神奈さんとアメリちゃん

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第三百四十七話 ショッピング・ウィズ・ウタノシスターズ ―前編―

公開日時: 2021年9月10日(金) 21:01
更新日時: 2021年9月24日(金) 18:12
文字数:2,088

「いやー。この四人だけで行動ってのも、なんだか久しぶりですねえ」


 F駅に向かいながら、車内でおゃべり。


「そうですね。もっと頻繁にお伺いできたら良いのですけど」


「いえいえ。お互い、忙しい身ですからねえ。うどんのめがみさまは、いつ頃出るんでしょう?」


 視界の右上端で、吊るされたデフォルメアメショのマスコットがゆらゆら揺れる。


「今月十四日になります」


「もうすぐですね! ぜひ、買わせていただきます! こういう仕事やってると、やっぱり発売前はそわそわしちゃいますよね~」


「ですね。私もそこそこのキャリアになりますけど、未だに売れるかどうか不安になってしまって」


 うんうんとうなずく。


「クロー、将棋って面白い?」


「うん、すごく。なんていうか、『大航海世代』とかと違って運の要素がないから、純粋にミスが勝ち負けを分けるんだ。だから、負けたときは、なにがいけなかったのかきちんと考えるんだよ」


「おお~! なんか、かっこいいね!」


 かっこいいと言われて、照れてしまうクロちゃんがバックミラーに映る。ほほえま!


「そういえば、戸成さんだっけ? そちらの方とはもう指さないの?」


 素朴な疑問を尋ねてみる。


「それが……平手、ノーハンデですね。それでもボクが必ず勝つようになってしまって、勝負にならなくなってしまったんです……」


 しゅんとするクロちゃん。ひょえ~!


 いやはや、猫耳人間の物覚えの良さは今更だけど、本当に凄まじいな~。将棋始めたの、たしか十二月よね?


 なるほどねえ。それでもっと強い相手を求めて、将棋教室に入門というわけなんだ。


 なんて、ほのぼのしてるんだかしてないんだかわからなくなってしまった会話をしてるうちに、「るるる」駐車場に到着いたしました!


 では、お買い物と参りましょー!



 ◆ ◆ ◆



 まず向かったのは、お好み焼き屋「とまとかん」さん。懐かしいな。雨の日に、ちょうどこの四人でここのお好み焼きをいただいたんだっけ。


 今回もあのときのように、子供たちと四分の一ずつ交換して、お好み焼きを楽しみました。お好み焼きって、たまに食べるとほんと美味しいよね!


 続いて向かったのは、児童服売り場。本日のメイン目的の一つ!


「おねーちゃん、これにしてみたい」


 アメリちゃんが選んだのは、薄紫でお腹の左下あたりにアメショの顔が描かれたキャミソール。あら、可愛い。


 試着について店員さんに尋ねると、肌に直につけず着るならOKとのことで。


「おねーちゃん、どう?」


 試着室のカーテンから中に首を突っ込むと、もともと着ていたキャミソール下着の上からくだんのキャミソールを身につけたアメリちゃんが! カワイイヤッター!!


「イイ! すごくイイ!!」


 我ながら、鼻息が荒い。


「お、おお~……。じゃあこれにする」


 平常心を失った私に気圧されながら、一着目を決定するアメリちゃん。


 この調子で、薄紫のノースリーブや同じ色のショートパンツなどなどを選んでいく。ああん、どれもこれも可愛いデスワ~!!


「クロちゃんのほうはいかがですか?」


 多少冷静さを取り戻し、隣の試着室前で待機しているまりあさんに塩梅を尋ねてみる。


「はい、ベージュのワンピースとか、色々と選びました」


 さすがに、この時期に黒は着ないか。でも、クロちゃんのことだからそういうのも選んだかも。


「お姉ちゃん、ちょっと見て」


 試着室からクロちゃんの声。中に首を突っ込むまりあさん。


「うん、いいと思うよ。じゃあ、今日はこんなところかしらね」


 と言い、首をスポッと抜く。


「娘に可愛い服を買うのって幸せですよねえ~。私の母も、こんな気持ちだったんでしょうか」


 弛緩した顔で、まりあさんに語る。


「かもしれませんね」


 互いに微笑み合う。なってみてわかる、親の幸せ。


 というわけで、お買い上げ! さらば、諭吉先生。でも、これは喜びの出費!


 一度荷物をトランクにしまった後、今度は以前由香里さんと訪れたブティック「ハーネスト」にまりあさんをご案内。


 センスいいのに驚きの安さで、まりあさんびっくり。


 というわけで、今度は私たち大人組のお買い物。


 私、夏場はだいたい白Tとデニムなんていう雑な服装だったけど、こうして同年代の友人がたくさんできると、それはさすがに恥ずかしく。


 というわけで、店員さんにおすすめを尋ねながら、色々見ていく。


 まずは、白の襟付きノースリーブと、ネイビーのカプリパンツ。うん、白Tデニムよりずっとオシャレ!


 もう一つは逆に、ゆるめの白シアーブラウス&薄紫のマーメイドスカートでフェミニンに。


 うーん、こっちもいいわあ。なんだか、本当にファッション心が芽生えてしまった。去年までの私からは考えられないな。


 もう一着いこうかとも思ったけど、あまり子供たちを待たせてもあれだし、こんなもんかな。子供たちから目を離すわけにいかないから、まりあさんと交代で試着室に入る必要があるからね。


 まりあさんのほうは、やはりフェミニンが似合うから、二着ともそういうタイプ。色合いも白やベージュといった、落ち着いたものを選ばれたようです。


 というわけで、大人組もお買い上げ。再び、荷物をトランクにしまいに行きます。


 お買い物はまだまだ続く。次の目的地は靴屋さん! 後半に続く!

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