ど田舎少女の荒廃世界冒険譚『第7特区』

(神挿絵あり)ネジ緩め、お胸控えめな最強少女のギャグ × ライトSF × ダークファンタジーをどうぞ
Ananculs A
Ananculs

第21話 少女と選定

公開日時: 2021年6月9日(水) 12:25
文字数:1,775


 遂にこの日がやってきた。なんと言うこの、この、緊張感のなさ。


 というか私、カリーナとの訓練意外に何も準備してないし!適当にやるつもりはないけど、技量の高めかたとかまったく分かんないし、笑えないなあ。


 全く笑えんっす。


「それでは、これより選定試験を行う。試験内容だが、それぞれ別のフィールドで、任務を遂行してもらう。各員には監査役として私と同じ、教官が君たちの行動をくまなくチェックし、スコアをつける。そのスコアに基づき、君たちの今後のポジションを決める。以上だ。では各自任務に取り掛かれ」


 私たちは、12階層の広大な土地に放り出された。そうです、この層は他の層と違って、格段に広い。言うなれば、学校はほんの一部って感じ。縦と横にぶわああっと広がっておる。


 前の廃ビル群のエリア、山岳地帯、それと自然が生い茂ってる森エリアにホログラムで敵アンドロイド及び、何らかの障害物が放たれたらしい。


 目標は、さっき私たちが渡された、丸型のチップ?を集めること。各フィールドに散らばっている10円玉のようなチップを5枚集めるか、人型のホログラム(人形)の救助、及びフィールドから無傷で離脱すること。


 私はチップ(10円玉)を指で軽くつまんだ。うん。なんか普通の10円玉っぽいかんじ。



 今回は完全に1人で行うワンマンのオペレーション。


 なんか、さっきまで、緊張の”き”の字もなかったけど、すごい緊張してきたあ。監査役で、無口の教官に連れて来られて、こえーよ、なんか喋りなさいよ。


 こんな場所……トイレ、行きたい。トイレ!

 

 森がすんごい、もりもりしてるもの。富士の樹海かよ。ここまじどこ!無駄に広いわ!!


「では、始め!!」


 監査役の教官と共にスタート地点に立って、開始の合図がチップからなった。


「よっ、よろしくお願いします。教官殿」


 ってもう居ないし!

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 私は今、深い森の中に居ます。もう一回、言いたい。”深い森の中に居ます”。眠りの姫なのです、誰か私に近いのキスを……。ああ。



 なんて妄想してる場合じゃないわね。それにしても、すごいなあ。地下にこんな本当の樹海みたいなのを作っちゃうなんて、私の居た世界じゃあ信じられない。そんな場所に私みたいなか弱い少女を放り出すなんて、信じられないっすわぁ……。


「よお! ナギちゃん! だっけ?」


 ビクッ!王子様にしてはやけにドスい声!ていうか私の名前を、


「ええ? どこ?」


 周りは私の身長を超える林やら、大木で人の姿が完璧に見えない。


「ここだよ、ここ」


 ザザっという林をかき分ける音とともに、そいつは林から飛び出してきた。


「あっ、そんな所に! えーと名前は、何だっけ?」


 深い森の中、生い茂る林の影から赤いドレッドヘアーの不良が現れた。んだ、不良か。私を助けてくれる白馬の王子どこ行った。


「サビだよ! サビ!」


 声がデカいな。私、基本的に声がデカい人は苦手だ。耳がきーーんとなる。


「あっ、ああ。えーと3人グループの」


 サビとかいう見た目不良は、クラスの中でも一番身長が高い。その印象的な髪型と目つきの悪さから、私の学園生活ではほとんど視界に入らなかった。


 私の学園生活はレインちゃんと、マシューと、ナオミちゃんと時々ゾローグ君なのだ。この前の図書室での勉強は良かったなあ、内容がすっかり入ってないんだけど、ただただ、あの2人キリの空間に酔ってた。あーやんばい。ヨダレが、えくぼが出ちゃう。


 そんなんだから、この人は眼中に無い。いつも3人で仲良く、確か、小太り君と、もう一人の坊主君、名前はカドだっけなあ?と一緒に行動している。私の学校にもこー言う感じのは居たけど、まず見た目がダサかった。


 小5の時は中学のサル共を葬り去ったしなあ。みんな上下、黒金のジャージだったのよね。まーじださかったわあ。でも、こっちの学生服とかビリビリに破いたら教官からビンタを食らうんだろうなあ。私服が見てみたい。


「せっかく出会ったんだし、一緒に行動しようや。別にチームを作っちゃダメ。なんてルールはないだろう」


 それはありがたい!意外といい奴なのか!!エリートな私でも土地勘は皆無なのだ。こんな深い森なんか一生同じところ歩き回っちゃうもの。


「本当!? あんた以外といい奴ね!」


 私のサビに対しての好感度は右肩上がりである。

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