(天界)
「あ〜痛い! 下腹部が痛い!」
黒髪の神様が下腹部を摩りながら嘆く。
「こうなったら出すしかない! この、ニョーカンケッセキを!」
神様はおもむろに下半身を露出し、天の恵みを大放出。
すると、虹色に輝く七つの結石が天の恵みと共に下界へと落ちて行った……
(下界)
俺の名はキュロス。冒険者歴10年の25歳、独身だ。
俺は今、土砂降りの雨の中を当てもなく彷徨っている。
何故なら、俺は万年Fランクの落ちこぼれ冒険者だから……
ついさっきも仲間である冒険者達にコキ使われたあげく魔物の囮にされ、危うく死に掛けたところである。
その件を冒険者ギルドの職員に言っても鼻で笑われただけだった。
そして、恋人のハズの幼馴染までも……
「悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悲しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい!!」
俺は、何度も何度も何度も地面に頭を叩き付けた。悔しくて、悔しくて、悲しくて……
そんな時、硬い何かが脳天に直撃!
「あいたっ!? ……なんだコレ? もしかして、天からも見放されたのか……?」
恐る恐るその何かを拾い上げると、ソレは虹色に輝く宝石のような何かだった。
この何かは今までに触れた鉱石や宝石よりも軽く、まるで鉱石類ではない別物の石に思えるが、それが何かまでは分からない。
でも、そんなこと今はどうでもいい。
「とても綺麗だな……あっ、そうだ! 御守りとして懐にでも入れておくか!」
この何かに触れていたら、落ち込んでいたのが馬鹿らしく思えてくるのだ。
寧ろ、俺を見下し蔑む連中や、嘲笑い貶してきた奴らをギャフンッと言わせたい衝動に駆られていた。
(確かに、できるものならそうしたい……でも……)
今の俺には何ができるかなんて分からない……
「ハッ……クシュンッ!」
取り敢えず今は、風邪を引く前に自宅へ帰ることに決定。
そうと決まればと、ずぶ濡れになりながらも急いで自宅へ向けて走り出した。
「ただいま〜……って今は俺一人だけだったな……」
今日の朝までは恋人と同居していたのだが、その恋人は理由を告げず、別れだけを告げて出て行ってしまったのだ。
きっと何か理由があるのだろう、そう信じてはいるが、やはりショックな出来事には変わりない。
寂しさと悲しさを押し殺しながら寝所まで向かうことに……
「はぁ……さてと、もう寝るか……」
どうにか感情を落ち着けた俺は、明日に向けて早々に寝る準備を開始。
何やら明日は冒険者ギルドでかなり大事な話があるらしく、時間厳守との命令が。
「しかし、なんだか嫌な予感がするな……」
そう呟きながら、外で拾った何かを右手に持ち見つめる。
この何かを見ていると、何故かなんでもできる気がしてくるのだ。
まぁ、気がしてくるってだけなんだけど。
「まぁいいか、考えるのは明日にしよう……」
こうして、明日に向けて早めに寝た俺であった……が、まさか冒険者ギルドであんな目に遭うとは、想像することもできなかった……
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