神奈さんとアメリちゃん

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第三百九十三話 由香里さん、お誕生日おめでとう!

公開日時: 2021年10月26日(火) 21:01
文字数:2,849

 今日は由香里さんの誕生日!!


 最近、仕事や人権法でごたついてたけれど、お楽しみの日が来ると、気分はウキウキだね!


 というわけで、前もって用意しておいたプレゼントを手に、おめかししてお隣へ!


 中にお通しされると、すでに皆さんお揃いでした。まりあさんが先着してるのは珍しいね。


 皆さんにご挨拶すると、ご挨拶返しされます。今日は由香里さんの誕生日だからか、キッチンには優輝さんだけが入っているようです。


 由香里さんはホストとして、待ち時間の間、みんなとおしゃべり。


「本当に、明日国会にお出になるというお忙しい最中さなかでしたのに、恐縮です」


「いえいえ。大切な友人の誕生日ですもの。そのへんはきちんと進めていますので、お気になさらないでください」


 私たち保護者と、研究者両方の代表という立場で、国会に出る前日の白部さん。


 それで由香里さんが恐縮しているわけだけど、当の彼女は気さくに返す。


 実際、由香里さん並みににソツのない方だから、言葉通り明日の準備もしっかり整えた上でパーティーに臨んでいるのでしょう。


 そんな感じで談話していると、優輝さんが「できましたよー。皆さんどうぞー」と、ダイニングから顔を出してきました。


 待ってましたとぞろぞろ入って行き、優輝さんとも挨拶を交わす。


「じゃ、由香里に今日は司会してもらおうかな。給仕はあたしがやるよ」


「ありがとう。優輝ちゃん。えー、こほん。今日はわたしの誕生日にこうしてお集まりいただき、ありがとうございます。こうしてお祝いいただけること、誠に幸いです」


「由香里ちゃーん、固いっす固いっす。もっと気楽にいこうっすよ」


 さつきさんがリラックスを促す。


「えー? うーん、わたし普通にこんな感じだからなあ……。そうですね、とにかく今日はいつものように、飲んで食べて楽しみましょう!」


 とりあえず挨拶が無難に締められた後は、普通サイズの箱入りケーキを二つ出し、上戸組にシャンパンを、下戸組と子供にソフトドリンクをサーブしていく優輝さん。


 「シャンパンはウチの秘蔵っ子なんで、乞うご期待」とは久美さんの弁。楽しみですねえ。


 しかし、はて。箱入りケーキが二つ? 「カトレーヌお菓子屋さん」あたりで買ったのかしらね?


「今日は祝われるご本人ということで、由香里さんはケーキ焼かれなかったんですね?」


「あ、それ焼いたのわたしです」


 挙手した意外な人物は、まりあさん。えっ!?


「理由はおっしゃる通り、由香里さんのお祝いだからですけど、神奈さんと白部さんにサプライズしようと、こっそりかくてるの皆さんにご相談してたんです」


 なんとまあ、茶目っ気のあることを。


「箱入りということは、ご自宅から?」


「ええ。さすがにこちらで焼かせていただくのは、ちょっとお邪魔かなあと思いましたので。こちらほど大きなオーブンがないので、二つに分けて焼いたんです」


 なるほどねー。箱入りもそうだけど、二つあることにも納得がいった。そして、まりあさんの早めの到着も。


「じゃ、ろうそく立てますね」


 箱を開けると、キウイがふんだんに載った大きな白いケーキが現れ、大きなろうそく一本と、小さなろうそく三本ずつがそれぞれに立てられ、火が灯される。


「では……」


 由香里さんがふうっと火を吹き消すと、みんなから「お誕生日おめでとう」の祝辞とともに、拍手が鳴り響く。


「ありがとうございます!」


「こっち側は、あたしが切り分けるよ。由香里はそっちをお願い」


「ありがとう、優輝ちゃん」


 みんなの前に、ケーキが配られる。美味しそうなショートケーキだ。まりあさんは和のイメージが強いけど、洋菓子だってきっと得意。実際、以前いただいた手作りクッキー、美味しかったしね。


 配膳が終わると、由香里さんの音頭取りとともにいただきますの合唱!


