たっだいまー! ふう~。隠しごとがないって素晴らしい! なんて晴れやかな気分なんだろう!
「アメリちゃ~ん! アメリちゃんの真の愛らしさが世間様に周知されましたよ~!」
ぎゅっと抱きしめ頬ずりすると、「おお~」と半分事態が理解できてない感じで感心するお姫様。
さて、それはさておき、お昼を作りましょう。といっても、今から炊飯するのでちょっと先になるけど。
とりあえず、部屋着に着替えましょ。
◆ ◆ ◆
ご飯が炊けました!
まずはホタルイカ。ボイル済みなので、目玉だけ取って酢味噌作れば完成だけど。
「アメリちゃん、お目々取る作業してみる?」
「おお? ちっちゃいそめごろう可哀想……」
うーむ、まだ精神的難易度が高いですか。では、イカは私の担当ということで。
すると、アメリシェフの担当はお味噌汁がいいかな。
「じゃあ、わかめのお味噌汁作ってくれる?」
「らじゃー!」
では、イカの目ん玉を爪楊枝でほじほじするですよ。地道な作業だねー。でも、これやっとくと食べるとき楽だからね。
「アメリー。わかめは増えるから気をつけてねー」
「はーい」
一応注意を促しておく。
ほじほじ……ほじほじ……。
一所懸命ほじってると、アメリシェフが「味見してー」と声をかけてきました。どれどれ。
「……ん。ちょうどいい塩梅だと思います」
「やったー!」
嬉しそうなアメリちゃん。手が汚れてなかったら撫でてあげたいところ。
再度作業に戻り、やっとこ目玉取り終了~! ふう。
酢味噌はお味噌大さじ二杯、お酢、お砂糖を大さじ一杯ずつ溶けば出来上がりっと。
で、レタスのごま和え~。レシピ動画再生!
レタスの葉っぱを五枚ほど剥がして、塩少々を入れたお鍋で一分茹でますと。
で、お湯から揚げたら流水にさらして、その後水気を切る。
あとは、ボウルに白すりごま、お醤油、ごま油各小さじ一杯と塩少々を入れて、レタスと和えまーす。……完成!
「お昼が完成ですよー、アメリちゃーん」
「おお~」
ホタルイカ、レタス、お味噌汁、ごはんを配膳し、最後にお茶を淹れてカンペキ!
「では、いただきますしましょう。いただきます!」
「いただきます!」
「ホタルイカには酢味噌をつけて食べるんだよ~」
というわけで、ぱくっ! うんうん、旬のホタルイカは美味しいですねえ!
続いてレタス。レタスを茹でるなんて邪道な気がしてしまいがちだけど、これが実に美味しい。レタスを加熱してはいけないという法律はないのです!
そしてお味噌汁。おおう! 上出来ですよ、アメリシェフ!
「お味噌汁美味しいよー、アメリー」
「ほんと!?」
惜しみない賞賛をすると、瞳をキラキラ輝かせてくる。ほほえま!
はー、久しぶりの生鮮食品の美味しいこと! ごちそうさまでした!
アメリも食べ終わり、後片付けの後歯磨き。
その後、いい加減プロットを切らないといけないので執筆なう。
三十日から向こう、怒涛の五日間だったものねー。
そういえば、「あめりにっき」はこれからどうするべきなのだろう。アメリが猫耳人間になったことはカミングアウトしてしまった。こっちのアメリも猫耳人間にするべきなのだろうか。
……一人で悩んでもしょうがないな。そのための担当さんだ。とりあえず次号はいつも通りに進めて、その先は真留さんと相談しよう。
アメリちゃんは日曜のテレビ番組を色々見てるけど、グッと来るのがないみたいで、結局おなじみの読書。
平和な時間が過ぎていく。本当に久しぶりだな、こんなに穏やかな心で過ごせる日は。
おっとアラームが。もう六時!? 早いなー。アメリが静かに読書する子に育っているものだから、時間が経つのを忘れちゃうね。
「アメリちゃーん。晩ごはんのお時間ですよー」
伸びをしながら話しかけると、「おお? もうそんな時間!?」と彼女も伸びをする。ふふ、シンクロ。
というわけで、キッチンへ!
「さて、アメリちゃんにはどこを担当してもらおううかな」
例の脳内BGMを鳴らしつつ、レシピ動画をチェック。
「よし、レタスを切ってもらいましょう。これを、一センチ半に切ってもらえるかな?」
「はーい!」
レタス四分の一を剥がして手渡すと、しゅびっと挙手して調理体制に。
こちらは寸胴鍋にお湯を沸かし、アンチョビをみじん切りにする。オニオンスープ缶も手鍋に空けて、加熱なう。
唐辛子のヘタと種を取り除いて……と。
お湯が沸いたのでお塩大さじ二杯を加え、スパゲッティーを茹でまーす。一分早く揚げるのがコツらしい。
「できたー!」
アメリシェフ、完成!
「はーい、ありがとー。置いといてねー」
タイマーが鳴ったのでスパゲッティーを湯切りし、フライパンにオリーブオイル大さじ二杯、チューブにんにく、唐辛子を入れて中火で炒める。
炒まったら、アンチョビ、スパゲッティー、レタスの順に加えて炒めるべし、炒めるべし!
あとは塩胡椒で味を整え、お皿に盛り付けたらかんせーい!
「できましたよー」
オニオンスープもカップによそい、着席!
「「いただきます!」」
おおう、レタスのスパゲッティーなんて変な感じがするかと思ったけど、これは美味しい! アンチョビの塩辛さと相まって、いくらでも食べられちゃうわね!
オニオンスープも実に合う。
「美味しいね!」
これにはアメリちゃんもにっこり。「ねー」と笑顔で返す。
色々あったけど、風がいいほうに吹いている。浦野さんと会ったら、きちんとお礼を言おう。すべては、浦野さんの言葉に勇気をもらったおかげだ。
とりあえず、食べ終わったらプロットの続き頑張ろう! 明日明後日には、真留さんと打ち合わせできるといいな。
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