「なんだ……? ま、まさか、アウロ君の身に何か……!?」
周囲の困惑する表情を目にして、そんな嫌な考えが脳裏をよぎると、背後からあの女魔導士が俺の元へ。
「!? な、なんでココに!?」
「す、すみません……居ても立っても居られなくて……あ、あの、アイツは、アウロは大丈夫でしょうか……?」
「……まだ、分からないな……」
「そ、そうですか……」
この女魔導士は俺が上げた声を聞いていたらしく、俺の隣で共にアウロを待ちたい言い出したので、一緒にアウロが来るのを待つことに。
「そういえば、君の名前はなんて言うんだい? あっ、俺の名前はキュロスって言うんだけど、君って呼ぶのもなんか素気ないし、もし良ければ教えてもらえるかな?」
「は、はい、私の名前はフラムです……えっと、キュロスさん?」
「アウロ君にフラムさんか……2人とも良い名前だね」
「い、いえ、そんな……ありがとうございます。アイツもそれを聞いたら絶対に喜ぶと思います……」
「そう……」
「はい……」
互いにアウロが気掛かりで無言になると、1人の大柄な男冒険者がゆっくりと近づいてくることに気づき、その男の背中には毛布に包まれてぐったりとしている若者の姿が。
「あ、アウロ! ねぇ、大丈夫!? 私よ! フラムよ! 折角会いに来たんだから起きてよ! ねぇ! ねぇってば!」
アウロの姿を見るなり駆け寄っては声を掛けるフラム。
すると、アウロは瞼を開き草臥れた表情でフラムへ返答し、その姿を見たフラムと俺は一先ず安堵の表情を。
「よぅ、こんなところまでご苦労さん。つーか、何しに来たんだよ。そっちも大変なんだろ?」
「こっちはもう大丈夫! キュロスさんが全部倒してくれたから! って、それよりアンタさぁ、立てなくなるほど頑張ったの? 人におぶってもらうなんてカッコ悪いよ? ほらっ、早く降りなよ!」
「……」
「ん? どうしたの? 急に黙っちゃって……?」
無事であることに安堵したのも束の間、何やらアウロの……いや、アウロを含めた周囲にいる人達全員の様子がおかしい。
先程の2人の会話には特におかしなところは無かったハズ。
だが、誰の表情を見ても暗く気不味そうにしており、中には憐みの表情を見せる人もチラホラと。
一体、アウロに何があったのだろうか……?
嫌な予感を感じつつもそう考えていると、突然アウロをおぶっている男が口を開く。
「と、突然すまん……俺はCランカーのガイというのだが、彼をおぶっているのには理由があるんだ……」
「り、理由……ですか……? も、もしかして、アウロの身体に何か異変が!?」
「あ、あぁ……実は戦闘中にーー」
ガイの口からその理由を語られた直後、フラムはその場にへたり込み、両手で顔を覆いながら泣き出した。
「そ、そんな……なんでアウロが……うぅぅ……」
「フラムさん……」
2人はまだ15歳と若く、きっと夢見て冒険者となったに違いない。
しかし今、その夢が完全に絶たれたと知って未来に絶望しているのであろう。
そしてそれを理解した周囲の人達もまた、なす術がなく、心を痛めて憐れむことしかできずにいる。
「なんでアウロが、か……」
へたり込んで涙するフラムを見つめながら、ただただ悲しむことしかできずにいた……
読み終わったら、ポイントを付けましょう!