今日も、ごはんの後にさっそく下書きを進めていると、アメリがキッチンからコップ片手に戻ってきて、デスクの傍らに鎮座するポトスの「みどりん」に水やりなう。
何ぶん、うちはアメリの耳としっぽの関係で、基本的にキャスケット+ロングスカート状態でないとカーテンが開けられないため、デスクのライトを陽光代わりにしているのです。まだ小さな鉢だけど、大きめのデスクで良かった。
きちんとお世話できるか心配だったけれど、ポトス自体それほど手のかからない植物なこともあって、にょきにょき枝葉が育っています。
「おねーちゃーん。みどりん、ちょっと元気ない気がするー」
「んー?」
一旦筆を止め、みどりんの様子をよく見る。たしかに枝の部分がちょっと白い気がする。ふむ、これはどうしたものか。お花を育てているまりあさんに、LIZEで尋ねてみよう。
「栄養が足りてないのかもしれません」
まりあさんから返ってきたのは、シンプルかつ的確なアドバイス。たしかに、みどりんを育てるようになってから、まだ栄養剤の類をあげていない。
「よし、アメリちゃん。今日は駅前に行こう!」
正直、栄養剤を買うだけなら割と近くに花屋さんがあるのだけど、私自身ちょっと気分転換を図りたいというのもある。
というわけで、十一時頃着くようにしましょう~っと。
◆ ◆ ◆
さーて、到着でーす!
本日は「るるる」に寄る予定がないので、市営駐車場を利用中~。
まずは、せっかくお昼前に着いたのだから、混まないうちにごはんにしちゃいたいよね!
「アメリ~。今日はイタリアンにしない?」
「おお? いたりあん?」
「スパゲッティーとかピザとかで有名な料理たちのことね」
そう説明すると、「おお~!」と瞳を輝かせる。
では、参りましょうぞ、お姫様!
てくてく歩き、メインストリートであるけやき通りへ。横断歩道を越えると、超有名イタリアン・ファミレス、「シャンデリア」さんの前に着きましたよ~。
なんで、イタリアンレストランなのにフランス語だっけ? なのかしらね。まあいいけど。
ともかくも、入店!
まだお昼前なのでがらがらで、ウェイトレスのお姉さんに「お好きな席へお座りください」と勧められ、見晴らしのいい席へ。ちなみにここ、ビルの二階。
「さて、アメリちゃん。実はいきなりおすすめメニューがあるのですよ」
メニューを取り出して開く。
「おお?」
「これこれ。このエスカルゴがねー、それはもう、ばっつぐんに美味しいのよ!」
五つのくぼみのある器に入った具の、写真を指し示す。
「おお~? なにこれ、よくわかんない」
「これ、カタツムリなの。ただし、食べられる種類のね」
「おおおおっ!? カタツムリ食べちゃうの……?」
びっくりアメリちゃん。まあ、子供イメージ「あじさいの葉っぱにいる、なんか愛嬌のあるの」だもんね。
「人間の、食への探究心は凄まじいのですよ。というわけで、これ頼んでみない? フォカッチャっていうパンも付けられるよ。あとねー、なんか有名シェフがもう一個、プロシュートっていうハム推してたよ。……あったあった。これも頼もう?」
「おお~。よくわかんないから任せる~」
「はーい。あと、少しお野菜欲しいね。あ、これどう? チキン&ブロッコリーサラダですって」
「食べたい!」
写真にはトマトも写っている。トマトとブロッコリー大好きなアメリちゃん、すごい食いつきようですねえ。
「じゃあ、こんなものかな」
呼び鈴を押し、やって来たウェイターさんに注文を伝える。
雑談で時間を潰していると、まずはサラダが運ばれてきました! 色鮮やかで美味しそうね~。ソースは二種類から選べるので、定番らしい「シャンデリアドレッシング」をチョイスしました。
「いただきます!」
二人で合唱し、ぱくっ! うん、ブロッコリー独特の歯ざわり、いいわあ。これにはアメリもニッコリ。
サラダをいただき終わる頃に、フォカッチャの付いたプロシュートが登場~。フォークでいただくと……あらやだ、本当に美味しい! ファミレスでこの味は、本場イタリアの人も驚いたと何かで見たっけ。そして、フォカッチャがまたアツアツで美味しい~。
「おお~! 美味しい!」と、アメリも感心。
そして、お待ちかねエスカルゴくん!
「これ、お皿ともども熱いから気を付けてねー」
熱に気をつけ、はむっ! ああん、本当に美味しいわ~ここのエスカルゴ!
ふとアメリの様子を見ると、固まってしまっていた。
「どしたの……?」
心配になって、声をかける。
「美味しい……カタツムリ、美味しい……!!」
なんだか、感極まってしまった模様。
「でしょ?」
こくこくと激しく頷く彼女。
「一応注意しておくけど、そのへんにいるカタツムリは食べちゃダメよ?」
「わかった!」
熱いのを冷ましながら、はむはむと食むアメリちゃん。
「なくなっちゃった……」
そして、完食してしまいしょんぼり。
「よしよし、一個あげるね」
「ほんと!?」
「うん。でも、ほんとに一個だけね」
泣く子と、しょんぼりアメリには勝てません。
「ありがとう、おねーちゃん!!」
ラストワンということで、じっくり味わうことにしたようで、もにゅもにゅと念入りに咀嚼しています。
「……美味しかった! ごちそうさま!!」
名残惜しそうながらも、元気に言う彼女。
「はい、ごちそうさまでした。じゃあ、次は『ダイナー』だね」
お会計を済ませ、「ゆらりと」に移動。ダイナーで栄養剤やおやつ、その他細々した物のお買い物。
さらに、小さい鉛筆削りじゃそろそろ大変だよねということで、「ハートマンで電動鉛筆削り、あとはおなじみクレヨンとスケブを買っていきました。
これでみどりんも元気になるし、ほかにも色々はかどるね!
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