神奈さんとアメリちゃん

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第二百三十五話 キラキラアメリちゃん

公開日時: 2021年5月17日(月) 21:01
文字数:2,362

「おねーちゃん、ちょっと疲れた……」


 アメリの声に、はっとなる。スマホで時刻を確認すると、すでに一時間半近く経過! やってしまったあああああああっ!!


 ああ、どうして私はアメリの撮影を始めるとこう……。


「ごめん! あーもう、またやっちゃった……。ローストビーフ作るから、ゆっくり休んでて」


「おお? ローストビーフ?」


「うん。白部さんたちにも配るのー。美味しいよー。楽しみにしててね」


 「はーい」と、ベッドで買いたてほやほやの本を読み始めるアメリを背に、キッチンへ。新しいベッドは、明日到着かー。


 さて、今回は一人でれっつ・くっきーん! レシピ動画と脳内BGMスイッチオン!


 ありゃ、今から漬け込みになるのか。失敗したなあ。まあ、時を巻いて戻す術はないとどこかの偉い人が言ってた気もするし。グダグダクッキングと参りましょう~。


 まず、お肉の塊にフォークでぷすぷす穴を空けまして。塩胡椒にチューブにんにくをすり込み~。


 で、チューブにんにく、塩、胡椒、お醤油、料理酒、みりん、はちみつ、中濃ソースをお肉と一緒にジッパー付きビニール袋に入れて、よーくもみもみ。


 後は冷蔵庫で一時間寝かせるのか。


 えーと、しゃぶしゃぶ用のご飯を炊く時間も計算して……。うん、間に合いそう。ただ、今度はうっかりしないようにしないと。



 ◆ ◆ ◆



「ただいまー」


「おお? もうできた?」


 上半身を起こすお嬢様。


「あはは。私が撮影に熱中しちゃったから押せ押せで……まだなの」


 苦笑し、アラームをセットして「フリアト執筆用ソフト」を立ち上げる。


 こっち執筆もこっちできちんとやらないと、真留さんと芦田さんにご迷惑がかかるもんね。


 すいすい、すらすら……。お、一時間経過。


 えーと、今度は袋ごと室温で三十分放置か。


 執筆再開~。さらさら~っ。


 おっと。三十分経過~。行ってきまーす。


 えっと? お肉を取り出し、たれを六百ワット電子レンジで一分半加熱か。うちのは五百だから、一分五十秒ぐらい?


 一方、お肉はフライパンで外周を強火で焼きます、と。


 ふう、できた。これをもう一回袋で揉むのか。あちち、ミトンでやらないとダメね。


 で、炊飯器くんにポットのお湯と一緒に入れて、保温モードで四十分放置~。ふう。



 ◆ ◆ ◆



「ただいまー」


「おお!? 今度こそできた!?」


「あー、もうちょっと待ってね」


 すると、アメリちゃんがっかり。楽しみにしてるとこ、ごめんね。私の悪癖のせいで……。


 ともかく、気を取り直して原稿執筆! ……していると、四十分経ちました!


「お、できた」


「おお、食べる!」


「あ、氷水で冷やす必要があるらしいからもうちょっとね。でも、すぐできるから一緒に行こう」


 「はーい!」と元気に後をついてくるお姫様を引き連れ、キッチンへ。


 さて。今度は氷水を作って、と。じゃぶん。


「……できた?」


「まだまだ」


 氷の溶け具合を確かめながら、首を横に振る。


「……そろそろいい?」


「もう一息」


 待つことしばし。


「……ん、冷えたみたいだよー」


「やったー!」


「切るのはアメリちゃんやる?」


「やるー!」


 というわけで、薄切りにチャレンジしてもらいます。


 ……おお、上手上手!


「お見事です、アメリシェフ!」


「えへへー」


 ミケちゃんみたいに胸を反らすお嬢様。可愛い。頭を撫でると、「うにゅう」ととろけた顔になる。


「さてと。炊飯器くんには引き続きお米の浸水を頑張ってもらうとして、少し食べる?」


「うん!」


 キラキラ瞳を輝かせる。ほほえま!


 というわけで、五切れずつお皿に取る。


 ぱくっ。……お肉の旨味がギュッと詰まってて美味しい!


「美味しい!」


 実食して、さらに瞳を輝かせるアメリちゃん。良きかな良きかな


「じゃあ、皆さんに配りましょ」


 LIZEで訪問の旨を問うと、全員ご在宅のこと。さっそく配って回ると、たいそう喜ばれました。


 ラストはまりあさんにお届けしてフィニッシュ!


「もっと食べたかったなー」


「また今度作ってあげるからね。お楽しみに!」


 「おお~!」という声とともに、バックミラー越しにキラキラお目々が見える。今日は良くキラキラするね。



 ◆ ◆ ◆



 ちょうど浸水も終わったので、炊飯ボタンを押す。あとは、寝室で執筆再開。


 ふう、今日遊び過ぎちゃったぶんは何とかカバーできたかな? 誰かが作業時間を決めてくれる仕事じゃないから、いろんな意味で自己管理力が問われるねー。


 すらすらと筆を走らせていると、スマホが炊きあがりをお知らせ! そんじゃー、本日のメインディッシュを作りにいきまっしょい!


「さて、引き続きしゃぶしゃぶを作るですよ、アメリシェフ」


「おおー!」


 レシピ動画をセットして、再度脳内BGMをスイッチオン! 今回はカセットコンロ先生に大活躍してもらいます!


「じゃあ、水菜としいたけとえのきを任せちゃおうかな。水菜は春菊と同じ感じで。しいたけは石突きを取って、上にバッテンの切れ込みを入れてね、えのきはいつもの要領でオーケー」


「はーい!」


 こちらはお肉を食べやすい大きさに切って、白菜をざく切りに、おネギは斜め切りにする。ごはんも切っておきましょー。


 土鍋にお湯を沸かし、顆粒の昆布だしを溶いたらポン酢のお皿をとごはんを置き、エプロンを外して対面に着席。


「じゃあ、まずはお肉を入れてゆすぎましょう~」


 しゃぶしゃぶ。しゃぶしゃぶ。


「あとは、ポン酢で食べるのよ」


 ぱくっ! うん、シンプルに美味しい! やっぱ、いいお肉は違うわー。


 アメリも、「美味しい美味しい」とキラキラお目々。今日は、いっぱい輝いてるね! 良きかな良きかな


「次は、お野菜をいただくですよ」


 お肉がなくなったのでアクをすくい、お野菜を火の通りが悪いものから順に茹でていく。


 茹で上がっては食べ、茹で上がっては食べ。うーん、お野菜も美味しいわあ~。


「「ごちそうさまでした!」」


 仲良く食べ終わりました。ふう、汗だく。ストレッチ後のお風呂が恋しい。


 今日も、美味しいごはんに感謝!

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