神奈さんとアメリちゃん

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第二百九十九話 レタスを加熱してはいけないという法律はないのです!

公開日時: 2021年7月23日(金) 21:01
更新日時: 2021年9月3日(金) 19:41
文字数:2,230

 たっだいまー! ふう~。隠しごとがないって素晴らしい! なんて晴れやかな気分なんだろう!


「アメリちゃ~ん! アメリちゃんの真の愛らしさが世間様に周知されましたよ~!」


 ぎゅっと抱きしめ頬ずりすると、「おお~」と半分事態が理解できてない感じで感心するお姫様。


 さて、それはさておき、お昼を作りましょう。といっても、今から炊飯するのでちょっと先になるけど。


 とりあえず、部屋着に着替えましょ。



 ◆ ◆ ◆



 ご飯が炊けました!


 まずはホタルイカ。ボイル済みなので、目玉だけ取って酢味噌作れば完成だけど。


「アメリちゃん、お目々取る作業してみる?」


「おお? ちっちゃいそめごろうイカ可哀想……」


 うーむ、まだ精神的難易度が高いですか。では、イカは私の担当ということで。


 すると、アメリシェフの担当はお味噌汁がいいかな。


「じゃあ、わかめのお味噌汁作ってくれる?」


「らじゃー!」


 では、イカの目ん玉を爪楊枝でほじほじするですよ。地道な作業だねー。でも、これやっとくと食べるとき楽だからね。


「アメリー。わかめは増えるから気をつけてねー」


「はーい」


 一応注意を促しておく。


 ほじほじ……ほじほじ……。


 一所懸命ほじってると、アメリシェフが「味見してー」と声をかけてきました。どれどれ。


「……ん。ちょうどいい塩梅だと思います」


「やったー!」


 嬉しそうなアメリちゃん。手が汚れてなかったら撫でてあげたいところ。


 再度作業に戻り、やっとこ目玉取り終了~! ふう。


 酢味噌はお味噌大さじ二杯、お酢、お砂糖を大さじ一杯ずつ溶けば出来上がりっと。


 で、レタスのごま和え~。レシピ動画再生!


 レタスの葉っぱを五枚ほど剥がして、塩少々を入れたお鍋で一分いっぷん茹でますと。


 で、お湯から揚げたら流水にさらして、その後水気を切る。


 あとは、ボウルに白すりごま、お醤油、ごま油各小さじ一杯と塩少々を入れて、レタスと和えまーす。……完成!


「お昼が完成ですよー、アメリちゃーん」


「おお~」


 ホタルイカ、レタス、お味噌汁、ごはんを配膳し、最後にお茶をれてカンペキ!


「では、いただきますしましょう。いただきます!」


「いただきます!」


「ホタルイカには酢味噌をつけて食べるんだよ~」


 というわけで、ぱくっ! うんうん、旬のホタルイカは美味しいですねえ!


 続いてレタス。レタスを茹でるなんて邪道な気がしてしまいがちだけど、これが実に美味しい。レタスを加熱してはいけないという法律はないのです!


 そしてお味噌汁。おおう! 上出来ですよ、アメリシェフ!


「お味噌汁美味しいよー、アメリー」


「ほんと!?」


 惜しみない賞賛をすると、瞳をキラキラ輝かせてくる。ほほえま!


 はー、久しぶりの生鮮食品の美味しいこと! ごちそうさまでした!


 アメリも食べ終わり、後片付けの後歯磨き。


 その後、いい加減プロットを切らないといけないので執筆なう。


 三十日から向こう、怒涛の五日間だったものねー。


 そういえば、「あめりにっき」はこれからどうするべきなのだろう。アメリが猫耳人間になったことはカミングアウトしてしまった。こっち・・・のアメリも猫耳人間にするべきなのだろうか。


 ……一人で悩んでもしょうがないな。そのための担当さんだ。とりあえず次号はいつも通りに進めて、その先は真留さんと相談しよう。


 アメリちゃんは日曜のテレビ番組を色々見てるけど、グッと来るのがないみたいで、結局おなじみの読書。


 平和な時間が過ぎていく。本当に久しぶりだな、こんなに穏やかな心で過ごせる日は。


 おっとアラームが。もう六時!? 早いなー。アメリが静かに読書する子に育っているものだから、時間が経つのを忘れちゃうね。


「アメリちゃーん。晩ごはんのお時間ですよー」


 伸びをしながら話しかけると、「おお? もうそんな時間!?」と彼女も伸びをする。ふふ、シンクロ。


 というわけで、キッチンへ!


「さて、アメリちゃんにはどこを担当してもらおううかな」


 例の脳内BGMを鳴らしつつ、レシピ動画をチェック。


「よし、レタスを切ってもらいましょう。これを、一センチ半に切ってもらえるかな?」


「はーい!」


 レタス四分の一を剥がして手渡すと、しゅびっと挙手して調理体制に。


 こちらは寸胴鍋にお湯を沸かし、アンチョビをみじん切りにする。オニオンスープ缶も手鍋に空けて、加熱なう。


 唐辛子のヘタと種を取り除いて……と。


 お湯が沸いたのでお塩大さじ二杯を加え、スパゲッティーを茹でまーす。一分いっぷん早く揚げるのがコツらしい。


「できたー!」


 アメリシェフ、完成!


「はーい、ありがとー。置いといてねー」


 タイマーが鳴ったのでスパゲッティーを湯切りし、フライパンにオリーブオイル大さじ二杯、チューブにんにく、唐辛子を入れて中火で炒める。


 炒まったら、アンチョビ、スパゲッティー、レタスの順に加えて炒めるべし、炒めるべし!


 あとは塩胡椒で味を整え、お皿に盛り付けたらかんせーい!


「できましたよー」


 オニオンスープもカップによそい、着席!


「「いただきます!」」


 おおう、レタスのスパゲッティーなんて変な感じがするかと思ったけど、これは美味しい! アンチョビの塩辛さと相まって、いくらでも食べられちゃうわね!


 オニオンスープも実に合う。


「美味しいね!」


 これにはアメリちゃんもにっこり。「ねー」と笑顔で返す。


 色々あったけど、風がいいほうに吹いている。浦野さんと会ったら、きちんとお礼を言おう。すべては、浦野さんの言葉に勇気をもらったおかげだ。


 とりあえず、食べ終わったらプロットの続き頑張ろう! 明日明後日には、真留さんと打ち合わせできるといいな。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

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