神奈さんとアメリちゃん

退会したユーザー ?
退会したユーザー

第百十六話 風流! 紅葉狩りピクニック!

公開日時: 2021年4月24日(土) 07:31
文字数:2,777

お誕生会の翌お昼。ついにF公園の紅葉がくれないに染まったとのことで、かくてるの皆さんやまりあさんと紅葉狩りの日程をいつにするかという話になりました。紅葉の見頃は約一週間。あまりのんびりしてるわけにもいきません。


 夜には白部さんもチャットに入ってきて、「ノーラちゃんもすっかり落ち着きましたし、二十七日の金曜に代休が取れるのでその日に参加してもいいでしょうか?」と打診してきたので、では二十七日にしましょうと満場一致で日取りが決まりました。天気予報も晴れだし、いい感じだね!


 そんなこんなで二十六日の午後四時。私とアメリの愛情弁当を作るべく、いつものスーパーでおかずを物色しているわけですが、何作りましょ。


 集合予定は十一時半。私が白部さんとまりあさん、クロちゃんを拾って車で一緒に行く算段になっています。


 十一時半なら朝が激弱な私でも、お弁当作れる時間がなんとかあるかな。お弁当作るなんて、いつぶりぐらいかなー。


 状況整理はさておき、お隣のアメリちゃんにリクエストを訊いてみましょうか。


「アメリー、何かお弁当で食べたいのあーる?」


「なんでもいいよー!」


 満面の笑顔で、いつもの力強いお言葉。困ったね。


 とりあえず、定番メニューから考えてみようかな。アスパラのベーコン巻き。これは入れておきたいね!


 あとは卵焼き。これは卵がすでにあるからよし!


 プチトマトとブロッコリー。アメリこれ好きだから、使い切りのマヨネーズと一緒にかごに投入~。


 ハンバーグも欲しいねー。ひき肉イン!


 飲み物は、おなじみマスぺとコラ・コーラ。ダイエット中だから、マスペとか久々だわー。


 よし、あとはアレ・・を買ったら完璧!


 おなじみ朝食用のパンもかごに入れたら、お会計でーす。



 ◆ ◆ ◆



 夜七時。明日の仕込み兼、晩ごはんを作りましょー。三分でクッキングする脳内BGMを鳴らしながら作っていきましょー。


 ……でーきた! 食べないぶんは粗熱が取れたら冷蔵庫に入れておいて、明日のおかずにしまーす。


「おねーちゃん、今日はおかずがいっぱいだね!」


 キラキラ瞳を輝かせるアメリ。


「うん。私朝弱いからねー。今日作れるものは今日作っておきたいのよ」


 明日のお昼ぐらいまでなら、そんな悪くならないでしょう。


 こうして、晩ごはんも食べ終わりました。明日のお弁当とおかずが被っちゃうけど、勘弁ね。


 でも、明日は秘密兵器があるのですよ、アメリちゃん。ふふふ。



 ◆ ◆ ◆



 当日、約束時間ジャスト。駐車場に車を停めると、見覚えのあるバンが。駐車場出口を見ると、優輝さんたちが出入り口の横でおしゃべりしていました。


「こんにちはー!」


 私たち一同、ご挨拶。向こうも、こんにちはとご挨拶を返してくる。


「待たせちゃいましたか?」


「あ、いえ。あたしの気が急いて、ちょっと早く出ちゃっただけですから。言い出しっぺが遅刻なんて話にならないですからね。じゃあ、行きましょうか」


 優輝さんに先導され、てくてくと園内を歩いていく。途中、バーベキュー広場横を通過し、サービスセンター前で左折。並木道と広場を横切り、竹の柵で囲まれたエリアへ。結構歩くなー。体力不足の漫画家には結構キツイ。


