再会した幼馴染は××オタクになっていました

高校で再会した幼馴染が××オタクになっていた!?私の初恋どうなるの?
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一章 決意

4話

公開日時: 2021年1月1日(金) 17:20
更新日時: 2021年1月3日(日) 04:02
文字数:1,184

* * *


私は、家に帰ると、黒炎くんとの会話を思い出していた。


最初は、黒炎くんがギャルゲーオタクという真実を知って混乱や驚きを隠せなかったが、今冷静になってみるといくつも疑問点が浮かび上がってきた。


まず、黒炎くんがギャルゲーオタクになった理由。次に、私と同じ名前の“アカリ”ちゃんという人物と何かしらの関係にあるということ。


そして、ショップの店長とあんなに親しげに話していたことだ。

あの様子からすると、中学生の頃の黒炎くんを知っているみたいだった。


ということは、黒炎くんは既に中学生の頃には地元に戻って、いた?

だとすると、どうして連絡をくれなかったのか。

私の家は知っているはずなのに。


だけど、会いに来ない理由は明白だ。


「アカリちゃんって子と付き合ってるんだろうなー」


あんなに嬉しそうにアカリちゃんのことを話していたのだから、ほぼ間違いないだろう。と、思うけど、これも本人に聞いてみないと実際のところわからない。


でも、昔の俺はいないって、どういうこと?

やっぱり可愛くて素直だった黒炎くんがいないってこと? でも、そんな簡単な理由ではないことは、あの目を見たらわかる。


知られたくない過去の一つや二つ、少なからず、誰にでもあるだろう。


だけど、黒炎くんのは他の人とは違う気がした。


“これ以上、踏み込んでくるな” 

あの時は言われなかったが、黒炎くんの心がそう叫んでいる気がした。


「……っ」


いつの間にか、私の頬を伝う一粒のしずく。


あぁ。私……泣いてるんだ。


これは、“ただの幼馴染”と言われたことに悲しくて涙しているのか。

それとも、黒炎くんに、“アカリ”ちゃんという女の影が見え隠れしているからなのか、どっちなのだろう。


そう思うと、涙のしずくは止まらない。


その日、私は意識を手放すまで泣き続けた。


* * *


翌日、私は眠たい目を擦りながら学校へと向かった。


(ここで黒炎くんと再会したんだよね……)


再会したときは、運命だって思った。


“初恋は叶わない”って、どこかで聞いたことがある。今なら、その理由がなんとなくわかる気がする。


昨日は、綺麗に見えていた桜の木も、なんだか今日は色褪せて見えた。

だけど、満足するまで泣いたせいか、今は少しだけ心が落ち着いている。


(こんなにネガティブなことばかり考えちゃダメだ、私!)


気持ちを切り替えなくてはいけないと私はパシッ! と自分の頬を叩いた。


「なんか人が多いな……」


今日は早めに登校したはずなのに、校門付近には、女子たちが集まっていた。


今日はなにかのイベント? と思いながら進むと、そこには黒のロールスロイスが停まっていた。


すると、中から制服を着た男の子が出てきた。

ネクタイの色からして、ニ年の先輩だ。


「行ってらっしゃいませ」


スーツ姿の女性は、深いお辞儀をして、男の子を見送る。


まさにお金持ちってオーラが溢れている。一部ではお金持ちが通ってるって噂、本当だったんだ。

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