「ほれ、お前らそこに超座れ」
シャカに促され、俺とエリザはクラシック調の上品なソファに恐る恐る座る。
その後シャカはズカズカと歩き、対面にあるアンティーク調の豪華なソファの中央に踏ん反り返って座り、一言。
「お前、自分の髪色について超知りたいんだよな?」
「は、はい。何故かは分かりませんが、知らなきゃいけない気がするんです」
「そうか……分かった」
この遣り取りで何かを感じたシャカは、踏ん反り返りをやめ普通に座り出す。
すると先程までの偉そうな態度は鳴りを潜め、一気に真剣な表情へと変わる。
「先ずはキュロス、俺様がギルドを代表してお前に謝る。すまん……」
「えっ!? きゅ、急にどうして……?」
シャカからの急な謝罪に困惑し、慌ててエリザの方へ振り向くと、そのエリザはとても信じられないと言った表情でシャカの事を見ていた。
「と、取り敢えず、頭を上げて下さい!」
逆に申し訳ない気持ちになってしまい、下げた頭を上げさせようとする俺。
だが、シャカの下げた頭は全く上がる気配は無く、困り果てた時にシャカが頭を下げた状態で口を開く。
「本来ならエリザや他の奴らにも謝らせたいんだが、どうか俺様の謝罪だけで我慢して欲しい……」
シャカの言葉を聞いたエリザは透かさず発言する。
「ギルマス? 何故この様な無能に謝る必要があるのですか? 私達は何一つ間違った事はしていませんよ?」
エリザの発言により、悔しさや悲しさを思い出した俺は、落ち込みながらも沸々と怒りが湧いてきた事に気付く。
今までは只々落ち込むだけなのだが今回は違い、俺自身がこの感情に戸惑い不思議に思う。
その時、突如ミシッと何かが軋む音が聞こえてきた。
その音がした方を見てみると、シャカが右手を思い切り握り締めており、恐らく手の骨が軋む音であったのだろうと推察。
すると、シャカが勢い良く立ち上がり大声を発する。
「エリザァァッ! お前いい加減にしろぉぉっ! 誰の差し金かは知らんがそれ以上の侮辱は許さんっ!」
『ひぃっ!?』
エリザだけではなく、思わず俺まで縮こまる。
それ程までにシャカの迫力は物凄く、流石は元Sランク冒険者なだけはある。
だが俺以上にエリザは縮こまり怯え出す。
「す、すす、すみません……」
この様な姿のエリザは見た事が無い。
憐れには思うがそれを超える爽快感に心が満たされてゆくのが分かる。
(爽快感ってこんなに気持ち良いのかぁ……)
爽快感に酔っていると、今度は低く威圧するような声でシャカが命令する。
「エリザ、やっぱりお前も超謝れ」
「!? そ、そんな!?」
エリザの絶望的な表情を目の当たりにすると、僅かだが興奮を覚え、そんな自分に驚く。
「ほれっ、早くしろ!」
シャカに急かされエリザは嫌々立ち上がり、俺もそれに併せゆっくりと立ち上がる。
互いに顔を見合わせると突然胸の鼓動が強まり、エリザの顔が今までとは違う様に見えた。
そしてその瞬間、エリザに対し意外な感情を抱くのであった……
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