ああ、やっぱりカリーナは素敵。もうこの地下帝国に咲く一輪の花!姉御!
「私、もうなんでもします! ぜひ見つけにいきましょう! それで、どこに!」
「きまってるだろう。工房局だ」
「こうぼー曲?」
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と言うわけで、私たちはその工房局にやってきた。と言っても軍階層と同じ階層にあるんだけどね。この階層の北の北。石で整備された石タイルロードを歩くこと、歩くとこ。私の隣のカリーナがその道の道中で女の子としての生き方を教えてくれた。
「いいか。ナギ。決して生まれた場所と、時代を恨んじゃいけない。本当に憎むべきはその運命ではない。それを拒絶して、その運命に立ち向かえなかった、自分自身だ」
「うーん。でも私の生まれたところは、なんつーかこう。何にもなくて、草ばっかりだったし、私の町の人達は外から来た人達に対して、変だった。だから嫌だったな〜、なんちって」
「ハハハっ。ナギは本当に面白い子だ。どこの出身かは知らないが、色々と経験してるんだね」
そう言う、カリーナの横顔の瞳は真っ直ぐに前を見てる。目からビームが出るくらい真っ直ぐ。
「でも、」
と、私が言いかけた時に
「着いたぞ。ここが、工房局の入り口だ」
「ここが、工房局!! って、なんかめっちゃ普通の雑貨屋さんなんですけど」
うん。明らかにどこにでもありそうな、シンプルな雑貨屋。装飾品とか置いてある。でも、質素じゃない?同じ種類の小さい指輪のみ。道間違えてね?
流石にこれは私の町の駄菓子屋の方がマシなレベルだわ。
「当たり前だ、フレームが悪用されたらやばいだろう。万が一にもだ。だから、セキュリティーが厳しいこの軍階層にあるし、見た目からではわからなくなってる」
確かに、この階はエレベーター降りてすぐのところに門があって、門番いるしなあ。ヘルメットみたいなのつけてて、紺色の制服姿の男の人が立っておられるんよねえ。
「えーでも、なんかこうもっと職人さんが、武器作ってたりとかすんごい想像してました、すんごい!」
「いや、作ってるぞ。奥でな」
「奥で……?」
そう言うと、カリーナは駄菓子屋以下の奥の扉を回す。回転扉になってて、そこを潜ると……何という事でございましょうか!
「すっ、すごい!」
いつぞやのテレビで観た都会の駅の改札みたいになっていて、通路用のエスカレーターを直進していく。
確かにすごい数のベルトコンベアとか、よくわからない機械とかで溢れてる。なんて言うんだっけ?スチームパンク?
鉄筋コンクリートで出来たデカイ建物の上下左右に。鉄の骨組みの上で、職人さんたちが、真剣に一つ一つの剣を見たり、叩いたり、引き延ばしたり。みんながみんな、いい汗かいてんなぁぁ!
煙が濃いいい!この白煙と、キン、カン、キン、カンしてる音!職人さんの格好はオレンジ色の ”つなぎ” みたいな服で、女の子もいる。私と同い年ぐらいの子が一生懸命に鉄を工具で叩いてる。
「ここが、工房局。なんですね、カリーナ!」
「そうだ、まあ、ここは14階と15階層の中間の地下空洞なんだ。ここの国民は生まれて10歳になるとここに来て、フレームを選ぶ。
フレームの修理とか、交換、点検なんかも全部ここだ。最悪、フレームが壊れた時とかもな、まあ、その時には特別証がジャッジメントから貰えないといけないがな」
「それでだ。とりあえず案内所に行こう」
「案内所?」
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