「倒すにしても、厄介な相手ばかりが残ったな……」
そう呟いたあと、以前に調べていた魔物達の情報を元に戦略を練ろうと考え、互いが動く前に魔物達の情報を思い出すことに。
先ずは「ヘルハウンド」
こいつは言わずもがな脅威ランクBの犬系魔獣で、高い俊敏性と移動速度が厄介な相手であり、加えてあの特殊な炎をばら撒かれたら戦いづらくなるのは必至だろう。
まぁ、既に何匹も倒しているので、油断さえしなければ問題は無いが。
次は「ステルスリカオン」
こいつは脅威ランクCのリカオン系魔獣で、名前の通り姿を隠すのが得意な魔獣であり、死角から襲ってくる習性を持つ厄介な相手だ。
ただそれ以外に秀でたところは無いはずなので、冷静に対処すれば大丈夫かと。
続いては「ダイアウルフ」
こいつは脅威ランクCの狼系魔獣で、グラスウルフやフラワーウルフよりも一回り大きく獰猛な魔獣である。
Cランク魔獣の中でも高い膂力と身体能力を持つうえに、牙や爪も鋭いので一撃でも受けたら致命傷になりかねない厄介な相手。
だが戦い方は直線的で読み易いので、読み違いさえしなければそれほど苦戦はしないハズ。
最後は「アヌビシオ」
こいつはヒュドラと同じ脅威ランクAの魔物で、死を告げる魔物として有名なジャッカル系魔獣である。
そしてできれば遭いたくない相手でもあり、その理由は、こいつの咆哮を聞いてしまうと強制的に恐慌状態となり、一切の身動きが取れなくなってしまうからだ。
現状最も厄介で、いち早く倒したい魔物なのだが……
「……なら、最初に倒すならアイツしかないな……でも、どうやって先に倒せば……?」
どうにか先に倒す策を模索したいところだがそれを待ってはくれないようで、痺れを切らした3匹のダイアウルフ達が唸り、吠えながら勢い良く向かってくる。
『ヴゥゥーッ! ウォンッ! ウォンッ!』
「やっぱり待ってくれないか……けど、これで倒し易くなった!」
浮いた駒を取るように3匹のダイアウルフ達に狙いを定めて、接近される前に魔法を唱えた。
「黒沼・扇!」
地面に左手を突いて唱えると、掌から影が前方へ扇状に広がり、ダイアウルフ達を嵌らせて動きを封じた。
いかに力が強くてもそう簡単には抜け出せず、3匹のダイアウルフ達は狼狽えながらもジタバタと暴れ出し、それを目の当たりにした他の魔物達も危機を察知して一斉に動き出す。
「……ん? 思ったより反応が早いな……倒すか捌くかどっちにするか……」
ダイアウルフを先に倒すか他の魔物達を先に捌くかで一瞬迷うが、すぐに答えを出して即座に魔法を唱えた。
「シャドースティング!」
黒沼で出現させた影を利用して、ダイアウルフ達の真下から無数の影の棘を飛び出させると、その棘がダイアウルフ達を一気に貫いて3匹を同時に仕留める。
その直後、距離を取るため後方に下がり、西門の手前で次の狙い目を探りながら独り言を。
「まさかアイツとの勝負が役に立つなんてな……一応、感謝しとくか。まぁ、本人には絶対言わないけど……ん!?」
俺を追ってヘルハウンドとステルスリカオンが向かってくるなか、俺はあることに気づくのであった……
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