再会した幼馴染は××オタクになっていました

高校で再会した幼馴染が××オタクになっていた!?私の初恋どうなるの?
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序章 高校生の春、私は貴方と再会した

1話

公開日時: 2021年1月1日(金) 17:14
更新日時: 2021年1月3日(日) 04:01
文字数:2,174


表紙はmiu様に描いていただきました。

“初恋”


好きな人のことを考えるだけで、胸がドキドキする。


目と目が合うだけで、顔が真っ赤に染まる。


手を繋ぎながら、デートしてみたい!って、可愛いことを想像してみたり。


恋って青春の一つだよね!? と、大声で叫びたくなる。


両思いになったら、さぞかし幸せだろうな……と思っていたのも束の間。


再会した幼馴染は✕✕オタクになっていました。




―――私には忘れられない初恋がある。



「ふふふふ。今日からJKか」


姿見の前でニヤニヤと笑顔を浮かべる私、霧姫朱里(きりひめ あかり)。


今日から、高校生です。


「制服かわいい~♪」


赤いリボンに短いスカートはまさに女子高生って感じ!


何度も、クルッとまわってみては、自分の制服姿を確認する。


「あ……」


ふと、目に入るのは、一枚の写真立て。


そこに映っているのは、小学4年生の頃の私と一人の男の子。


「元気にしてるかな……黒炎(こくえん)くん」


サラサラの黒髪で小学中学年ながら、顔立ちが整っている。成長したら、間違いなくイケメンになるタイプの男の子。


柊(ひいらぎ)黒炎(こくえん)くん。


そんな彼は、幼稚園からの幼馴染。

そして、私の初恋の人でもある。


だけど、そんな彼は小学5年生になる前、遠くに行ってしまった。


急な引越しだったせいで、連絡先も交換しなかった。残っているものといえば、この写真くらい。


幼少期時代のことで、思い出があいまいな部分も多い。


今でも好き? と聞かれると、「会ってないからわからない」と答えてしまうかもしれない。


だけど、心の奥底では、黒炎くんのことを好きという気持ちがある。


「制服姿、見てほしかったな」


ポツリと小さく呟いた。だけど、この声が黒炎くんに届くことはない。


そんなこと、わかってる。


でも、初恋だったんだもん。そんな簡単に忘れられない。


きっと、もう一度会ったら恋してるかどうかわかるはず。



「朱里ー、遅刻するわよー!」


「はーい」


下《リビング》からお母さんに呼ばれ、ハッと我に返る。


「……よし! これで完成!」


部屋を出る前に、腰まである黒髪を上にキュッと結んだ。


私はスクール鞄を肩にかけ、バタバタと階段を下りて、玄関の扉を開けた。


「お母さん、行ってきます~!」


「行ってらっしゃい。

お母さんも後から行くからね」


桜舞う今日は入学式。


素敵なことが起きますように……と心の中で呟きながら私は学校へ向かった。



星ヶ丘高校。

中高一貫の学校で、私立の中でもかなり偏差値が高い名門校で、元は超お金持ち学校。

だが、今は数多く私みたいな庶民も通っており、学費も庶民でも払える金額になったんだとか。


一部の生徒は、本当にお金持ちの御曹司や令嬢なんかもいたりすると噂で聞いた。


私は家から一番近いということもあり、この学校を選んだ。とはいえ、受験はめちゃくちゃ難しかったのはここだけの話。


「桜、きれいだなぁ」


学校近くまで着くと、桜の木があり、まさに桜並木の景色だった。


この桜並木を越えた先に、私の通う学校がある。


「黒炎くんもどこかで桜、見てるのかな」


私は立ち止まって、桜を眺めていた。


初恋の人、黒炎くんのことを想いながら……。



「そこ、どいてくれぇぇぇ!」


「!?」


桜を悠長に見ていたのも束の間、目の前には迫りくる自転車。

私はギュッと目を瞑り、(死ぬ)覚悟を決めた。


「間一髪、だな。そこのお前、大丈夫か!?」


「う、うん……」


ゆっくりと目を開けると、自転車は身体に触れるか触れないかの瀬戸際で止まってくれた。


(死ぬかと、思った……)


心臓の音がバクバクと鳴りやまない。心拍数が早いのが自分でもわかる。

私は、怖さのあまり、腰が抜けた。ペタリとその場に座る私。


自転車に乗っていた男の子は、自転車を止め、私のことを心配してくれてか傍に駆け寄ってきてくれた。


「急に自転車のブレーキがきかなくなってな。

そしたら、目の前に女子が止まってるのが見えて、さすがに声上げてしまった。本当に悪かった。怪我とかしてないか?」


「なんとか、大丈夫。そっちこそ、怪我とかしてない?」


「俺は大丈夫。って、男は傷くらい残ったって平気だ。お前は女子なんだから、傷なんか残ったら大変だろ?」


「そう、だよね……」


あれ、なんだろう。さっきから違和感を覚えるのは。私、この男の子の事、知ってる気がする。


「あの、助けてくれてありがとう。私、霧姫朱里(きりひめ あかり)! 今日から星ヶ丘高校の一年生になるの」


「朱、里……? 俺は黒炎(こくえん)」


「やっぱり! 黒炎くんだよね!? 私のこと、覚えてる? 幼稚園からの幼馴染で‥‥」


さすがに覚えてるわけないか……と諦めかけてたそのとき、「ああ、ちゃんと覚えてる。久しぶり、朱里」と微笑んでくれた。


声色も高校生らしく大人で、身長もかなり高くなってる。

サラサラの黒髪で王子様のようにカッコいい顔。

だが、他の高校生より若く見えて、童顔だ。


そんな黒炎くんを私が間違うはずがない。

「会いたかった……黒炎くん!」


やっと会うことができた。私の初恋の人に。

私は嬉しさのあまり、黒炎くんに勢いよく抱きついた。


「!? あ、朱里……ここ、一応、通学路なんだけど」


「え?」


私はハッとあたりを見渡した。すると、「きゃー。カップルがいる」などと女の子たちが顔を真っ赤にさせて、こちらを見ているのに気付いた。


いくら久しぶりに会えたからって、大胆すぎたかな、私//


ーーー

挿絵は鈴春様に描いていただいたものです。


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