赤江大橋を通り過ぎて、市街地へ。
宮崎市は田舎だ。
青島はとくにだけど、市の中心地でもゴミゴミしたところがほとんどなくて、見晴らしがいい。
赤江大橋から見える景色は、宮崎の全てを見通せるくらい開放的だった。
太平洋へと流れる大淀川の流れは、宮崎が誇る絶景スポットの一つだった。
「ふわぁ、眠…」
「それで、2人はどういう関係なんだ」
「どうもこうも、ただの知り合いだよ」
「ただの知り合いにしては仲が良いな」
「それはコーさんの目が節穴なだけ」
「堂島君だったっけな?あんた、どっから来たんだ?」
「アメリカから来ました」
「アメリカぁ!?おいおい、そりゃあまたずいぶん遠いな」
「なんで他所から来たってわかったの?」
「なんとなくだよ。宮崎県民じゃねえのはわかってた。よそモンの雰囲気がしたんだ。喋り方も含めてな」
「ああ、ね」
「それに住み込みなんだろ?地元のやつがわざわざ泊まり込みで働かないだろ。アズサだってそうじゃねえか」
住み込みじゃないんだよね…
残念ながら。
いちいち説明するのもめんどくさかった。
どういう説明が一番しっくりくるかなって考えてた。
でも、思いつかない。
いっそ兄弟の設定にするのもありかなって思った。
6つ上の兄貴がいるし、兄弟がいるって話とも辻褄が合うし。
「浩一さんはこの街の出身なんですか?」
「俺か?俺は鹿児島の人間だ」
「なぜ宮崎に?」
「鹿児島っつっても、宮崎寄りの場所でな。よく日南市に行ってたんだ。そのまま青島を通って、この場所にも。よく温泉巡りに長崎の方にも行くんだが、宮崎に来た時は、よく姫乃温泉に寄ってた。最初は温泉目当てだったんだ」
「最初は?」
「ああ。うちのカミさんが温泉好きでな。よく連れて行かされてた」
「そうだったんだ」
「あれ?言ってなかったか?」
「初耳だね」
「そこで出会っちまったんだよ」
「何にですか?」
「“味”だよ“味”。先生の」
コーさんが言う「先生」と言うのは、坂もっちゃんのことだ。
先生先生って呼んでて、厨房ではいつも料理の勉強をしてる。
それくらい、衝撃的だったらしい。
坂もっちゃんが作る料理の味に。
ミシュランで星を取ったくらいだから、やっぱりすごいんだと思う。
私も初めて食べた時は感動したしね。
魚ってこんなに美味しかったんだって、悶絶しそうになるくらい。
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