「……大丈夫、俺は大丈夫……」
己に言い聞かせるように呟く。
そして覚悟を決める勇気をニカナから貰うことに。
「ニカナよ……俺に勇気を分けて欲しい……」
そう祈った瞬間、ニカナから虹色の光が放たれた。
「この輝きは……!? す、凄い……今の俺なら、絶対にイケる!」
驚く間に虹色の光は消えてしまったが、それと同時に不安や緊張までもが消え、更に精神状態が安定していることに気づき、その一連のことに思わず声を出していた。
ふと周囲を見渡すと、殆どの冒険者達はギルドから出陣しており、今ギルド内にいるのは僅か9人だけのようだ。
それは、俺・セリーヌ・ミカゲ・ムツコ・シャカ・エリザ・3人のギルド職員達の計9人である。
「俺もそろそろ行くか……」
そう呟くと、急に後ろから右肩をポンッと叩かれ声を掛けられた。
「おう、祈りはもう済んだのか?」
「あぁ、もう大丈夫だ!」
後ろから声を掛けてきたのはミカゲであり、その問い掛けに対し、自身に満ちた表情で返答する。
「そうか……なぁ、俺に殺される前に死ぬなよ?」
「ははっ、お前にも殺されないよ」
ミカゲからの冗談混じりな激励に冗談混じりの言葉で返すと、ミカゲは笑いながら「じゃあな!」と言ってギルドをあとにした。
「お祈りは済んだですか?」
「はい、もう大丈夫です!」
ひょっこりとムツコが現れて声を掛けてきたので、自身満々で大丈夫なことを伝える。
「なら良かったです! この街を守れたら、今度こそスイーツを食べに行くですよ!」
「そうですね! 行きましょう!」
ムツコに元気良く誘われたので、つい釣られて元気良く返すと、ムツコはニコニコと嬉しそうにしながら「楽しみです!」と言い放ち、魔狼を連れてギルドから外へ。
「お祈りはもういいの?」
「あぁ、心配掛けてごめん。だけど、もう大丈夫!」
「ふーん、そっか!」
まるで順番待ちをしていたかのようにセリーヌが声を掛けてきたので、心配いらないことを伝えると、セリーヌは安心した様子を見せる。
「セリーヌ、気を付けてな?」
「えぇ、そっちこそ!」
そんなやり取りをすると、セリーヌは出入口へ向かいながら軽く右手を振り、そのまま外へ出て行った。
セリーヌを見送ったあと後ろへ振り返ると、シャカとエリザがこちらへ向かっていることに気づき、どうせならと俺の方から出向くことに。そして……
「それじゃあ、俺も行ってきますね!」
「あぁ、超気を付けてな!」
「まぁ、死なない程度に頑張ってね」
合流したあとに出陣の意思を2人へ伝えると、シャカには明るく送り出され、エリザは少し捻くれながらも送り出してくれた。
しかしエリザのソレは本心ではない。
何故なら言った側から後悔し気不味そうな表情を見せたからだ。
「はい! じゃあ、またあとで!」
2人への挨拶が済み、ギルドから出るために出入口へ向かう途中、3人のギルド職員達が遠くからお辞儀をしている姿が見えた。
その姿を目の当たりにすると、エリザ以外の職員達にも認められたような気がして、嬉しさのあまり自然と笑みが零れる。
「よっしゃ、行くか!」
一気に気分が高揚し、掛け声と同時に勢い良く出入口を押し開け、その勢いのまま西門へ向けて全速力で駆け抜けて行った……
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