未花(みか)は高校二年生。
仲の良い父はプレゼントしたクマの人形を肌身離さず持つような人。
けれども実は世界的に有名な脳科学者。
【物に自分の感覚を移行する】……「SCT」と呼ばれる今までにない新技術を開発した人物だ。
一方母は幼少期に亡くなってしまったが、理由は頑なに教えてもらえない。
そのことに未花は深く悩んでいた。
意を決した未花は誰にも秘密でSCT手術を受け、父が大事にするクマの人形の瞳に自身の感覚を移して、母について探り始める。
そのなかで出会ったのが、以前父の研究所をクビになった優秀な元研究員の加納という男だった。
ガサツで不器用なのにどこか優しい加納に惹かれつつ、真実を追い求め、辿り着いたのは……。