神奈さんとアメリちゃん

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第四百六十一話 海へ!

公開日時: 2022年1月10日(月) 21:01
更新日時: 2022年1月12日(水) 23:18
文字数:2,446

「いやー、ついに海ですね、海! 明日はいい天気だそうで、今から楽しみです!!」


 優輝さんのバンザイ猫スタンプ。おおう、朝からテンション高いですねえ。いつものように、朝のチャット中です。


 しかし、もう明日かー。時間が経つのが早い。今日中に、やるべきことやっとかなきゃ。


 ちなみに、場所は横浜にあるビーチ、「海の楽園」に決定しています。五人乗れる車を持ってる私が近井さんご一家を、白部さんがまりあさんたちを連れて行く手はずになっています。


 明日に備え、今日は勉強会もお休みで、体力温存。


 検索エンジンでルート検索し、一番距離が短いルートを選ぶことにしました。一番早いのは十五キロほど余分に距離があるのに、四分しか違わなかったからね。一番走行距離が短くて、二番目に早いルートで行きまっしょい。


 あーとーはー。日焼け止めよーし! 水着よーし! 着替えよーし! 浮き輪とポンプよーし! ごはんは、優輝さんたちがバーベキューを予約したので、朝食だけでヨシ! なんかあったら、SAなりPAなりに寄ればいいしね。


 おっと、アメリちゃんといえば砂遊び。バケツとスコップも忘れずに!


 それと、バーベキュー用の飲み物はかくてるの皆さんがご用意してくださるとのことで。アメリや近井さんたちが飲むのを、明日ドリンクホルダーに挿しておきましょ。


 あと、なんかないかな? 皆さんに相談してみよう。


「ビニールシートはあったほうがいいと思いますよー。うちからも、余分を見て持っていきますけど」


 と、優輝さん。そうね。重しと一緒に持っていきましょ。


「ビーチパラソルは、あいにく一本しかないですけど」


 持ってるだけですごいと思います。ほんとに、レジャー好きなんですねえ。


「ほかには、ビーチボールも持っていきますよー! スイカとバットはどうしようか、悩んでます」


 すごいな。さすがイベント大好きガール。


「わたしたちは、水着と浮き輪とポンプと着替えぐらいでしょうか?」


 相乗り組のまりあさんが確認してくる。


「そんなもんでいいと思いますよ~」


 優輝さん、実に生き生きと仕切ること! ほんとに、血が騒ぐって感じなんだろうなー。


 あとは、ビーチのHPを下調べしておこう。へー、ビーチバレー場にサッカー場なんてのもあるんだ。


「サッカーしてえなー」


 それらのことを書いたら、ノーラちゃんが反応。


「残念だけど、他の人がサッカーシューズもレガースも持ってないからねえ」


 そう返す白部さん。ノーラちゃん、しょんぼり猫スタンプ。


「ビーチボールだけど、そっちで遊ぼうぜ、ノラ子!」


 サムズアップ猫スタンプで元気づける久美さんに、ノーラちゃんも同じスタンプで応える。仲良き師弟コンビかな


「おねーちゃん。アメリ、なんかやっておくことある?」


 LIZEでははなく生のほうで、ベッドに腰掛けてスマホを見ていた娘に問われる。


「特にないと思うよ。強いていえば、早めにぐっすり寝ておくことかな」


「わかった!」


 元気なお返事。良きかな良きかな


 私も、明日いっぱい遊ぶからって、無理に仕事しないようにしないとね。アメリと同じ、九時に寝よう。


 また思いついたことがあったら、適宜話していきましょ。


 そんじゃあ、無理しない程度にお仕事がんばりまっしょーい!!



 ◆ ◆ ◆



「おはようございます」


 近井家の前で車を停め、連絡を入れて車内で待つことしばし。おなじみ近井さんと、ともちゃん。そして、柔和そうな雰囲気をまとった、近井さんと同い年ぐらいの男性がご挨拶してきました。


「おはようございます。今トランク開けますね」


 トランクを空けると、近井さんと男性がそれぞれ荷物を入れる。


 そして、男性が助手席に、近井さんがチャイルドシートをセット。ともちゃんを座らせ、シートベルトをかけます。その後は、右側にご自身も着席。


「はじめまして。お話は、妻からかねがね。近井良夫ちかい・よしおと申します」


「はじめまして。猫崎神奈と申します。ええと、近井さんじゃ紛らわしいですよね。初対面で恐縮ですが、良夫さんとお呼びしても?」


 互いに、頭を下げてご挨拶。


「はい。それでお願いします」


「では、近井さん……とと、奥さんは親子ちかこさんとお呼びしますね」


「わかりました」


「では、あまり長く路駐してるわけにもいきませんので、出しますね」


 というわけで、カーナビをセットして発進するのでした。



 ◆ ◆ ◆



「良夫さんは、免許持ってらっしゃるのですか」


 道中、運転免許に話が及んだ。


「ええ。社用で使いますので」


「すみません。てっきりご夫婦揃って無免かと」


「まあ、そう思われるのも無理ないですよね。自家用車はなくていいかと思ったんですけど、失敗しました」


 あははと、後頭部を撫でる彼。


 なるほど。お話通り、のんびりした方だ。


「私、下の名前が親子ちかこでしょう? そして、結婚したら『チカチカ』になっちゃいまして。学生時代の友人や元同僚から、そんな愛称で呼ばれるようになってしまいました」


 近井さん改め、親子ちかこさんとも談笑。楽しいご夫婦だ。ともちゃんの、屈託のない性格のゆえんがわかった気がする。


 高速道路に入ったら、さすがに私は無言。喋りながら百キロとか出せる自信はありません。


 幸い、周りが喋ってても気が散らないという特技のおかげで、近井さんご一家とアメリには、自由におしゃべりを楽しんでもらってます。運転に集中してるから、何喋ってるのかまでは頭に入ってこないけど。


 途中、PAに寄りながら、目的地に到着! 海独特の匂いが漂ってくるぅ~!


「着きましたー」


 駐車場に車を停め、エンジンを切る。


「お疲れ様でした。ありがとうございます」


 近井さんご夫妻から、ねぎらいのお言葉をいただく。


「友美も、ちゃんとお礼言おうね」


 親子ちかこさんが促す。


「ありがとうございます!」


 ともちゃんがペコリと頭を下げるのが、バックミラー越しに見える。


「どういたしまして」


「おお? ありがとーございます!」


 アメリも真似してお礼。


「アメリも、ありがとう。じゃあ、行きましょうか」


 子供たちの可愛いムーブに微笑みながら下車し、必要な荷物をトランクなどから出して、海へと向かう用意をするのでした。

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