「さーてと、旧校舎に来たけどよ。どうすんだ?」
「どうするって?」
「いや、俺たち旧校舎にいった奴らが行方不明って話は聞いたけどよ、具体的に何をしてたかって聞いてなかったよな......。」
修羅の言葉に真奈がにんまりとわらうと携帯を取り出し、画面を見せる。
「こんなこともあろうかと僕が菜々子に聞いておいたよ。みんな、僕に感謝するといいよ。」
「ふふ。流石真奈ね。」
「ほんと伏屋はやるな。それに比べて修羅は。」
「けっ、うるせーよ。」
少しふて腐れながらも修羅は他のみんなが真奈の携帯の画面を見ているところに来る。
「なになに、七不思議を調べてた......なるほどなー。俺たちと同じか。それで何かが起こったわけだな。」
「そうだろうな。恐らく力が目覚めなかったんだろうな。」
「じゃあ、取り敢えずは七不思議を調べよっか。どれにするー?」
「そうねー、ここは一番有名なトイレの花子さんとかでいいんじゃないかしら。」
「それもそうだなー。んじゃあ、さっさと行こうぜー。」
そうして5人は七不思議の舞台の1つである。トイレの花子さんが出るという、3階の一番奥のトイレへと向かった。
「ここが、トイレの花子さんが出るとか言うとこだよな。お前ら準備はいいか?」
「もう、さっさとやるよ!」
修羅の問いかけを無視し、真奈はトイレの一番奥から1つ手前の個室のドアを三回ノックすると大きな声でいった。
「はーなこさん!遊びましょう!!」
その真奈の声に反応したかのようにトイレの洗面台の隣にある用具入れのドアが開くとそこから、モップが真奈目掛けて飛び出す。
「危ない!!」
バキッと音と共にモップが真奈の隣にいった麟の拳で折られる。
「あっ、り、竜胆君!ありがとう。」
「怪我がなくてよかったよ。っと、それより、まだまだ来そうだね。」
麟の言う通り用具入れに入っていた道具が全て出てきて麟と真奈目掛けて射出されるが、二人の前には桜の花びらが集まり盾を形成し、さらには炎を纏った竹刀と、かぜをまとった槍が浮いていた道具を次々に叩き落とす。
「み、みんな!」
「よし!力は使えるな。伏屋もさっさと用意しやがれ!!」
「修羅に言われなくたって!おいで!!」
そして真奈が祈ると待っていたかのように真奈の手には光の指揮棒が握られ、真奈の周りに8匹の光る犬が身を寄せた。
「それじゃあ、僕たちの反撃の時間だよ!!」
真奈のその言葉に誘われる用にトイレの扉が激しく開かれる。
「オ、オマエタチハ!?ソ、ソノチ、チチチ、チカラア、アリエナイ!!マダメザメテハ!!!!」
幼い少女の声で叫んだソレは見た目は声の通り幼い少女のようだった。おかっぱ頭に赤いワンピースを来た少女だが、その瞳は深紅に染まっており、その少女が手を翳すと今までトイレだった場所は何もない薄暗い空間へと変貌を遂げた。
「おいおい!?なんだここは?さっきまで俺たちはトイレにいたんじゃ?」
「修羅、気を付けろ。目の前のあの少女......」
「あぁ。祐介が言わなくても分かってるよ。あいつはヤバい!地下で戦った奴らより何倍も強い。上枝、伏屋、お前たちはサポートに集中してくれ!!麟!」
「修羅!」
修羅の掛け声に合わせて祐介、修羅、麟の3人は右、左、正面から同時に攻撃を仕掛けた。
しかし、その攻撃は少女には届かず、途中で静止し少女が手を振るうと3人は吹き飛ばされる。
「「「ぐはっ」」」
「3人とも!!」
「お願い!!」
桜が祈り3人に桜の花びらが落ちる。
それはたちまち3人の傷を癒し立ち上がらせた。
「今のは......」
「ちっ、止めやがった。」
「次はどうする?」
3人はそれぞれ構えると様子を伺う。
そして再び飛びかかるも先ほどの光景が繰り返された。
「それならこれはどうかな?」
真奈が指揮棒を振るい犬達が少女に飛びかかる。しかし犬も同じように止められ吹き飛ばされた。
「ねぇねぇ。これって大ピンチだよね。」
「まじでやべーな。」
「正直どうすればいいか俺にはわからん。」
「竜胆君......」
4人に暗いムードが出てきた中、麟は1人呟く。
「なるほどね。」
その声に4人が麟の方をみる。
「僕なら何とか出来るかも知れない。」
「麟、そりゃあ本当か?」
「うん。ただ、少し時間がいるから時間を稼いで欲しいんだ。これをするとしたら相手は止めに来ると思うから。」
4人は頷くと少女へと向き直りそれぞれ武器を握る。
そして麟は少し後ろに体を半身にし、左足を前に出し、右手は拳を正面に向けたまま後ろにひいた。
「ソ、ソレハ!!ウ、ウグ、グワアアアア」
少女が絶叫をあげると少女の周りに黒い狐のような獣が複数現れる。
獣は麟目掛けて飛びかかる。しかし、その爪と牙は横から飛びかかった光る犬に止められる。
「へへ。そうはさせないよ!」
そして犬に落とされた所を修羅と祐介が、その竹刀と槍で打ち倒す。
「よっしゃぁ!」
「もらった!!」
形成不利を悟ったのか獣は後ろにひくとそこで口を開き火球を、飛ばす。
火球は修羅、祐介、真奈が止めるもののの全部は止めきれず何個かは麟へと襲い掛かる。
「そんなことはさせません!!」
麟と火球の間に桜の盾が現れ、爆発をする。
「準備出来たよ。」
そう言う麟は後ろに引いた拳に雷を纏い、そのまま足を踏み出すと少女まで、光の線が走った。
次の瞬間、麟の姿は少女の遥か後方にいた。
そして少女の体には全身に雷が迸り、少女の体から黒い影が吹き出し、少女は倒れた。
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