ギアード・ウォーリア

その闘いの勝者は大義か。それとも――
結城辰也
結城辰也

第四話 決死の格闘戦

公開日時: 2020年12月8日(火) 12:28
文字数:1,268

 敵は残り四機。今は合流していないが時機に三体になりそうだった。


 最前線にいるG.Wはスナイパーライフル持ちで孤立していた。今を潰さなければ後の脅威になりかねない。


 ゼクスのG.Wはホバー走行し全速力でスナイパーライフル持ちのG.W目掛けて突っ込んだ。


 敵のG.Wは不味いと感じた。今すぐにここから離れないと殺されると思った。敵前逃亡も不味いが今のG.Wでは分が悪かった。


 なによりも弾切れを起こしており弾倉の再装填も出来ていなかった。これでは遠距離の意味がなかった。


 どちらかと言えば死ぬのが怖いのではなく孤立してしまった今の状況に嫌気を差していた。連携を潰され苛立ちが込み上げてきた。


 故に敵機は逃げようとその場でホバーを起動させた。だが逃げるなと司令官に言われ逃げれなくなった。


 仕方がないと思っても敵機の行動はやけになりゼクスのG.W目掛けて突っ込んだ。その後にスナイパーライフルを投げ捨てた。


 さすがのパイルバンカーでもスナイパーライフルをしまう事は出来なかった。余りにも長く格闘には邪魔でしかなかった。


 敵機は右手甲にパイルバンカーを左手甲に楯を装着していた。この雰囲気からしてただ単にやけになった訳ではなさそうだった。


 敵機の動きを見てゼクスは勝負に乗る事にした。更に自分自身のG.Wの速度を上げ始めた。もうこれ以上はないと言える速度だった。


 ゼクスのG.Wはパイルバンカーのままだった。これは完全に格闘戦を仕出かす前触れだ。数では分が悪いが格闘戦は一対一になりやすかった。


 互いにチキンレースには慣れているのか。ゼクスも敵も止まる気配がなかった。このままいけばぶつかるのではと思える程だった。


 だがそれを先に壊したのは敵機だった。敵機は突きの動作に入ろうとしていた。どうやらパイルバンカーで貫くつもりのようだ。


 腕を伸ばした方が先に当てれるだろう。だがG.W戦は簡単ではない。その証拠にゼクスのG.Wは当てられる前に左手の楯で外側に弾いた。


 その後に体当たりを仕出かし敵機を仰向けに転倒させた。ゼクスは敵機が立ち上がる前にアサルトマシンガンを右手に装備し始めた。


 無情にもなにも出来ずに敵機は撃たれ続けた。気付いた時にはアサルトマシンガンの弾数は空となっていた。こうして静かな終わりを告げた。


 ゼクスは疲弊し始めていた。いつまで続くのだろうか。基地が負けを認めない限りは最後まで続くのだろう。覚悟していても人殺しは疲れる筈だ。


 だが敵基地は負けを認めない。全く人の命をなんだと思っているのか。ゼクスの中で苛立ちが芽生えようとしていた。やらねば大義の元で自由が横行する。


 未来の大義よりも今をどうするべきなのかの大義こそが真に相応しいと思っていた。ただ的外れだからといって敵対したい訳ではなかった。


 だが敵対心を持っていたのはどうやら地球連邦国のようだ。この宣戦布告は紛れもない本当の事だと痛感した。今度の敵は三体だとゼクスは思った。


 静かな時の中でゼクスのG.Wはアサルトマシンガンの弾倉を外し新たな弾倉を再装填し始めた。油断は出来ないと次の戦いに備えるのだった。

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