旧校舎の戦いから3日後、あれから5人は放課後に旧校舎によることはなく遊びに行くなど、親交を深めていった。
そして、今日もいつもと同じようにどこかに出掛けようと5人で話しているところに来訪者が現れる。
「竜胆君、今日はどこ行く?僕のおすすめは駅前のクレープ屋だよ!」
「そりゃあお前が食いたいだけだろーが。麟、男ならやっぱりゲーセンだろ!!」
「修羅も何をいってるんだ。今日はバッティング」
祐介の言葉を遮るように声が響き渡る。
「あーーー!!ようやく見つけたーーー!!」
「げっ!?この声は......」
5人が声のもとをみると、そこにスカートまで届くくらいの長い黒髪で、丸眼鏡をかけ、顔立ちが整った可愛らしい少女がいた。
「あれ?菜々子じゃん。どうしたの?僕たちに何か用?」
「用って......酷いじゃない!!みんな噂の転校生と仲良くなったならあたしにも教えてよね。校内新聞のネタがヤバいんだから!!」
「だから教えたくねーんだよ。」
ぼそっと修羅が言うと菜々子と呼ばれた少女は修羅の方を見るとにやりと笑いながら囁いた。
「へーーー、このあたしにそんなこと言うんだー。意地悪な修羅にはあのこと皆に言っちゃうからね。」
「ちょ、ちょっと待て!?あのことってなんだよ!?」
「さぁーね?って修羅はどうでもいいのよ!ねぇ、あなたが噂の転校生でしょ?あたしは隣のクラスの清澄菜々子(きよすみ ななこ)。この学園にある新聞部で部長をしてるのよ。よろしくね。」
麟は差し出された手を握り返し挨拶をする。
「僕は竜胆麟です。よろしくね。ところで噂って僕何かしたかな?」
「あっはっは。何かしたっていうより、そこの四人と一緒にいたら嫌でも噂になるわよ。なにせ、遅れたイケメン転校生に、学園一の問題児に学園のマドンナ、それに槍術部のエース、学園の人気者とか凄い面子だからね。」
「学園一の問題児は何となく分かるけど、上枝さんや、伏屋さん、祐介君も凄い人なんだね。」
「凄いだなんて、私はもっと素敵な人はたくさんいると思うのに。」
「くっそー!!学園一の問題児ってなんだよ!!!」
「まぁ、修羅は仕方ないよねー。」
「そ、れ、よ、り!!」
麟の言葉に菜々子以外の四人がそれぞれ反応していると菜々子が大きな声をあげる。
「うわぁ、突然大きな声だしてどうしたの?」
「あんたたち、この前旧校舎入ったでしょ?」
「ま、まぁ入ったけどそれがどうしたのさ?」
「それで何もなかった?」
菜々子の質問に5人は少し考えるがすぐに何もなかったと答える。
「そっかー。」
「何かあったの?」
「いやー、それがね。最近旧校舎に入った生徒が次々と行方不明になってるんじゃないかって、噂があるのよ。」
菜々子のその言葉に5人に緊張が走る。
「えー!?それって本当なの?」
「あくまで、噂の段階だけど、私は本当だと睨んでるわ。だからあんたたちに話を聞きたかったんだけど何も知らないならいいわ。竜胆君にも挨拶出来たし、またねー!」
そして、菜々子は教室を出ていった。
菜々子が出ていったあと5人は顔を見合わせて声を潜めて話始める。
「ねぇ。もし今の話が本当だとしたら僕たちはどうしたらいいのかな?」
「俺は旧校舎に行ってみるのもありだと思うぜ。だってよ、もし何かあるんだったらあのとき使えた力で解決出来るかもしれねぇ。」
「いや、俺は反対だ。危険すぎる。なにより、あの力がもう一度使えるか分からないからな。」
「僕も反対だな。みんなを危険な目には合わせたくないよ。」
「私は......助けられるなら助けたい。そのためにあの力はあると思うの。」
「意見が別れたな。麟、お前はどうしたいんだ?」
「......僕は、まだここに来てちょっとしかないけど、助けられる人がいるなら助けてあげたい。」
麟が言うと4人は顔を見合わせて頷く。
「そっか。それなら行こうよ。僕も皆を助けたい気持ちはあるしね。」
「そうだな。俺も助けたいさ。ただ危険ならすぐに帰るぞ。」
「えぇ。皆で無事に帰りましょう。」
「よっしゃぁ!行くぜぇ!!」
こうして5人は再び旧校舎へと向かうのだった。
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