今日はアメリと一緒に、おなじみF駅前に来ています!
さすがにそろそろ、アメリに冬物を用意してあげたいというのがメインの用事。あとは私の髪のカットと、ちょっと買いたいものがあるので。
まずは、アメリの暇つぶし用の絵本を「麗文堂」で物色なう。
「うどんのめがみさまの新しいのはまだかー」
さすがにまだ、あれの新作は出てないね。まあ、出したらまっ先に教えてくれるだろうし。既刊で何かいいのないかな……?
お、これなんかどうでしょ。「ねこさん、せかいをすくう」。涙もろい猫さんが、世界を救ってくれる人を探して旅をするのだけれど、実は自分が世界を救う存在だった……。という筋書きみたい。
なんだか深遠なテーマな気もするけれど、そこはまりあさん。ざっと見ただけでも、わかりやすく親しみやすい。よし、あとは本人の意見を訊いてみましょー。
「アメリー。これ読みたい?」
本を手渡すと、数ページめくる。キラキラと輝きを増していく瞳。お、これは強い興味を持った証拠だ。
「読みたい!」
「よし、じゃあ買っていこー」
というわけで、後は私用の細々した資料と趣味の漫画を数冊買っていく。
ん、もう十一時か。
「アメリーお昼にするー?」
「おお~!」
拳を突き上げ同意する彼女。「何食べたい?」と尋ねると、しばらく悩んだ末に「なんでもいいよ~!」という力強いお言葉。そのなんでもいいって一番困るのよね、と内心苦笑する。
行きつけの美容院が「るるる」のそばなので、けやき通り側 (一本向こうのメインストリート)に出るのはちょっと億劫。すぐそばの「アール・サイン」内で済ませちゃいますか。
「LAKULU」でもいいけど、ちょっと別路線を味あわせてあげたい。
「ねえ、海鮮丼って興味ある?」
「おお? なにそれ?」
「ごはんの上に、お刺身載っけた料理。美味しいよ~」
「食べたい!」
キラキラと瞳を輝かせ、好感触。では、さっそく向かいましょー。
◆ ◆ ◆
アール・サイン一階のテナント、「うみけい」さんにやって来ました。ちょっとこじんまりした店内だけど、幸いまだ空いている。
「どれにする?」
入口横にメニューが写真付きで大きく貼られているので、ビビッときた物を尋ねてみる。
「ん~……一番上の!」
おけ、普通の海鮮丼ね。私は何にしよう……。サーモン好きだから、鮭の親子丼にしましょ。
というわけでオーダー。前払い式で、番号券を渡される。お茶やお水含めセルフサービス。アメリと隣り合って談笑することしばし、呼ばれたので取りに行く。
「はーい、おまたせ~」
丼の乗ったお膳を目の前に置くと、「おお~!」と瞳を輝かせる。
「じゃあ、いただきますしましょ。いただきます」
隣に再着席していただきますすると、アメリも「いただきます!」と続く。
「これでね、お醤油をかけるんだよー。かけすぎるとしょっぱくなっちゃうから、ちょうど良くなるまで少しずつ足していってね」
醤油差しを手渡すと、おっかなびっくりかけてはちょっと食べ、かけてはちょっと食べで塩梅を見極めていく。ほほえま。
「これでいいと思う!」と、醤油差しを手渡してくるので、自分のにもかける。
先に箸をつけていたアメリが瞳を輝かせ、もっきゅもっきゅと食んでいる。うん、訊くまでもなく気に入ってくれたみたいね。
私もぱくっ! イクラもぷちぷちとろりと美味しいし、サーモンも脂が乗ってていいわあ~。これで七百円弱はお得!
これで、お味噌汁付きっていうのがまたいいよね。
会話をしながら食べ終わり、ごちそうさまでしたを言う。お膳を下げて、退店。入れ替わりにサラリーマンと思しき人や女性客なんかがぞろぞろ入っていく。混みそうだねー。早めに食べられてよかった。
さあさあ、次は私の髪だね!
◆ ◆ ◆
「いらっしゃいませ」
というわけで、予約時間の五分前に行きつけの「美容室nana」さんに入店。落ち着いた店構えで、店内は白基調のシンプルながらもこれまた落ち着いた印象。
「じゃあアメリ、ご本読みながら待っててね」
と、「ねこさん、せかいをすくう」を手渡す。
「はーい!」という元気な声に送られ、着席。
店員さんにまずシャンプーをされる。う~ん、ほんとこれ気持ちいいよねー。
「今日はどうなさいますか?」
ドライヤーで乾かされながら、店員さんから受け取ったカタログを眺める。
「首筋が寒くならない程度に短くしたいんですけど、スタイルはどんなのが似合うと思います? 見ても、いまいちピンと来なくて」
こういうのは専門家の意見を聞いちゃいましょう。
「そうですね……。お客様の髪質やお顔立ちを考えると、黒のままのストレートロングがやはりお似合いかな、と思います。いかがでしょう?」
「では、それでお願いします」
髪型が決まったので、ハサミでちょきちょきされる。
「あの子、お子さんですか? 初めて連れていらっしゃったので。可愛いですね」
ぐむ~。やはり親子扱いされるのね。まあ、どう頑張ってもそりゃ姉妹には見えないだろうけど。とほほ。
「いえ、姪をちょっと預かってまして。まあ、色々と」
言葉を濁すと、「そうなんですかー」と言って別の話題を振ってくれる。センシティブな話題だと匂わせると、避けてくれるのは気が利くね。
「いかがでしょう?」
鏡で出来栄えを見せてくれる。
「あー、いいですねえ。すごくすっきりしました」
うふふ。シンプルな中にきれいさがあって。まだまだ私も捨てたもんじゃないね!
「では、シャンプーさせていただきますね」
再度洗髪。終わるともう一度乾かしてもらい、整髪料でのセットをお願いする。
うーん、すっきり! 髪が軽い! ザ・ニュー神奈! って感じ。
というわけで、お会計。彼女の名刺は以前いただいている……というか、いつも彼女に頼むので受け取らない。
「アメリー。終わったよー……あや」
すうすうと寝息を立てているアメリ。お腹いっぱいで眠くなっちゃったのね。
「起きてー。終わったよー」
起こすのも可哀想だけど、待合で爆睡させるわけにもいかないので揺すり起こす。
「んー……? おお~? おねーちゃん、雰囲気変わったー?」
寝ぼけ眼をこすりながら、尋ねてくる。
「うん。きれいにしてもらったよ。さ、服を買いに行きましょ」
というわけで、退店。続く!
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