かみてんせい。

挿絵いっぱいな物語。
あゆみのり
あゆみのり

第三十二話 穴。

公開日時: 2020年9月24日(木) 11:02
文字数:1,233

 金の力を使うまでもなく。

 容姿と能力で名声を稼ぎ、女をはべらせた。


 この世には悪魔がいる。闇の化身ヤウとかいう奴が産み出しているらしい。

 俺にとっては好都合だ。得た力を振舞える。


 転生して半年。

 最強のハーレムパーティーは完成していた。


 おっぱいがでかくて、エロい女剣士。

 おっぱいがでかくて、エロい女魔法使い。

 おっぱいがでかくて、エロい女戦士。

 おっぱいが超でかくて、エロくて踊りの上手い女。


 戦闘はどうせ俺一人で事足りる。

 助けた背景人間達からの感謝なんて、もう浴び飽きた。

 金ならある。

 戦う理由は正直ない。


 ある夜。酔った勢いで酷い事をした。


「オレのタメならどこまでできる?」

 くだらない確認作業。

 「あなたのタメなら死ねます!」とでも引き出したかったんだろうか?


 無理やり、とても酷いコトをしてしまった。酔ってたから。

 

 それが口火となり、女達のセキが外れ、罵詈雑言の嵐。

 ゴミ人間だのクズ人間だの。このオレ様に投げかける。

 

 だが、怒る気にもなれなかった。

 

 知っていたから。


 お前たちがオレに抱かれている間、感じているフリをしていたのも。

 裏で秘密の合図を作って、馬鹿にしていたことも。

 影で悪口を言ってたのだって。


「お前たちを選んだのはな、胸がデカいからだけなんだよクソ女。」

 その場で、みんな、切り殺した。

 


 どうして、こんなことに。


 呆然として肉の塊を眺めるオレに、ぎゅっと誰かがすがり付いた。


「カメ…。」

「…。」

 どんくさくて、使えないからカメ。そう呼んでいた。


「そうか…お前まだいたんだな…。」

 忘れていた。

 次々に新しい女を手に入れ、楽しんで…。


 そういえば、ずっとそばにいた。使いっぱしりの奴隷として置いといたんだ。


「そばに…いますから。」

 こんな声だったか。普段あまり声を出さないからな…。

 そうだ、鬱陶しいからしゃべんなって昔怒ったからだ。


「オレが、クズなのは一番最初にしってただろ?」

「…私を選んでくれたから。」

 目をつぶり、顔を押し付け、俺の腰を抱きしめる。


「見た目だよ。見た目。好みだっただけだ。」

「…それも含めて私だから…。」

 なんで、しっくりこないのかが分かった。

 みなが褒める所も、尊敬する部分も、何一つオレのモノじゃなかったから。

 だから、評価されればされるほど、ムカついて、ムカついてたまらなかったんだ。


 唯一残ったオレの部分が腐っていると証明されて。


「うぜぇ…。」

 血に濡れた剣をゆっくりと振り上げる。

 白銀の刃は、血で赤ではなく黒く染まっていた。


 それでも、カメはオレから離れない。


「死ねよ。うざい…。」

 カメがオレを睨みつける。

 しっかりと抱きしめたまま。


 初めて見た。そんな顔できるんだな。


「死ねよ。」

 悪魔も魔物も沢山殺した。

 野盗も悪党だって散々殺した。

 今更奴隷の一つぐらい、なんだというのだ。


 オレはこの日から。

 役割を果たすことだけを考えることにした。

 どうせ何をしていても、心から楽しむ事などできないのだから。


 なぜ神がオレを選んだのが、どうして「お前こそがふさわしい」と言ったのか、その理由を知るために。 

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