「あ、あの、今、大丈夫ですか?」
「えっ!? な、何よ……まさか、私に文句でも言いに来たつもり!?」
エリザは俺を一目見るなり、動揺し身構える。
そこには以前の面影は全く見られず、あの震える程の恐怖心にも襲われる気配は無い。
(今なら普通に会話が出来そうだ……よし、聞いてみるか!)
思い切って、俺の髪色について聞いてみようと決心する。
「い、いえ、そうではなく……あの、エリザさんは俺の髪色について何か知りませんか?」
「!? なっ、何を急に!? あ、あなたの髪色の事なんて何も知らないわ!?」
俺の問い掛けにエリザは、先程よりも激しく動揺し焦り出す。
(やっぱり何か知ってる……でも、何故隠そうとする必要が……?)
幾ら考えても埒が明かず、やはりエリザから直接聞くしかないと判断。
どうしても知りたい俺は、声を上げてエリザに問い質す。
「エリザさん、お願いします! 俺はどうしても知りたいんです! この黒髪が俺自身と、どんな関係があるのかを!」
「そっ、そんな事を言われても、私には判断しかねるわ!? ……それに、知ったところでどうしようも無い事なのよ?」
「それでも俺はーー」
「そこまでだ!」
『!?』
問い質された事で返って冷静になるエリザ。
それでも食い下がろうと俺は言葉を発したが、その言葉は何者かの大声によって遮られてしまう。
そして突然の大声に俺とエリザは一瞬驚き、その後すぐに大声の主の方へ同時に振り向いた。
「その件については俺様が超教えてやる。だから超黙って付いて来い……勿論、エリザもな!」
「えっ!? そんな……はい……」
エリザは俯き落ち込みながら大声の主の元へ向かい、俺も考え事をしながらエリザの後を付いて行く。
(あの人、相変わらず偉そうだな……)
偉そうに俺達を連れて行こうとする人物は、先程の大声の主でもある、この冒険者ギルドのギルドマスター「シャカ」であった。
名前は穏やかそうな感じではあるが、当人自体は全くの真逆で荒々しく「超怪力」を持つ人物なのだ。
「確か、ギルマスの固有スキルも……」
「あん? なんか言ったか?」
「!? い、いえ、何も……」
(うぅ、この人も怖いんだよなぁ……)
「そうか……それより、なんでそんなにビクついてんだ?」
「べ、別にビクついてなんて……」
(それはあんたが怖いからだよ!)
「ふんっ、まぁいい、もうすぐ俺様の部屋に着くからな。もし通り過ぎでもしたら超ブッ飛ばす!」
「は、はい……」
(だから怖いって!)
確かにシャカは怖いがエリザの時とは違い、悪寒や身体の震えは一切無く、ただ絡まれているだけの様な感覚で特に嫌ではない。
それはきっと俺を見下し蔑む仕草や、嘲笑い貶す様子がシャカからは見受けられないからだろう。
「ほらよ、ここが俺様の部屋だ。Fランクが入るなんざ、前代未聞の事なんだならな? 超ありがたく思えよ?」
(この人、本当に偉そうだなぁ……)
そう思いながらシャカの部屋へ、きちんと最後に入る俺であった……
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