「着きましたよ! この日本庭園エリアが一番いいポイントなんですよ!」


 そこには、泉と池があり、対岸にはあかくく染まった紅葉が茂っていた。池にはカルガモがたくさん泳いでいて、なんとも風流。


「いい場所ですねー。下調べされたんですか?」


「もちろん! イベントのためなら労力を惜しまない、それがあたしです!」


 グッとサムズアップする優輝さん。いやはや、心の底からイベント大好きガールなのね。でもおかげで、こんないいスポットが知れたのだからありがたいことです。この近所に前から住んでる私が全然知らなかったのに。


「じゃ、ピクニックシートを広げましょうか。二枚あるんで、そちら側お願いします」


 シートとレンガを渡される。では、私たちも設置しましょうか。


 ……ふう、できた!


「そっちもできましたか。じゃあ、さっそく昼食といきましょう!」


 優輝さんの音頭取りに、「はーい」と応える一同。


「はーい、アメリー。お弁当とコーラ」


 お弁当と、氷入りのビニール袋で冷やしておいたコーラを手渡す。飲み物は、コーラとマスペ以外にも、魔法瓶に入れた温かいお茶を持ってきている。


「いただきまーす」


 ぱかっとお弁当箱の蓋を開けると、昨日のおかずに加え、ごはんの上にでんぶで作ったピンクのハート。ふふふ、もちろんアメリのほうにも作ってありますとも!


「ねーねー! おかず交換しない?」


 とてとてとやってきたミケちゃんが、アメリに話しかける。


「おおー? おねーちゃん、いいかな?」


「うんうん、いいよー。おかず交換はお弁当の華だものね」


 このとき私は、自分のミスに気づいていませんでした。


「あら、可愛いハート」


 ミケちゃんが声を上げると、皆さんがどれどれと覗きに来る。


「おお~これは愛を感じるっすねー」


「神奈サン、愛が深けーな!」


 うわ、恥ずかし! 顔から火が出そう。


「あっはっはっ。照れることないですよ、神奈さん。あたしのなんて、もっと凝り凝りですよ? ミケ、見せてあげて」


 ミケちゃんがお弁当を見せてくれる。そこには、ごはんの上にミケちゃんの姿が!


「えっ! キャラ弁ですか!? すごい凝りようですねー……」


「イベントに力を惜しまない! それがあたしですから!」


 またもや、グッとサムズアップ。すごい情熱だなー。


「じゃあ、ミケの春巻きとアメリのアスパラベーコン交換しましょ」


「いいよー」


 というわけで、ミケちゃんとアメリは無事おかずを交換。


「ボクも、交換しようかな……アメリ、何が欲しい?」


 クロちゃんも交換会に乗ってきて、お弁当箱をアメリに差し出す。きんぴらに魚など、全体的に渋い和風のおかず。


「おお~。お魚欲しいー」


「じゃあ、半分ね……代わりにハンバーグ半分もらうね」


 こちらでも、トレード成立。


「私たちも、交換しましょうか?」


 白部さんとまりあさんに問うと、「いいですよー」と同意してくださいました。


「わたしは、クロちゃんと同じ内容なんですけど……」


 と、まりあさん。それでは、というわけで、こちらはきんぴらとトマト&ブロッコリーを半分ずつトレード。


「私のは、適当料理で恐縮ですけども」


 白部さんは、そぼろ弁当とミートボールにレタス。ミートボールとアスパラベーコンを一個ずつ交換しました。


 ああ、楽しいなあ。こんなの高校以来ぶり。こういった感覚、長いこと忘れてたんだな。


 池で泳ぐカルガモを眺めながら、感慨にふける。


 紅葉が、はらりと一枚池に落ちた。もうすぐ秋も終わりだなあ。この秋は、本当にいろんなことがあったな。


 アメリが生まれ変わって、まりあさんやかくてるの皆さん、白部さんと知り合って。お月見やハロウィンもして。


 「彩り」。そんな言葉が、脳裏をよぎるのでした。


 冬は、どんなことが待ち受けているのかな。楽しみ!

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート