「おはようございます」
「おっはよー!」
「おふぁようございまぁす……ふわぁぁあ……」
朝早く、門で白部さんたちとご挨拶。つい大あくび。
「失礼しました……」
「朝早くすみません。朝食はもう食べさせてありますので、ノーラちゃんをよろしくお願いします」
「はいぃ……お任せください……」
船漕ぎながらお返事。失礼だけれど、こればっかりはどうにも……。私、絶対会社勤めなんてできなかっただろうなあ。
「では、挨拶もそこそこで恐縮ですが、出勤させていただきますね。ノーラちゃん、いい子にしてね」
「任せろー! よろしくなー、カン姉!」
「はーい、よろしくー……。それでは、ノーラちゃんのことはお任せください……」
どう見ても任せられるようには見えないけれど、頑張って深くお辞儀。白部さんもお辞儀され駐車場のほうに向かわれたので、ノーラちゃんの手を引いて屋内に戻る。
◆ ◆ ◆
「ノーラー! おはよー!!」
私に引き換え、愛娘の元気ですこと。がばっと抱きしめ、ご挨拶。
「おー! おはよー!」
子供たち、元気ねえ。私がダメすぎるだけなんだけど。
「それじゃごめん、アメリ。私が回復するまで、ノーラちゃんのことお願い……」
「任せて! 寝室行こ!」
「おー!」
どたどたと駆けていく二人。私はリビングのソファで二度寝するのでした。
◆ ◆ ◆
「おはよー。ごめんねー、やっとしゃっきりしたわ」
食べかけのすっかり冷たくなったパンと、ぬるくなった牛乳を食べ終わり、なんとか平常運転に戻ってお茶菓子片手に寝室へ。
「おはよー!」と、二人からお返事をもらう。
「ごめんなさいね、ノーラちゃん。ほんと私、朝はあんなんで……」
「だいじょーぶ! アタシが失敗したとき、ルリ姉が『欠点のない人間はいない』って言ってた!」
「あはは、面目ない。あー、今日は色々持ってきたのね?」
朝はあの調子だから気づかなかったけど、お馴染みゴッドレンジャーやミニカーのほか、何冊かの本が紙袋に入っているようだ。
「ルリ姉が夜までかかっちゃうだろうからって言うから、たくさん持ってきたぞー!」
配膳しながら、ノーラちゃんと会話。
「二人は何して遊んでるのかなー?」
「九九教えてたー!」
拳を元気に突き上げるアメリちゃん。朝からお勉強ですか。感心なことで。
「今日はルリ姉がバッドキングやってくれないから、ゴッドレンジャーごっこできないんだ」
しょんぼりノーラちゃん。一応持ってきてはいるみたいだけど、アメリ悪役やって遊ぶ柄じゃないものねえ。
「ふーむ、バッドキング役やってあげたいのはやまやまだけど、私もお仕事あるからなあ。ごめんね」
「二人で遊んでるから安心していいぞー! ルリ姉がお仕事の邪魔しちゃダメって言ってた!」
「ありがとう。じゃあ、二人で遊んでてね」
トレイのコーヒー牛乳を手にデスクに腰掛け、PCを起動する。
アメリたちはその後ブロック遊びしたり、お絵かきしたり、手を変え品を変え色々遊ぶ。私はそんな二人の会話をBGMに、仕事に打ち込む。
コーヒーといえば、子供の頃この朝の弱さが克服できないかと思って思いっきり非デカフェの濃いやつを朝に飲んでみたことがあるけれど、まるで効き目がなかったっけ。ほんと、なんなんでしょうね。この徹底的な朝の弱さ……。
すいすい。すらすら。うーん、ひょっとすると私は朝にエネルギーチャージをしてるのかもしれない。タメを開放するかのように、筆の運びの快調なこと。
途中、アメリがトレイとコップを手に出ていき、そして戻ってくる。飲み物のおかわりを持ってきた模様。教えなくてもこういうことできるようになってるんだから、アメリちゃんはすごいですねえ。
二人の遊びというか会話は、恐竜に移ったようだ。セイスモサウルスがどうとか耳に入ってくる。
「ノーラは昔の生き物以外、生き物に興味ない?」
「んー、よくわかんねー。とりあえず、昆虫は好きじゃないみてーだ」
「じゃあ、動物図鑑見てみよ!」
すると、「おー、ヒョウかっけー!」とか聞こえてきた。やっぱり虫苦手だったか、ノーラちゃん。
それからしばし。
「おねーちゃん!」
「はい、何でしょ?」
唐突にアメリカら声をかけられ振り向く。
「ダンスゲームやりたいから用意してもらえる?」
「ほいほい。いいよー」
あのゲーム、子供向けではないので、操作画面にちょっと難しい漢字が出てくることがある。
「……はい。あとは、いつもみたいな感じで操作すれば遊べるから」
「ありがとー!」
二人はダンス対決を開始。元気ですねえ。そんな音が鳴っていても平気で描き続けられるのが私の強み。前の道路で工事してても平気で作業できるもんなあ。
すると、不意にアラームが鳴った。十一時か。ごはん炊きに行かないと。
……戻り。
「どっちが勝ってる?」
「んー? 多分同じぐらい! ノーラ手強い!」
「運動なら負けねー!」
ダンスしながら答える二人。
「一時間後にごはんだから、ほどほどにね」
「「はーい」」」
ステップを踏む二人を横に、再びお仕事モード。コーヒー牛乳もおかわりを用意し、エネルギー補給の準備オッケー! 私もほどほどにしとかないと、ごはん食べられなくなるわね。
ともかく、ごはんが炊けるまでお仕事頑張りましょー!
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