恋愛偏差値U15~俺様は僕を好きで仕方ない

出会い(高校時代)
皇 陽太
皇 陽太

事件ファイル~ガン無視①

公開日時: 2023年2月8日(水) 00:46
文字数:1,064

入学から1ヶ月ほど経った。

同じような日々が繰り返されている内に、僕はアイツに頭をはたくような平手打ちを日常的にするようになっていた。



ちょっかいを出してくる

→しつこい

→ちょっかいを出してくる

→頭を平手打ちする



この繰り返し。もはやアイツは、僕に平手打ちされたいがためにちょっかいを出してきているのではないかという疑念すら湧く。



ただ、僕は好意的に平手打ちをするのではなく、あくまでそのサイクルを止めるための手段として平手打ちをしていた。決して「コイツが気になるから」とか「触れたいから」とかではない。


本当に鬱陶しいなぁと感じるまで我慢をするからこその行為であり、何もなければ頭をはたくこともない。




そしてある事件が起きる。ガン無視事件である。



ある日、僕は登校してから宿題をやり忘れたことに気付いた。やらないと評価を落とされる、、英語の点数がいつもよろしかった僕は、先生の信頼を裏切ることが出来なかったのである。



慌てて教科書を取り出し、宿題を進める。そんな中、普段はホームルームぎりぎりに来ることの多いアイツが少し早目に教室へ入ってきた。


「おはよう」と挨拶をした後、相変わらずいつものようにちょっかいを出してくるのだが、今日という今日は数秒たりとも無駄にできない。というよりも、数秒乱されるだけでペンが全く進まなくなってしまう。


本当にやめてほしかった。


「ごめん、ちょっと本当に今はやめてくんない?今日じゃなければまたちょっかい出していいから、お願いだから今日は本当にやめて」



その願いは虚しく、その困っている度合いを察することができなかったアイツは「ねぇ、バカ~、遊ぼうぜー」と無邪気に話し掛けてくる。無視しているとペンに触れたり紙を動かしたりされて、全く捗らない。



「ねぇ、お願いだからやめて」

「なぁ、遊ぼうよぉ~」



「遊ぶ」とはただの言い方であり、実際は遊ぶこともないし、ただ邪魔をしたいだけである。もうキレた。



「あのさ、やめろって言ってんじゃん。本当に迷惑なんだよ、迷惑。もう金輪際一切話し掛けてこないで。絶交ね、絶交。何されてももう絶対に相手しないから!」



僕がそう言い放った後も「ねぇ~」「なぁ~」と話し掛けてくるが、言った通り全てに無反応を決め込み続けていると「無視すんなよ、悪かったよ」から「ごめんって」「なぁ、こっち向いてくれよ...」とだんだん言葉が減ってきて、やがてホームルームが始まった。



かくして僕は無視を貫き、その後2日間に渡ってありとあらゆる発言や存在に対して無反応を続け、アイツはそれから一切話し掛けてこなくなった。

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