 ぱくっとな。う~ん、美味しい~! オーソドックスないちごにしなかったのは、旬を外れてて、キウイがちょうど時期だからか。


 いちごのショートケーキもそうだけど、甘~いケーキに酸味のあるフルーツを入れようって最初に考えた人は天才よねー。甘味に酸味のアクセントが、これほど合うとは。


 そして、久美さん自慢のシャンパンを……。おお~、ほんとにいいお酒だ~。すーっと、鼻にぶどうの爽やかな香りが抜けていく。


 そういえば何かで知ったけど、シャンパンってフランスのシャンパーニュ地方で作ったものだけをいうんだっけ。お酒好きな久美さんが間違えるはずないから、本当のシャンパンなんだろうな。


 ああ、これはいくらでも飲めてしまう。帰ったらお仕事しなきゃいけないから、ほどほどにしないとね。


 こうして、シャンパンとケーキをぺろりといただき終わってしまいました。


「じゃ、そろそろメインディッシュいいかな」


 優輝さんがレンジを操作して、空いたお皿を片付ける。


「優輝、もう一本の出して」


「わかりました」


 久美さんに促され、二本目のシャンパンとソフトドリンクをサーブする優輝さん。ふえ~! 大盤振る舞い!


 レンジがチーンと音を立て、優輝さんが取り出したのは……ピザ!


「ピザでいいんですか?」


 思わず、久美さんに間抜けな質問をしてしまう。


「え? 何で?」


「あ、変なこと言ってすみません。今まで、優輝さんのピザに苦情言ってた印象が強くて」


 それを聞くと大笑いし、「いや、こいつ優輝も作り飽きたのか知らんけど、最近ピザ離れしてくれてるからね」とおっしゃる。


「いやー、あれだけピザとかお菓子焼いたら、十分元取りましたもん」


 と、優輝さんも笑顔。ピザカッターで切り分け、配膳していく。


 具は、ベジタブルが目立つな。私好み。


「あ、わたしの好きなお野菜たっぷり。ありがとう、優輝ちゃん」


 由香里さんも野菜ピザお好きなのね。たしかに、いかにもイメージに合うけど。


「どういたしまして。子供たち向けに、エビなんかもそれなりに使ったけどね」


 再度由香里さんの音頭取りで、いただきますの合唱!


 う~ん、やっぱり優輝さんのピザは美味しい! しかも、ベジタブル満載となれば、嬉しさ倍増ってなもんです。


 二杯目のシャンパンはさっきのとは別物だけど、これまたすこぶる美味。久美さんのチョイスに、外れなし!


 こうして、たちまちピザもごちそうさま。


 食後はリビングに移動して、プレゼントお渡し会。


 次々にプレゼントが渡されていき、心の底から嬉しそうに受け取る由香里さん。


 そして、私の番が来ました。


「クリアガラスの猫の置物です。以前、ガラス細工を集めてらっしゃるのをお見かけしたので、喜んでいただけるかと思いまして」


「わあ……ありがとうございます! 一度部屋を見ただけなのに、よく覚えてらっしゃいましたね! さすがです! 本当にありがとうございます!」


 深々とお辞儀される。私のチョイスは大正解だったみたいだ。あとでまとめて開封するらしく、中身は見ていただいてないけど、お気に召されるといいな。


 続いて渡されたアメリの似顔絵も大変喜んでいただき、頭を撫でられて、おなじみの「うにゅう」ボイスを上げる。良きかな良きかな


 今回も、とても楽しい誕生パーティーとなりました。素晴らしい友人たちに、心から感謝と祝福を!!

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