神奈さんとアメリちゃん

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おまけ編・その十九 冬至を楽しもう!

公開日時: 2022年6月17日(金) 21:01
文字数:2,234

「お~、冬至だわ。最近、とみに寒いなあと思ったら」


 スマホで、カレンダーを見ていた私。今日が冬至だと気づきました。


「とーじ?」


 押江先生の授業を受けながら、娘が質問を投げかけてくる。


「うん。一年で最も、お陽様が出てる時間が短い日でね。……よし、アメリちゃん。今日は冬至イベントやりましょう!」


「おお? 何するの!?」


「そうねえ。かぼちゃ食べて、ゆず風呂入ろっか」


 オーソドックスだけど、伝統行事だものね。去年は年末進行でバタバタしてて、できなかったし。今年はやや余裕があるから、ぜひとも!


「おお! かぼちゃ美味しいよね! ゆず風呂ってどんなだろー?」


「それは、あとのお楽しみーってことで。先生の授業が終わったら、お買い物行きましょ」


「はーい!」


 しゅびっと挙手して、愛娘は書きものに戻りました。


「冬至ですかー。私、殆どをアメリカで過ごしてましたから、冬至イベントやったことないんですよね」


「でしたら、先生もかぼちゃ、ご一緒しませんか? 」


「いえ、お誘いはありがたいですが、お二人の時間を邪魔しても悪いですし、自分で調べながら、やってみます」


 うーん、ちょっと残念。……私、最近優輝さんに似てきた気がするな。


「では、それこそ勉強の邪魔をしても悪いので、執筆に戻りますね」


 ちなみに、先生は近々ニューヨークに帰省されるご予定だとか。アメリカ育ちの彼女にとって、クリスマスは家族と過ごす大事なイベントで、どうしてもと、有給を取ったそうです。


 そしてそのまま、年末年始は普通にCH研の業務はお休みで、里帰り続行。


 私は私で、今年も年末進行を終えたら、アメリと一緒に福井へ帰省。


 明日は、さつきさんのお誕生会だし、さくさく仕事片付けないとね!



 ◆ ◆ ◆



「では、失礼します」


「はい。また、よろしくお願いします」


 先生がお帰りになられるので、互いにお辞儀。アメリも、「せんせー、またねー! ばいばーい!」とご挨拶。


 バス停に向かう先生を見送り、デスクワークでこわばった体を「う~ん」と伸びでほぐす。


「じゃー、買い物行こっか、アメリちゃん」


「おおー!」


 拳を突き上げ、お返事。お勉強の後なのに、元気ですねえ。


 そんじゃ、さくっと行ってきましょうか。



 ◆ ◆ ◆



 とーちゃーく!


 いつものBGMが心地良い。では、買い物買い物~っと。


 まずは、主役のかぼちゃくん! 二人だから、四分の一カットのでいいよね。


「おお~、かぼちゃ美味しそう!」


「ねー」


 互いに微笑みながら、ゆずを購入。冬至なので、どちらもセール価格でホクホク!


「おお? みかん? 食べるの?」


「ううん。これはゆず。あと、今回は食べるんじゃなくて、お風呂に入れるの」


「お風呂に!?」


 アメリちゃん、まさかこれをお風呂に浮かべるとは思ってなかったようで、しっぽをぶわっとさせてびっくり。


「いい香りがするんだ~。ほら、あれよ。入浴剤みたいなもんだと思ってもらえれば」


「おお~……」


 まだ、不思議そうな顔をしてる。ふふ、可愛い~。


 で、これだけじゃごはんとしては足りないので、アメリのリクエストで、ブリの照り焼きと、ほうれん草のお味噌汁を作ることになりました。良きかな良きかな


 そろそろ、冷蔵庫を空にしていかなきゃいけないからね。あんまり、あれもこれもと買えないのが残念。


 とはいえ、これは外せない、つぶあん缶。


「おお? あんこ? お菓子作るの?」


「んふふ~。福井流冬至の必須アイテム~。これも食べるのよ~」


「おお?」


 不思議そうな顔をする愛娘。


 この量、どうしても余っちゃうけど、残りはお餅で、ぜんざいにでもしましょうかね。


 さて、三種の神器も買って、帰りましょうか。



 ◆ ◆ ◆



 たっだいまー!


 というわけで、時間も押してるので、着替えたらレッツ・クッキン!


 二人で手際よく、料理を作っていきます。


 途中、かぼちゃに茹でたつぶあんをかけると、「おおお!?」と、アメリが変な声を出す。


「おお……かぼちゃにあんこかけるの?」


「うん、いとこ煮。冬至はこれですよ」


「うにゅう……変な感じ」


 えー?


「アメリちゃん。栗羊羹あるでしょう?」


「うん」


「あれ、あんこの中に栗入れたものだよね? それと同じことよ」


 そう言うと、わかったような、わからないようなといった感じの表情をする。


「ま、食べてみてちょうだいな。美味しいから」


「わかった! おねーちゃんのごはん、美味しいから、きっと美味しい!」


 ふふ。信用って大事ね。でも、いとこ煮ってそんな変かしら? 解せぬ。


 ともかくも、完成! 例によって、ハイタッチ!


 では、いただきましょー。


 「いただきます」を言い、さっそくいとこ煮を食べてみるアメリちゃん。


「甘い! 美味しい!」


「でしょー」


 ふふふんと、私も上機嫌。怪訝な反応をされた、いとこ煮も好評で、良きかな良きかな



 ◆ ◆ ◆



 ごちそうさまの後は、お風呂。公約通り、ゆずを浮かべます。皮をちょっと削いで、香りを出やすくするのが猫崎家流。


「おお~。ほんとに、いい匂いがする~!」


「でしょー」


 ふふふんと……さっきもやった気がするな、このリアクション。


 いつもよりちょっと長めに浸かり、香りを堪能。


 ぽかぽかになって、お風呂を上がりました。


「あのゆずは、どうするの?」


「んー? もったいないけど、捨てちゃう。お風呂に入れちゃったから、食べるのはちょっとね」


「おお……」


 娘も、もったいないと思っているようだけど、しょうがないかといった反応。


 ともかくも、これにて行事コンプリート!


 いやー、今年は冬至を楽しめて、良かった良かった。


 さーて、お楽しみの後は、里帰りのために、お仕事頑張らなきゃね!

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