「よっしゃぁ!行くぜぇ!」
そう言うと修羅は竹刀を上段に構え、炎が宿った竹刀を力の限り振り下ろす。
上から下、描かれた軌跡をなぞるように炎が登り前方へと吹き出す。
炎に呑まれた獣は跡形も無く消え去った。
「へっ。大したことねぇな。」
修羅は次なる獲物を探し、竹刀を再び上段に構える。
「俺も負けられないな!」
祐介は槍の柄の下を持つと真横に振り回す。本来なら有り得ないことだったが、槍が纏っている風により重さをほとんど感じていなかった。
そして振り回された槍からは風が吹き荒れ、その風は刃となって獣を切り裂いた。
「まだまだぁ!」
祐介もまた次なる相手を探し槍を振るう。
「もう!二人とも荒っぽいんだから!!」
真奈が手に持った棒を振りかざすと主に害をなさんとする獣目掛けて光の犬が飛びかかる。
喉元に食らい付く、爪で切り裂くなど、8匹は連携しながら確実に敵を始末していく。
「みんな、いい感じだよ!!」
麗しき主と8匹の守護者歩みを進めていった。
「お願い。皆を守って。」
桜は祈る。友の無事を。その祈りに呼応するように桜の花びらが友を傷つけようとする一撃を防ぎ、防ぎきれず傷ついたら桜の花びらが触れ、傷を癒す。
「無事に皆で帰りましょう。」
桜は祈る。この争いが終わることを。
「大分慣れてきたかな。」
麟は己の肉体に雷を纏い雷の一撃を持って敵を倒していた。初めは体が速さに着いてこなかったものの、今ではすっかり適応し目の前の敵には拳を振るい、後ろの敵には回し蹴りを使い数を減らしていった。
「それにしてもキリがないね。」
麟の呟きの通りだった。
いくら5人が強い力を持っていても敵は無尽蔵に出てくるのだった。
ちらっと最初に吠えた獣を見ると、獣は再び吠えた。すると、社からさらに獣が現れる。
全員が初めて使う力に少しずつ疲弊していく。
それぞれが息が上がり始めた頃更に獣は吠える。
すると社から今まで倍以上の獣が現れた。
「うっそぉ!まだ来るの!?流石に疲れるよーーー!!」
真奈が叫ぶ。
「......こうなったら。修羅!奥のやつのところまで道を作ってくれないかな?」
「なるほどな。頭を叩くってわけか。......任せな!祐介!!あの集団共に最初の刃かませるか?」
「.......っ!相変わらずお前はバカ......だなっ!」
祐介が槍を真横に大きく振るい風の刃を作り出す。
修羅はその刃に後ろから全力で炎を叩きつける。
風の刃は炎を纏い目の前の集団に襲いかかる。
咄嗟に真奈と桜が5人を守る。
「もう!?危ないじゃないか!?危うく僕たちまで燃えるとこだったよ!!」
「でも、道ができたよ。」
麟はそう言うと先ほどから吠えていた獣まで邪魔する存在がいないのを確認し、雷の弾丸となり、獣を貫く。声をあげる間もなく獣は息絶えた。
「これで、増えることはないと思うよ。皆、あとは全力で片付けよう!」
麟の言葉に頷くと、それぞれが自分の最大の一撃で敵を葬り去った。
「いやー、疲れたね。」
5人は旧校舎の外に出ると真奈が口を開いた。
「ほんと、さっさと帰って寝たいぜ。」
「それもいいが、どうだ、竜胆の歓迎会も兼ねてラーメンかファミレスでも行かないか?」
「そうね。加勢神君の言う通り、竜胆君の歓迎会をしましょう。」
「僕もさんせーい!!修羅は寝ててもいいよーー!」
「馬鹿言え!!俺が行かないわけないだろう!!」
「竜胆もそれでいいか?」
「僕の為にありがとうね。僕の方こそ皆ともっと仲良くなりたいな。」
「よーし!それじゃあ、しゅっぱーつ!!」
こうして5人は学校を後にした。
5人が旧校舎を後にした数時間後、旧校舎地下に1つの影があった。
それは白衣を纏い、眼鏡をかけ無精髭を生やしていた。
それは開かれた社を見ると小さく呟く。
「龍穴が開いたか。」
それが社を再び閉じようと近づくと、社から巨大な人の形をした影が現れた。
「ほーう。こいつは厄介そうだ。」
影は男目掛けて拳を振り下ろす。
男はその拳を体を半身に捻ることで避け、影の頭部分を鷲掴み何かを唱えた。
「」
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