」
慎平がシンに向かって名を呼ぶと男は蔓で身体を縛っている慎平を抱き寄せ唇を重ねた。
その後、男は唇を離し慎平を眠らせ慎平が地面に倒れると男とシンは睨み合った。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!