神奈さんとアメリちゃん

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第百七十一話 アメリとエスカルゴ

公開日時: 2021年4月25日(日) 18:31
文字数:2,282

今日も、ごはんの後にさっそく下書きを進めていると、アメリがキッチンからコップ片手に戻ってきて、デスクの傍らに鎮座するポトスの「みどりん」に水やりなう。


 何ぶん、うちはアメリの耳としっぽの関係で、基本的にキャスケット+ロングスカート状態でないとカーテンが開けられないため、デスクのライトを陽光代わりにしているのです。まだ小さな鉢だけど、大きめのデスクで良かった。


 きちんとお世話できるか心配だったけれど、ポトス自体それほど手のかからない植物なこともあって、にょきにょき枝葉が育っています。


「おねーちゃーん。みどりん、ちょっと元気ない気がするー」


「んー?」


 一旦筆を止め、みどりんの様子をよく見る。たしかに枝の部分がちょっと白い気がする。ふむ、これはどうしたものか。お花を育てているまりあさんに、LIZEで尋ねてみよう。


「栄養が足りてないのかもしれません」


 まりあさんから返ってきたのは、シンプルかつ的確なアドバイス。たしかに、みどりんを育てるようになってから、まだ栄養剤の類をあげていない。


「よし、アメリちゃん。今日は駅前に行こう!」


 正直、栄養剤を買うだけなら割と近くに花屋さんがあるのだけど、私自身ちょっと気分転換を図りたいというのもある。


 というわけで、十一時頃着くようにしましょう~っと。



 ◆ ◆ ◆



 さーて、到着でーす!


 本日は「るるる」に寄る予定がないので、市営駐車場を利用中~。


 まずは、せっかくお昼前に着いたのだから、混まないうちにごはんにしちゃいたいよね!


「アメリ~。今日はイタリアンにしない?」


「おお? いたりあん?」


「スパゲッティーとかピザとかで有名な料理たちのことね」


 そう説明すると、「おお~!」と瞳を輝かせる。


 では、参りましょうぞ、お姫様!


 てくてく歩き、メインストリートであるけやき通りへ。横断歩道を越えると、超有名イタリアン・ファミレス、「シャンデリア」さんの前に着きましたよ~。


 なんで、イタリアンレストランなのにフランス語だっけ? なのかしらね。まあいいけど。


 ともかくも、入店!


 まだお昼前なのでがらがらで、ウェイトレスのお姉さんに「お好きな席へお座りください」と勧められ、見晴らしのいい席へ。ちなみにここ、ビルの二階。


「さて、アメリちゃん。実はいきなりおすすめメニューがあるのですよ」


 メニューを取り出して開く。


「おお?」


「これこれ。このエスカルゴがねー、それはもう、ばっつぐんに美味しいのよ!」


 五つのくぼみのある器に入った具の、写真を指し示す。


「おお~? なにこれ、よくわかんない」


「これ、カタツムリなの。ただし、食べられる種類のね」


「おおおおっ!? カタツムリ食べちゃうの……?」


 びっくりアメリちゃん。まあ、子供イメージ「あじさいの葉っぱにいる、なんか愛嬌のあるの」だもんね。


「人間の、食への探究心は凄まじいのですよ。というわけで、これ頼んでみない? フォカッチャっていうパンも付けられるよ。あとねー、なんか有名シェフがもう一個、プロシュートっていうハム推してたよ。……あったあった。これも頼もう?」


「おお~。よくわかんないから任せる~」


「はーい。あと、少しお野菜欲しいね。あ、これどう? チキン&ブロッコリーサラダですって」


「食べたい!」


 写真にはトマトも写っている。トマトとブロッコリー大好きなアメリちゃん、すごい食いつきようですねえ。


「じゃあ、こんなものかな」


 呼び鈴を押し、やって来たウェイターさんに注文を伝える。


 雑談で時間を潰していると、まずはサラダが運ばれてきました! 色鮮やかで美味しそうね~。ソースは二種類から選べるので、定番らしい「シャンデリアドレッシング」をチョイスしました。


「いただきます!」


 二人で合唱し、ぱくっ! うん、ブロッコリー独特の歯ざわり、いいわあ。これにはアメリもニッコリ。


 サラダをいただき終わる頃に、フォカッチャの付いたプロシュートが登場~。フォークでいただくと……あらやだ、本当に美味しい! ファミレスでこの味は、本場イタリアの人も驚いたと何かで見たっけ。そして、フォカッチャがまたアツアツで美味しい~。


 「おお~! 美味しい!」と、アメリも感心。


 そして、お待ちかねエスカルゴくん!


「これ、お皿ともども熱いから気を付けてねー」


 熱に気をつけ、はむっ! ああん、本当に美味しいわ~ここのエスカルゴ!


 ふとアメリの様子を見ると、固まってしまっていた。


「どしたの……?」


 心配になって、声をかける。


「美味しい……カタツムリ、美味しい……!!」


 なんだか、感極まってしまった模様。


「でしょ?」


 こくこくと激しくうなずく彼女。


「一応注意しておくけど、そのへんにいるカタツムリは食べちゃダメよ?」


「わかった!」


 熱いのを冷ましながら、はむはむと食むアメリちゃん。


「なくなっちゃった……」


 そして、完食してしまいしょんぼり。


「よしよし、一個あげるね」


「ほんと!?」


「うん。でも、ほんとに一個だけね」


 泣く子と、しょんぼりアメリには勝てません。


「ありがとう、おねーちゃん!!」


 ラストワンということで、じっくり味わうことにしたようで、もにゅもにゅと念入りに咀嚼そしゃくしています。


「……美味しかった! ごちそうさま!!」


 名残惜しそうながらも、元気に言う彼女。


「はい、ごちそうさまでした。じゃあ、次は『ダイナー百均』だね」


 お会計を済ませ、「ゆらりと駅ビル」に移動。ダイナーで栄養剤やおやつ、その他細々した物のお買い物。


 さらに、小さい鉛筆削りじゃそろそろ大変だよねということで、「ハートマン雑貨屋で電動鉛筆削り、あとはおなじみクレヨンとスケブを買っていきました。


 これでみどりんも元気になるし、ほかにも色々はかどるね!

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