cobra chorus 〜コブラ・コルス〜

悪霊の子とギルド
Kay.
Kay.

♯1 心のある悪

公開日時: 2021年7月27日(火) 08:32
更新日時: 2021年7月27日(火) 08:49
文字数:2,154

L789年

ー スビトザ王国近くの森・ラピスにて ー


赤竜という紅く燃えるような石があるという森は今日は荒れていた。台風のような大きな嵐に見舞われていた。


そんな中、魔導師・マラキアはその森を通りかかると、なんとその嵐の中に子供が居た。


その子は言った「パパはどこ?」と。


そんな子供をみてなぜか哀しくなり、マラキアはギュッと抱きしめた。


その後、その子はマラキアに連れられ、ギルドで暮らすことになった。


まだ幼い子供だった。




ー L800年・6月28日 ー


ヒカサキ大陸・オリーブ王国の港にて。


〈ソル〉あ〜 お腹空いたな〜 おっ! 店発見!


この男はソル・レオウェン。短髪黒髪のウルフカットに毛先が赤色。白い冒険者服に黒いボテっとしたズボンを着ている。身長は低め。紅く燃えるような石のネックレスを身につけている。


ソルは猛烈にお腹すいていて悶絶していた。そして、このオリーブ王国で初めてお店をみつけさっそく入ろとしていたところに、少し離れたところで人だかりが出来ていた。ソルは気になりその中にギッシギッシなりながら、食いんで入ると、ある人を囲んでいた。そいつは男だった。なにか話していた。


〈ソル〉ん? なんだ?


〈アラネア〉さあ! 聴いてって! いいか! おれはあの伝説の子アラネア様だ!


〈ソル〉伝説? まさか!?


〈アラネア〉そうさ! あの生き物の子さ!


その人だかりにもう1人、立ち寄った。女の子だった。


その女の子も気になり、話を聞こうとする。


〈プルマ〉聴こえないなー


そのアラネアという男は自分のことを自慢げに話していた。


〈アラネア〉そして! おれはあの有名なギルド! コブラ・コルスの魔導士さ!


〈ソル〉ん!?


たまたまそこにその女の子は人だかりの中に顔を突っ込んだ。


〈プルマ〉え!?


プルマもびっくりしている様子だった。


〈ソル〉あいつが……?


〈アラネア〉さあ! みんなはギルドに入りたくない? おれからマスターに言ってあげる! 入りたい人は今日の夜20時に港に来な!


そういうと、指から糸を出しその場から笑いながら去って行った。


その時かなりの反響だった。キャー!! とか女の子たちの嬉しそうな声がただ漏れでキモかった。


あの男は顔はイケメンの長身だ。だが、銀髪で長髪、マントを着けたいけ好かない男だ。


〈ソル〉ギルドに?


と、ソルはどこか考えていた。




ー オリーブ王国・港近くのパラゴン公園 ー


ベンチにプルマは座っていた。そしてため息をつく。


〈プルマ〉はぁ〜! どうしよ、行こうかな


と、そこにソルがベンチの後ろの草むらから現れた。


〈ソル〉おい!


〈プルマ〉きゃあ! なに!? え、だれ?


〈ソル〉おれソル、お前は?


〈プルマ〉え、プルマよ


〈ソル〉プルマ!?


ソルは名前を聴くと、なぜか驚いて眉間にシワをよせ真剣な顔でプルマをみた。


〈プルマ〉ちょ、なによ? なんかついてる?


〈ソル〉あ、いやなにもない。そうか、プルマか


〈プルマ〉なに? てかあんたさなんで話しかけてきたの?


〈ソル〉まあ通りかかったらお前が、なんか悲しそうな顔してたから、腹痛いのかなって? それで見に来た


〈プルマ〉あっそ、痛くないわ、ただ悩んでただけよ


〈ソル〉そっか! ならよかった! 何に悩んでんだ?


〈プルマ〉なんであんたに教えないといけないの?


そういうと、ソルは泣きそうな顔をしていた。


〈プルマ〉わ、わかった! 話すから!


すると、ソルはケロっと笑顔になった。


〈プルマ〉あんたさ、さっきの男の話聴いた?


〈ソル〉んー、伝説のって話か?


〈プルマ〉違うわ、ギルドの話よ


〈ソル〉あ〜 ギルドの話か


〈プルマ〉そう、私ね夢があるの。でもその前にギルドに入りたいの、入ってみたいギルドの1つがコブラ・コルス


〈ソル〉ふーん


プルマは夢を叶えるために大好きなギルドに入りたいと考えていた。プルマは、薄い銀髪の肩までの髪に服は薄いピンクのTシャツ。茶色いジーンズにピンク色のサンダルを履いている。凄く細い女の子で、花で例えるなら桜のような可愛い子だ。お胸も大きく見える。プルマはいつか夢を叶えたい。そして、その前に大好きなギルドに入りたいとも考えて一人旅をしていた。悩んでいたのはその大好きなギルドに入れるかもしれないという先程の話を聴いて考えていた。


〈ソル〉それで?


〈プルマ〉それで、20時に港行こうかなって悩んでた


〈ソル〉そか、ほんとに行くのか?


〈プルマ〉そうね、なんか行きたくなったわ、行こうかしらね


〈ソル〉そうか、もう時間ねえぞ。お前がいいなら早くいきなよ、でも気をつけろよ


〈プルマ〉え? もうそんな時間か、あと大丈夫よ


そういうと強気な顔でプルマは港に向かった。


港はもうすでに多くの女の子やギルドに入りたい人で溜まっていた。


20時、その時間ちょうどに一隻の船が港に着いた。


そして、タラップが架設された。


船の上で誰かが出てきた。船はそんな大きな船ではないが一般的なクルーズ船のような船だ。


中から出てきたのは、朝話した男アラネアだった。


〈アラネア〉さあ! 諸君! 今からこの船でスビトザ王国に向かう! そして、ギルドまで同行してもらう! 話はそれからだ! さあ! ギルドに入りたいものは乗りたまえ


男が大声でそういうと、一斉に地上にいた人達が船に乗った。


それに連れて港についたプルマも船に乗る。


みんなが乗る際、あの男はニヤニヤしていた。なにか企んでいるかのように。


いよいよ船に乗った者たち。そしてプルマは本当にスビトザ王国に着き、無事ギルドに入る事が出来るのだろうか。


プルマはギルドに入りたい気持ち、想いは強く真剣な眼差しで色々とこの先のことを考えて意気揚々と船に乗った。


そのプルマの情熱は実るのだろうか。


ソルは先程の公園から港が見えるので、船が来てプルマたちが乗る姿を公園から静かに見守っていた。


そして、ついに船が出港するのだった。


この後、船で起きる事は誰も、プルマも知る由もなかった。






















ー ♯1 心のある悪 ー つづく。

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