大先生が涙を流した瞬間…紡もそれを見逃してはいなかったようで、子どもたちと共に駆けつけてきたんだ…。
「だ、大先生?!大丈夫?!…り、凌空?何があったの…?」
俺はなんと答えていいのか、周りにいる子どもたちには刺激が強すぎる気がした…。
まだこの子達には…こんな苦しい現実…知らない方がいい…そう考えてしまって、どうしよう、俺はまた言葉が見つからなくなった…。
「…紡?大丈夫よ?ちょっと思い出し泣き!」
と必死に涙を拭って…笑ってみせる大先生…俺、まずいこと…言っちゃったのかもしれない…。
そんな事を思っていたけれど…大先生は「…ご飯を食べたら…2人で面談室に来てもらえるかしら…?」と俺らに投げかけてきたんだ…。
子どもたちのいない所でゆっくり話がしたい…そんな風に感じ取れて…
「…大先生…分かったよ…?…そうだ!丁度ご飯も出来たし、みんなで食べよ?凌空も運ぶの手伝ってくれる??」
紡も精一杯、明るく周りに振る舞っていて俺もその言葉と共に、出来る限り子どもたちに悟られないように振舞ってみたんだ…。
◇ ◇
―昼ご飯
「わぁ〜〜〜〜いっ!!むぐご飯っ!☆」
「どれから食べようかなぁあぁ!!!☆」
食堂には小さい子から思春期を迎えている男の子や女の子、年齢層幅広く集まって紡のご飯に手をつけていく…。
「……いつ食っても…紡のご飯はうまいよ」とちょっとツンとした中学生ぐらいの男の子に
「…紡ぅ!!!私の旦那さんになって〜っ!」なんて言う深結みたいな高校生ぐらいの女の子もいて…
さっきまでのしんみりとしていた空気がいつの間にか、笑いの絶えない食卓に変わっていたんだ…。
ある女の子が「凌空さんと紡の関係は?」なんて聞いてきて、ちょっと俺はドキッとした。
「…大学の大切な先輩だよ?」
恋人だよ?と公には言えない。それでも大切なをつけて紡は、俺をみんなに紹介してくれたんだ…。
「…イケメンすぎんだろ…」
「なんかドラマとかに出てきそうだしね~♪」
「サインとかないんですか?♪」
なんて子供たちが言うもんで…聞けば聞くほど、とにかく身体がむず痒がったのに…
「…凌空先輩は、歌が凄く上手なんだ!」
「ち、ちょっ!紡…!」
紡の悪気も無い一言に…
「へぇっ!!!♪聴いてみたいなぁ~☆」
「私も私もー!!!」
と女の子たちは返してくれたんだが…
逆にある男の子たちが…
「…顔と歌は別じゃねぇの?」
「フンっ、どーせ顔だけだろう?」
ほう…言ってくれるじゃねぇか… 俺は子ども相手に熱くなってしまったったんだ…はぁ、ほんっと大人げない…。
「…なら…なんか歌ってやろうか?」
俺はどーせ顔だけと言った男の子にリクエストくれないか?と声をかけてみたんだ。
「…そうだな…じゃあ、コブクロの…Million Films…が聴いてみたい…///」
(…へぇ、いい曲聴くじゃんか…!)
俺は、その場で立ち上がり一緒に食事を摂っていた大先生に「大先生?いいですか?」と確認し「もちろんよ?♪」と返答を貰って…
ラストのサビ前から…みんなの前で披露してあげたんだ…。
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