神奈さんとアメリちゃん

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第三百二話 ショッピング日和な春うらら

公開日時: 2021年7月26日(月) 21:01
文字数:2,764

 朝九時頃、ネームに打ち込んでいるとスマホが鳴りました。送信者を見ると、優輝さん。


「おはようございまーす。どうされましたー?」


「おはようございます。今日、お忙しいですか?」


「忙しいといえば忙しいですけど、丸一日の用事とかでなければ手が空きますよ」


 例によって、マルチタスクで仕事しながら返答する。


「だったら、先に用件から話したほうがいいですね。ミケがミニスカ履きたいというものだから、『るるる』にご一緒にいかがかと思いまして」


 ほー。たしかに、ロングスカートってよりミニスカって柄よね、ミケちゃん。


「そうですねえ。アメリの今の外着は本来部屋着用に買ったものですから、外着専用に何か買ってあげるのも悪くないですねえ」


 可愛い子にはおしゃれさせよ。……そんな格言はないけれど、なにか新しい服を買ってあげたいというのはある。


「まりあさんたちはお誘いするんですか?」


「あ、もうしてあります。まりあさんも白部さんも、せっかくだからって感じで応じてくれました。言い出しっぺですから、まりあさんとクロちゃんはあたしが連れていくことになってます」


 おお、手回しがいい。


「では、行きましょうか。何時頃あちらに着いていればいいですか?」


「そうですね。十一時にしましょう。現地で何か食べてから、お買い物って感じで」


「わかりました。細かい合流場所は後でご指定願いますね」


 というわけで、通話終了。


「アーメリちゃーん。十一時にるるるにお買い物に行くことになりましたよー」


 ブロック遊びをしていた彼女に話しかける。


「おお? おもちゃ買うの?」


「あー、買ってもいいねー。でも、今回のメインはお洋服なのです。もっと外で動きやすい服欲しいでしょ?」


「おおー!」


 瞳をキラキラ輝かせるアメリ姫。うふふ、ほほえマイエンジェル!



 ◆ ◆ ◆



 とうわけで現地。二階掲示板前に皆さんすでに集まられてました。


「すみませーん、お待たせしましたかー?」


「いえ、ついさっき来たばかりですよ」


 優輝さんが気さくに答える。しかし、やっぱりというか、私たち注目の的ね。


「お昼、どこにしましょうね?」


「『パルの木々オムライス屋さん』でいかがでしょう?」


 というわけで、まりあさんのご提案でいつものお店へ。おいしくオムライスをいただきました。


 そういえば、最初口をケチャップまみれにしていたノーラちゃん、すっかり食べるの上手になったなあ。感心感心。


 続いて、本日のメインである児童服売り場へ。


 クロちゃんはこれといってイメチェンの展望がないようで、まりあさんと一緒に店内をぶらぶらウィンドゥショッピング。残り六人で子どもたちの服を見繕います。


「ノーラちゃん、こういうのどう?」


 白部さんが、薄緑基調のショートパンツを手に取る。


「おー、動きやすそうだなー!」


 さっそく気に入った模様。


「アメリもこっちの似た感じの薄紫のにしてみる?」


「うん!」


 うちのお嬢様も気に入ったご様子。


 優輝さんたちはスカートコーナーで、ミケちゃんの好みがいまいちビビッと来ないのか、とっかえひっかえ悪戦苦闘。


 そのうちいくつかを選び、試着室に入っていきました。私たちも試してみましょうかね。上に着るケイティちゃんのシャツも持って行って、と。


「アメリー、どーう?」


「いいと思う!」


 どうやら一発で気に入ってく売れたようで何より。


 隣からは、ミケちゃんの唸り声が聞こえる。


「これ、どうかしら?」


 彼女がカーテンを開け、ピンクと白のギンガムチェックのスカートを優輝さんに見せる。


「可愛いいよ、ミケ!」


「まーね! ミケはに着ても似合うもの。神奈おねーさんたち、どうかしら?」


「お、私も? ……似合ってると思うよ!」


 白部さんも同意する。


「そう? でも、もう一つなのよねー」


 再度カーテンを締め、今度はチェリーのプリントが施されたスカートを見せる。


「どう?」


「似合ってるよ」


 うんうんとうなずく私たち。


「うーん、個人的にはさっきのと二択なのよね」


「じゃあ、両方買っていこうか?」


 優輝さんが、こともなげに言う。ゲーム売れて羽振りいいものね。


「いいの!?」 じゃあ、両方買いましょ!」


 というわけで、ミケちゃんも決定。


 ノーラちゃんは、最初に選んだショートパンツにしたようです。


「下着類も買っていきましょうか。これから暑くなるし」


 白部さんは、ノーラちゃんの下着を買い足すことにした模様。うちも買おうかな。


 こんな感じで、無事服も購入完了。まりあさんもクロちゃんの下着だけ買ったようです。


「アメリがおもちゃ欲しいようなのですけど、お付き合いいただいて構いませんか?」


「はい、構いませんよ」


 優輝さんを筆頭に皆さんの快諾をいただき、「トイザウるス」へ。


「で、アメリはどんなのが欲しいの?」


「新しいゲーム欲しい!」


 おおう、私のアドバイスできない分野だ。しかーし、隣に心強いアドバイザーがいるのです!


「優輝さん、相談に乗ってあげていただけますか?」


「お任せあれ。アメリちゃん、どんなのがやりたいのかな?」


「んーとね、ダンスだと一度に二人しか遊べないでしょー? だから、もっと大勢で遊べるの!」


 アメリのオーダーを聞くと、「ふむふむ」とゲームの棚を物色し始める優輝さん。


「これとかどう? ボードゲームっていうジャンルで、世界中を飛び回っていろんな名物を買うんだ」


「おお~。面白い?」


「うん。うちでもよく遊んでるよ。ちょっと漢字が難しいかもだけど、神奈さんに教わりながらやるといいんじゃないかな」


 「おお~!」と瞳を輝かせるアメリ。


「これにする?」


「うん!」


 アメリちゃん、いたく気に入ったようです。人数分のコントローラーと一緒にかごへ。


「少し、男児玩具売場を見ても構いませんか?」


 白部さんのご提案で、ぞろぞろ同行。


「やっぱ、エレメントレンジャーねーなー……」


 がっくり肩を落とすノーラちゃん。


「こういうのはどう?」


 別の特撮の玩具と思しき戦闘機を見せる白部さん。しかし、ノーラちゃんの反応は今ひとつ。本当に、エレメントレンジャーが好きなのね。


「いいや、アタシはゴッドレンジャーをずっと大事にする!」


 決意を新たにしたようです。初志一徹なのね、ノーラちゃん。


 一方、道すがらクロちゃんが、プラモデルの箱を手に取りました。ものは姫路城。し、渋い……。お買い上げする宇多野姉妹。


 その後は、近くの「フォレストショッピングモール」でしっぽ穴のためのあて布を買ったり、はたまた踵を返して「麗文堂書店」で子供向け科学本を買ったり、ショッピング三昧でした。


「いやー、今日はありがとうございました」


 駐車場で、優輝さんが頭を下げる。


「いえいえ。私も案外色々買うものがあって、いい機会でしたよ」


 実際、各人今日は色々買っている。


「そうおっしゃっていただけるとありがたいです。では、帰りましょうか」


 というわけで、みんなで家路をたどる。


 今日も一日平和だなあ。こないだまでの激動が、ウソのようだ。良きかな良きかな

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