「……はっ!? いっ、今っ、何時だ!?」
「キッ!?」
俺は慌てて起き上がった……が、どうやら俺は夢を見ていたようだ。
時系列はバラバラだったが、過去の記憶であるのは間違いない。
「キッ!? キッ!?」
寝惚けて急に起きたものだから、モモが何事かと驚きながら辺りを見渡している。
今までの俺だったら声を上げて笑っていたのだろうが、今の俺では笑えなさそうだ。
「モモ? 俺が寝惚けたせいで起こしちゃってごめん……」
「キキキッキッ!」
「気にするな? ははっ、ありがとう」
モモのおかげで少しは笑えるようだ。
だがその時、ふと昨日の出来事を思い出す。
「……うぅ……い、嫌だ……やめてくれ……これ以上は思い出したくない……た、頼む……やめてくれ……頼むから……ううぅ……」
「……キィ……」
頭を抱え込んで苦しむ俺を見て、モモは心配そうに声を掛けてくる。
「だ、大丈夫……もう少し時間が経てば落ち着くはずだから……」
「……キキィ……」
モモが心配するなか、俺は座ったまま俯き、暫くの間何も考えずに過ごした……
「ねぇ、何してるの?」
(……誰だ? 俺に話し掛けているのか……?)
そう思いながらゆっくりと顔を上げて、声を掛けてきた相手の顔を覗く。すると……
「!? せ、セリーヌ……!?」
俺に声を掛けてきたのは、元恋人である「セリーヌ」であった。
セリーヌとは生まれた頃からの幼馴染で、20歳の時に恋人となり、そしてつい2日前に破局したばかりというただならぬ関係である。
まぁ破局したといっても、一方的に俺が捨てられ……いや、フラれたわけだが……
「ねぇ、何ポカンとしてるの?」
「……えっ?」
「はぁ、まぁいいわ。それより、こんなところで何してるのよ?」
「あ、あぁ……昨日ちょっと、門限に間に合わなくて……」
「ふーん……じゃあ、昨日野宿して今に至るって感じね?」
「あ、あぁ……まぁ、そんな感じかな……」
「ふーん……」
「……」
(うっ、何故か気不味い……)
気不味い雰囲気が漂い出し、少しの間だが沈黙となる……
「……ねぇ、街の中に入らないの? もうとっくに開門時間は過ぎてるけど?」
「あ、あぁ……今はちょっと……」
「ふーん……じゃあ、一緒に中へ入る?」
「えっ……街の中へ……一緒に……?」
「えぇ、そうよ?」
「……」
セリーヌに誘われた際、一緒なら恐怖にも耐えられるのでは? という思いが浮かぶ。
しかし、結局は恐怖が勝り、行動に移すことができずにいた。だがその時……
「ほらっ、行こ?」
そう言ってセリーヌは俺に右手を差し出す。
その右手はとても輝いて見え、無意識に俺は左手を動かしていた。
「……あ、あぁ! 行こう!」
まるで導かれるように差し出された手を取り、力強く立ち上がった。
すると、セリーヌはパッと俺の左手を離して西門へ向けて歩き始めたので、狼狽えながらもセリーヌの後に続いて歩くことに。
そして歩きながら毛布をアイテムポーチへ収納。その後ふと顔を上げた瞬間、セリーヌの横顔が瞳に映る。
「えっ……!?」
その瞬間俺の瞳には、セリーヌの横顔が怪しげに微笑んでいるかのように映っていた……
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